1930年にイギリスを訪れたソ連軍機械化・自動車化局（UMM）のI.A.ハレプスキー局長は、数種類の戦車をライセンス生産の権利込みで購入する契約を結んでいる。
この契約に基づいて、1931年にヴィッカーズ・アームストロング社から8両のA4水陸両用軽戦車が購入され、実用試験とデータ収集が行われる運びとなった。

A4水陸両用軽戦車はレニングラード（現サンクトペテルブルク）の第232ボリシェヴィーク工場と、モスクワの第37（自動車）工場に運び込まれているが、第232工場に置かれたAVO-5特別設計局のN.A.アストロフ技師によってA4水陸両用軽戦車の国産化が実施されることとなり、1932年には試作車を完成させている。
この戦車には当初「MT-33」（”MT”はMalyy Tank：小型戦車の略）の試作名称が与えられたが、後に「T-33」に改称されている。

一方同じ1932年に第37工場のN.N.コズィレフ技師は、A4水陸両用軽戦車に独自の改良を加えたT-41水陸両用軽戦車の試作車を完成させた。
T-41水陸両用軽戦車は戦闘重量3.2t、車体長3.67mの2名用の小型戦車で、足周りは第232工場のT-33水陸両用軽戦車とほぼ同様のリーフ・スプリング（板ばね）式サスペンションを採用しており、エンジンおよびディファレンシャル・ギアも同じく国産のGAZ-AA 4×2トラックのものを流用していた。

武装は、後のT-37水陸両用軽戦車とほぼ同形状の全周旋回式砲塔に7.62mm機関銃DTを1挺装備していた。
路上最大速度は40km/hで、車体後部に設けたスクリュー推進での浮航速度は4.5km/hを発揮したが、T-33水陸両用軽戦車やT-37水陸両用軽戦車が車体両側面に持っていたバルサ材のフロートを省いていたため、浮力不足で水上での行動が安定しなかった。
これらが主要な理由となって、T-41水陸両用軽戦車は試作段階で開発が中止された。