VCA155 155mm自走榴弾砲は、アルゼンチン陸軍の要求によりTAMSE社が開発した自走榴弾砲である。 砲塔はイタリアのオート・メラーラ社が開発したパルマリア155mm自走榴弾砲と同じものが、車体中央やや後ろ寄りに搭載されている。 砲塔は防弾アルミ板の全溶接構造で、砲塔内には車長、砲手、装薬操作手、弾倉操作手の計4名が搭乗する。 主砲は、オート・メラーラ社で設計された41口径の155mm榴弾砲である。 最大射程は通常の榴弾を使用した場合で24.7km、ロケット補助榴弾を使用した場合で30kmに達する。 砲塔は全周旋回が可能で、砲の俯仰角は−5〜+70度となっている。 砲塔の後部には自動装填装置が搭載されており、発射速度は4発/分となっている。 また、最初の20秒で3発のバースト射撃も可能となっている。 155mm砲弾は砲塔に23発、車体に5発の計28発を搭載している。 車体は、ドイツのティッセン・ヘンシェル社(現ラインメタル・ラントジステーム社)がアルゼンチン陸軍向けに開発したTAM戦車のものを流用している。 アルゼンチン陸軍はTAM戦車および、TAM戦車をベースにしたVCTP歩兵戦闘車を採用しており、このVCA155自走榴弾砲が加わることで戦車、歩兵戦闘車、自走砲がファミリー化されることになった。 1997年の中頃に全部で20基の砲塔システムがオート・メラーラ社よりTAMSE社へ供給されており、これを用いて17両のVCA155自走榴弾砲が製作されアルゼンチン陸軍に引き渡されている。 車体は大型の砲塔を搭載するために延長されており、転輪もTAM戦車より1個多い片側7個に増えている。 車体前部左側が操縦室となっており、前部右側はパワーパックを収める機関室となっている。 パワーパックは、ドイツのMTU社製のMB833Ka-500 V型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力720hp)と、レンク社製のHSWL194自動変速機(前進4段/後進4段)の組み合わせになっている。 |
<VCA155 155mm自走榴弾砲> 全長: 10.30m 全幅: 3.30m 全高: 3.20m 全備重量: 40.0t 乗員: 5名 エンジン: MTU MB833Ka-500 4ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 最大出力: 720hp/2,400rpm 最大速度: 55km/h 航続距離: 719km 武装: 41口径155mm榴弾砲×1 (28発) 7.62mm機関銃FN-MAG×1 (1,000発) 装甲厚: |
<参考文献> ・「パンツァー2011年10月号 アルゼンチンのオリジナル戦車 TAM」 柘植優介 著 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2021〜2022」 アルゴノート社 ・「世界の軍用車輌(2) 装軌式自走砲:1946〜2000」 デルタ出版 |