ZTS T-72M1／M2戦車

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ZTS T-72M1／M2戦車


1979～80年からチェコスロヴァキアは旧ソ連とT-72戦車のライセンス生産の契約を結び、国内および輸出向けの生産を行ってきたが、その生産に関与したメーカーの1つがスロヴァキアのZTS社（Závody ťažkého strojárstva：国営戦車工場）であった。 1993年にチェコとスロヴァキアが分離独立した結果、スロヴァキアは独自にT-72戦車の改良型を製作し兵器ビジネスに乗り出すことになった。旧来はZTSマルティン社が車体を担当し、ZTSデュブニカ・ナド・バーフォム社が砲塔の製作を行っていたが、現在はマルティンのZTSテース・マルティン社に集約されている。元々チェコスロヴァキアがライセンス生産を行っていたのは、T-72戦車の輸出用ヴァージョンの1つであるT-72M1戦車で、51口径125mm滑腔砲2A46装備、V-46-6 V型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル・エンジン（出力780hp）搭載、鋳造砲塔に低平な車体構造と原型と基本的に違いは無い。 ZTS社では現在までにこのT-72M1戦車を原型としてT-72M1モデルナ、T-72M1-A、T-72M2などの各種の改良型を製作している。 T-72M1モデルナ戦車では防御力向上のため、スロヴァキア国産の「ダイナ」と呼ばれるERA（爆発反応装甲）のブロックが車体前面と砲塔前面、前上面に多数装着されている。この装甲材は、かなり厚みがあるのが特徴である。 FCS（射撃統制システム）は新型のコンピューター化装置となり、砲手用にはレーザー測遠機付きTPD-K1昼間サイトおよびベガ赤外線夜間サイト、車長用にはフランスのSFIM社製のVS580ルーフマウンテッド安定化昼間展望式サイトが装備されている。また本車の最大の特徴として、対空防御用に砲塔の左右側面に外装式にスイスのエリコン社製の20mm機関砲KAA-001が装備されている。 T-72M1-A戦車では、タンデム弾頭にも対応した新型ERAのブロックが装着されているといわれる。 FCSはスロヴァキア製のEFCS-72Aコンピューター化装置となり、車長用にSGS-72A安定化パッシブサイト、レーザー警報装置が追加されている。エンジンは出力850hpのS-12U V型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル・エンジンとなり、変速機も新型となっている。ただし、砲塔側面の機関砲は装備されていない。 T-72M2戦車ではやはり車体、砲塔にERAのブロックが装着されている。 FCSは砲手用はレーザー測遠機付きTPD-K1昼間サイト、およびフォンタナTIGS昼／赤外線夜間サイト、車長用にはSFIM社製のレーザー測遠機付きMVS580安定化昼／赤外線夜間展望式サイトが装備されている。これらの機器は電子モジュール化され弾道コンピューター、コントロール・パネル、CRTディスプレイと結合されている。エンジンはやはり出力850hpのS-12Uディーゼル・エンジンで、変速機も新型となっている。またモデルナ同様、砲塔側面には右側のみロシア製の30mm機関砲2A42が装備されている。この機関砲は砲塔右側面に主砲とは独立して装備され、対地・対空攻撃に威力を発揮する。これは、戦車にとって最大の敵となりつつある地上攻撃ヘリコプターを追い払うのに有効だと思われる。派生型としてはチェコ、スロヴァキア陸軍が採用している装輪式のズザナ155mm自走榴弾砲の砲塔を流用し、T-72戦車車体に搭載したズザナT-72M1 155mm自走榴弾砲が製作され、インド陸軍の次期自走砲計画に提案されたが採用されなかった。
＜T-72M1モデルナ戦車＞全長：　　　　9.53m 車体長：　　 6.91m 全幅：　　　　3.59m 全高：　　　　2.37m 全備重量：　43.5t 乗員：　　　　3名エンジン：　　S-12U 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル最大出力：　850hp／2,300rpm 最大速度：　60km／h 航続距離：　500km 武装：　　　　51口径125mm滑腔砲2A46×1　（38発）　　　　　　　 85口径20mm機関砲KAA-001×2 　　　　　　　 7.62mm機関銃TKvz.59×1　（2,000発）装甲：　　　　複合装甲
