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TOS-1ブラチーノ自走火焔放射システム





TOS-1「ブラチーノ」(Buratino:ピノキオ)は、オムスクの輸送車両・機械製作所の手で1980年代末に開発が始められた重火焔放射システムで、1990年代初めに少数が生産された。
ちなみに「TOS」(キリル文字では「
ТОС」)は「Тяжёлая Огнемётная Система」の略で、ロシア語で「重火力投射システム」を意味する。

本車はモスクワ等で開かれた軍事パレードには参加していなかったのでその存在は長らく知られておらず、1999年6月に開催された兵器見本市「オムスク'99」において初めて存在が確認された。
TOS-1の車体はT-72戦車のものが流用されており、220mmロケット弾30発を収める大きなランチャーと、その基部となる2名の操作員を収容する小型砲塔が搭載されている。

最初の生産型であるTOS-1のランチャーは4段に区切られており一番上の段に6発、残る3段にそれぞれ8発の220mmロケット弾が収容され、400〜3,500mの有効射程を有し全弾を7.5秒で発射するが、操作員が任意に2発以上の発射数を選択することも可能である。

改良型のTOS-1Aではランチャーが3段のものに変更されており、それぞれの段に8発ずつ計24発の220mmロケット弾を収容する。
ロケット弾は無誘導の気化燃料爆発型で、気圧の変化により目標の上空で炸裂し正面の幅数十m、縦深数百mに渡り一気に燃え上がらせることができる。

人員は無論のこと、軽装甲車両に対しても効果を発揮するので防御手段は無く、効果的な兵器といえよう。
本車はチェチェン紛争において実戦投入されており、敵ゲリラを殲滅するのに威力を発揮している。
TOS-1の諸元は戦闘重量46t、路上最大速度60km/h、路上航続距離は外部燃料タンク未装備で550kmと伝えられている。


<参考文献>

・「パンツァー2022年7月号 挫折した電撃戦 ロシア・ウクライナ戦争の行方」 古是三春 著  アルゴノート社
・「パンツァー2008年5月号 T-72戦車 開発・構造とそのバリエーション(2)」 白井和弘 著  アルゴノート社
・「パンツァー2019年7月号 レニングラード州における実弾発射訓練 TOS-1A」  アルゴノート社
・「パンツァー2024年12月号 ロシア・ウクライナ戦争の異形たち(2)」  アルゴノート社
・「パンツァー2012年10月号 カザフスタン武器見本市の参加車輌」  アルゴノート社
・「パンツァー1999年8月号 最近のロシア軍AFV」 古是三春 著  アルゴノート社
・「パンツァー2010年7月号 W.W.II戦勝記念パレード」  アルゴノート社
・「パンツァー1999年10月号 海外ニュース」  アルゴノート社
・「パンツァー2019年6月号 軍事ニュース」  アルゴノート社
・「世界のAFV 2021〜2022」  アルゴノート社
・「グランドパワー2019年8月号 ソ連軍主力戦車(3)」 後藤仁 著  ガリレオ出版
・「世界の戦闘車輌 2006〜2007」  ガリレオ出版

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