Strv.m/40軽戦車
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+概要
1939年9月のドイツ軍のポーランド侵攻によって第2次世界大戦が勃発した結果、スウェーデン軍は急遽ランツヴェルク社が開発したL-60軽戦車の改良型であるL-60D軽戦車を、「Strv.m/39」(Stridsvagn
modell 39:39式戦車)として制式採用した。
しかしStrv.m/39軽戦車は幾つかの不具合を抱えており、実際に運用してみると期待した性能を発揮できなかったため、1940年にわずか数両が生産されたに留まった。
そこでランツヴェルク社は、Strv.m/39軽戦車をさらに改良した新型戦車を開発した。
これが「Strv.m/40」(Stridsvagn modell 40:40式戦車)で、1940年にスウェーデン軍に制式採用された。
主な改良点は変速機等の操向、機関系統で、2段切り替え式ディファレンシャルを組み合わせた油圧式変速機などが採用されていた。
Strv.m/40軽戦車はStrv.m/39軽戦車の9tから9.5tに戦闘重量が増加しているが、改良の効果か性能データに違いは無い。
本車は1941年にランツヴェルク社で生産されたが、その正確な数は不明である。
ただしStrv.m/38、39、40軽戦車は合わせて120両が発注されたとされるので、この内100両程度をStrv.m/40軽戦車が占めていたものと思われる。
Strv.m/40軽戦車は1941年という段階ではさすがに火力・装甲共に力不足であったが、スウェーデン軍はさらに本車の改良を続けた。
それが、1944年に生産されたStrv.m/40軽戦車の後期生産型である。
本車は前期生産型の装甲厚を最大50mmに強化し、10.9tに増加した戦闘重量に対して機動力を補うため、エンジンをスカニア・ヴァビス社製のL603
直列6気筒液冷ガソリン・エンジン(出力160hp)に換装していた。
しかし武装は前期生産型と同じ37mm戦車砲のままで、列強の戦車に対抗するにはあまりにも非力であった。
なお後期生産型の生産はカールスタード(Karlstad)社が担当しており、通常ランツヴェルク(Landsverk)社が生産した前期生産型を「Strv.m/40軽戦車L型」、後期生産型を「Strv.m/40軽戦車K型」と呼ぶ。
K型の生産数については、よく分かっていない。
スウェーデン軍では1939年頃から歩兵連隊への戦車の配備が始められ、1942年頃から諸外国に習った戦車連隊の編制が進められた。
Strv.m/38、39、40軽戦車は、チェコスロヴァキア製のTNH軽戦車の改良ライセンス生産型であるStrv.m/41軽戦車と共に、スウェーデン軍戦車部隊の主力戦力の座を担ったのである。
しかしStrv.m/38、39、40軽戦車の歴史は、これだけでは終わらなかった。
スウェーデンは第2次世界大戦に加わらなかったこともあり、Strv.m/38、39、40軽戦車の損耗はほとんど無かった。
貧乏な小国軍隊としては、その有効利用を図ろうとするのは当然であった。
このため戦後スウェーデン軍は、Strv.m/40軽戦車を改造した自走砲を製作した。
この自走砲は、「Pvkv.2」(Pansarvärnskanonvagn 2:2式対戦車自走砲)として制式化された。
Pvkv.2対戦車自走砲は37mm戦車砲を装備するStrv.m/40軽戦車の砲塔に代え、車体に比べてかなり大型の砲塔を搭載し57mm対戦車砲を装備していた。
少々不恰好ではあるが、全周旋回式の完全密閉砲塔にこれまでに倍加する能力の武装を装備しており、能力強化型としては良くできた車両であった。
なお、どの程度のStrv.m/40軽戦車がPvkv.2対戦車自走砲に改造されたか、部隊での運用実績等は不明である。
Strv.m/38、39、40軽戦車は戦後はさすがに戦力価値は無くなったものの、スウェーデン軍はこれらを1950年代まで使用し続けた。
さらに、スウェーデン軍を退役した後数両のStrv.m/40軽戦車がドミニカに輸出され、1970年代まで現役に留まっていた。
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<Strv.m/40軽戦車L型>
全長: 4.902m
全幅: 2.108m
全高: 2.083m
全備重量: 9.5t
乗員: 3名
エンジン: スカニア・ヴァビス1664 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 142hp
最大速度: 44.8km/h
航続距離:
武装: 45口径37mm戦車砲m/38×1
8mm機関銃Ksp.m/39×2
装甲厚: 最大24mm
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<Strv.m/40軽戦車K型>
全長: 4.902m
全幅: 2.108m
全高: 2.083m
全備重量: 10.9t
乗員: 3名
エンジン: スカニア・ヴァビスL603 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 160hp
最大速度: 44.8km/h
航続距離:
武装: 45口径37mm戦車砲m/38×1
8mm機関銃Ksp.m/39×2
装甲厚: 最大50mm
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<参考文献>
・「パンツァー2000年2月号 ランツベルクL-60シリーズ軽戦車」 水上眞澄 著 アルゴノート社
・「パンツァー2012年4月号 ランツベルグ社の戦車シリーズ」 竹内修 著 アルゴノート社 ・「グランドパワー2019年9月号 スウェーデン戦車発達史」 斎木伸生 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2011年5月号 スウェーデン・アーセナル戦車博物館(2)」 ガリレオ出版
・「世界の戦車
1915~1945」 ピーター・チェンバレン/クリス・エリス 共著 大日本絵画
・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版
・「世界の無名戦車」 斎木伸生 著 三修社
・「戦車名鑑
1939~45」 コーエー
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