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TAB-77装甲兵員輸送車





TAB-77装甲兵員輸送車は、TAB-71装甲兵員輸送車の後継としてルーマニアで国内開発された8輪装甲車である。
1977年に制式化されたTAB-77装甲兵員輸送車は、基本的には旧ソ連製のBTR-70装甲兵員輸送車をライセンス生産したものであるが、各部にルーマニア独自の改良が採り入れられている。

まずエンジンが原型の出力120hpのガソリン・エンジン2基から、出力132hpのディーゼル・エンジン2基に換装されている。
ガソリンは軽油と比べて引火し易いため戦闘車両としては脆弱性の一要素であり、事実BTR-70装甲兵員輸送車は旧ソ連軍のアフガニスタン侵攻の際に、イスラム武装勢力からの攻撃によって燃料タンク内のガソリンが炎上して大きな被害を受けている。

TAB-77装甲兵員輸送車はディーゼル・エンジンを採用したことにより乗員の生残性が向上しており、同時に燃費効率の向上にも繋がっている。
またTAB-71M装甲兵員輸送車で導入されたルーマニア製の新型砲塔が、TAB-77装甲兵員輸送車にも受け継がれている。

TAB-71/71M装甲兵員輸送車は、原型となったBTR-60PB装甲兵員輸送車と同じく車体上部のハッチからしか乗員が乗降することができないことが欠点として挙げられていたが、TAB-77装甲兵員輸送車では第2・第3車軸の間の車体側面下部に三角形の前開き式の乗降用ハッチが新たに設けられており、乗員の乗降の利便性が向上している。

なおTAB-77装甲兵員輸送車の改良型として、武装を旧ソ連製の87口径23mm機関砲2A14と、9M14「マリュートカ」(赤ん坊)対戦車ミサイルに強化したタイプが1980年代に試作されたが、こちらは結局採用されなかった。
TAB-77装甲兵員輸送車は現在、約170両がルーマニア陸軍に配備されている。
中国も少数のTAB-77装甲兵員輸送車をライセンス生産したようだが、現在も現役に残っているかどうかは定かでない。


<TAB-77装甲兵員輸送車>

全長:    7.42m
全幅:    2.94m
全高:    2.34m
全備重量: 13.4t
乗員:    3名
兵員:    8名
エンジン:  サヴィエム797-05M1 直列6気筒液冷ディーゼル×2
最大出力: 264hp/3,000rpm
最大速度: 83km/h(浮航 10km/h)
航続距離: 550km
武装:    14.5mm重機関銃KPVT×1 (600発)
        7.62mm機関銃PKT×1 (2,500発)
装甲厚:   6〜14mm


<参考文献>

・「パンツァー2001年9月号 ルーマニアの軽装甲車 TABC-79」 齋木伸生 著  アルゴノート社
・「パンツァー2011年10月号 現代のルーマニア軍」 鹿内誠 著  アルゴノート社
・「世界のAFV 2021〜2022」  アルゴノート社
・「世界の最新装輪装甲車カタログ」  三修社


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