＜T-72M1-A戦車＞全長：　　　　9.53m 車体長：　　 6.86m 全幅：　　　　3.59m 全高：　　　　2.19m 全備重量：　48.0t 乗員：　　　　3名エンジン：　　S-12U 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル最大出力：　850hp／2,300rpm 最大速度：　60km／h 航続距離：　620km 武装：　　　　51口径125mm滑腔砲2A46×1　（44発）　　　　　　　 12.7mm重機関銃NSVT×1　（300発）　　　　　　　 7.62mm機関銃TKvz.59×1　（2,000発）装甲：　　　　複合装甲
＜T-72M2戦車＞全長：　　　　9.53m 車体長：　　 6.86m 全幅：　　　　3.65m 全高：　　　　2.19m 全備重量：　48.0t 乗員：　　　　3名エンジン：　　S-12U 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル最大出力：　850hp／2,300rpm 最大速度：　60km／h 航続距離：　600km 武装：　　　　51口径125mm滑腔砲2A46×1　（39発）　　　　　　　 80.5口径30mm機関砲2A42×1　（250発）　　　　　　　 7.62mm機関銃TKvz.59×1　（2,000発）装甲：　　　　複合装甲
＜参考文献＞・「パンツァー2002年10月号　東欧諸国でリメイクされたT-72戦車シリーズ」　古是三春　著　　アルゴノート社・「パンツァー2008年7月号　T-72戦車開発・構造とそのバリエーション(3)」　白井和弘　著　　アルゴノート社・「パンツァー2021年9月号　拡散し独自の発展を遂げるT-72」　藤村純佳　著　　アルゴノート社・「パンツァー2003年10月号　東ヨーロッパのT-72改造型輸出用戦車」　　アルゴノート社・「グランドパワー2003年8月号　ソ連戦車T-72 (2)」　古是三春　著　　ガリレオ出版・「グランドパワー2019年8月号　ソ連軍主力戦車(3)」　後藤仁　著　　ガリレオ出版・「ソビエト・ロシア戦車王国の系譜」　古是三春　著　　酣燈社・「世界の最新兵器カタログ陸軍編」　　三修社・「新・世界の主力戦車カタログ」　　三修社・「世界の主力戦車カタログ」　　三修社・「世界の最新陸上兵器 300」　　成美堂出版

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1979～80年からチェコスロヴァキアは旧ソ連とT-72戦車のライセンス生産の契約を結び、国内および輸出向けの生産を行ってきたが、その生産に関与したメーカーの1つがスロヴァキアのZTS社（Závody ťažkého strojárstva：国営戦車工場）であった。 1993年にチェコとスロヴァキアが分離独立した結果、スロヴァキアは独自にT-72戦車の改良型を製作し兵器ビジネスに乗り出すことになった。旧来はZTSマルティン社が車体を担当し、ZTSデュブニカ・ナド・バーフォム社が砲塔の製作を行っていたが、現在はマルティンのZTSテース・マルティン社に集約されている。元々チェコスロヴァキアがライセンス生産を行っていたのは、T-72戦車の輸出用ヴァージョンの1つであるT-72M1戦車で、51口径125mm滑腔砲2A46装備、V-46-6 V型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル・エンジン（出力780hp）搭載、鋳造砲塔に低平な車体構造と原型と基本的に違いは無い。 ZTS社では現在までにこのT-72M1戦車を原型としてT-72M1モデルナ、T-72M1-A、T-72M2などの各種の改良型を製作している。 T-72M1モデルナ戦車では防御力向上のため、スロヴァキア国産の「ダイナ」と呼ばれるERA（爆発反応装甲）のブロックが車体前面と砲塔前面、前上面に多数装着されている。この装甲材は、かなり厚みがあるのが特徴である。 FCS（射撃統制システム）は新型のコンピューター化装置となり、砲手用にはレーザー測遠機付きTPD-K1昼間サイトおよびベガ赤外線夜間サイト、車長用にはフランスのSFIM社製のVS580ルーフマウンテッド安定化昼間展望式サイトが装備されている。また本車の最大の特徴として、対空防御用に砲塔の左右側面に外装式にスイスのエリコン社製の20mm機関砲KAA-001が装備されている。 T-72M1-A戦車では、タンデム弾頭にも対応した新型ERAのブロックが装着されているといわれる。 FCSはスロヴァキア製のEFCS-72Aコンピューター化装置となり、車長用にSGS-72A安定化パッシブサイト、レーザー警報装置が追加されている。エンジンは出力850hpのS-12U V型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル・エンジンとなり、変速機も新型となっている。ただし、砲塔側面の機関砲は装備されていない。 T-72M2戦車ではやはり車体、砲塔にERAのブロックが装着されている。 FCSは砲手用はレーザー測遠機付きTPD-K1昼間サイト、およびフォンタナTIGS昼／赤外線夜間サイト、車長用にはSFIM社製のレーザー測遠機付きMVS580安定化昼／赤外線夜間展望式サイトが装備されている。これらの機器は電子モジュール化され弾道コンピューター、コントロール・パネル、CRTディスプレイと結合されている。エンジンはやはり出力850hpのS-12Uディーゼル・エンジンで、変速機も新型となっている。またモデルナ同様、砲塔側面には右側のみロシア製の30mm機関砲2A42が装備されている。この機関砲は砲塔右側面に主砲とは独立して装備され、対地・対空攻撃に威力を発揮する。これは、戦車にとって最大の敵となりつつある地上攻撃ヘリコプターを追い払うのに有効だと思われる。派生型としてはチェコ、スロヴァキア陸軍が採用している装輪式のズザナ155mm自走榴弾砲の砲塔を流用し、T-72戦車車体に搭載したズザナT-72M1 155mm自走榴弾砲が製作され、インド陸軍の次期自走砲計画に提案されたが採用されなかった。
＜T-72M1モデルナ戦車＞全長：　　　　9.53m 車体長：　　 6.91m 全幅：　　　　3.59m 全高：　　　　2.37m 全備重量：　43.5t 乗員：　　　　3名エンジン：　　S-12U 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル最大出力：　850hp／2,300rpm 最大速度：　60km／h 航続距離：　500km 武装：　　　　51口径125mm滑腔砲2A46×1　（38発）　　　　　　　 85口径20mm機関砲KAA-001×2 　　　　　　　 7.62mm機関銃TKvz.59×1　（2,000発）装甲：　　　　複合装甲
＜T-72M1-A戦車＞全長：　　　　9.53m 車体長：　　 6.86m 全幅：　　　　3.59m 全高：　　　　2.19m 全備重量：　48.0t 乗員：　　　　3名エンジン：　　S-12U 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル最大出力：　850hp／2,300rpm 最大速度：　60km／h 航続距離：　620km 武装：　　　　51口径125mm滑腔砲2A46×1　（44発）　　　　　　　 12.7mm重機関銃NSVT×1　（300発）　　　　　　　 7.62mm機関銃TKvz.59×1　（2,000発）装甲：　　　　複合装甲
＜T-72M2戦車＞全長：　　　　9.53m 車体長：　　 6.86m 全幅：　　　　3.65m 全高：　　　　2.19m 全備重量：　48.0t 乗員：　　　　3名エンジン：　　S-12U 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル最大出力：　850hp／2,300rpm 最大速度：　60km／h 航続距離：　600km 武装：　　　　51口径125mm滑腔砲2A46×1　（39発）　　　　　　　 80.5口径30mm機関砲2A42×1　（250発）　　　　　　　 7.62mm機関銃TKvz.59×1　（2,000発）装甲：　　　　複合装甲
＜参考文献＞・「パンツァー2002年10月号　東欧諸国でリメイクされたT-72戦車シリーズ」　古是三春　著　　アルゴノート社・「パンツァー2008年7月号　T-72戦車開発・構造とそのバリエーション(3)」　白井和弘　著　　アルゴノート社・「パンツァー2021年9月号　拡散し独自の発展を遂げるT-72」　藤村純佳　著　　アルゴノート社・「パンツァー2003年10月号　東ヨーロッパのT-72改造型輸出用戦車」　　アルゴノート社・「グランドパワー2003年8月号　ソ連戦車T-72 (2)」　古是三春　著　　ガリレオ出版・「グランドパワー2019年8月号　ソ連軍主力戦車(3)」　後藤仁　著　　ガリレオ出版・「ソビエト・ロシア戦車王国の系譜」　古是三春　著　　酣燈社・「世界の最新兵器カタログ陸軍編」　　三修社・「新・世界の主力戦車カタログ」　　三修社・「世界の主力戦車カタログ」　　三修社・「世界の最新陸上兵器 300」　　成美堂出版