スウェーデンのランツヴェルク社が1934年に開発したL-60軽戦車は、1930年代初期における最も優れた軽戦車の1つであり、ランツヴェルク社が積極的に海外への売り込みを図った結果、「38Mトルディ」の呼称でハンガリーでライセンス生産が行なわれ、アイルランドにも数両が輸出された。
しかし本家本元のスウェーデン軍では、L-60軽戦車はそのままでは採用されなかった。

このためランツヴェルク社ではL-60軽戦車を改良し、L-60A、L-60B、L-60C等の改良型を製作した。
L-60C軽戦車では主砲がデンマーク製の60口径20mmマドセン機関砲から、国産のボフォース社製の45口径37mm戦車砲に強化されたのが特徴であった。
スウェーデン軍はランツヴェルク社側とは違い強い武装を望んでいたようで、結局このL-60C軽戦車が1938年に「Strv.m/38」（Stridsvagn modell 38：38式戦車）として制式化された。

Strv.m/38軽戦車は16両が発注され、これらは1939年中に完成している。
発注数が少なかったのは、ほとんど試験的な採用だったためと思われる。
なおStrv.m/38軽戦車は原型のL-60軽戦車より出力の劣る、スカニア・ヴァビス社製の1664 直列6気筒液冷ガソリン・エンジン（出力142hp）を搭載していた。

国際情勢の緊迫化からエンジンも自国製にこだわったのだろうが、このため路上最大速度はL-60軽戦車の48km/hから45km/hに低下している。
またL-60軽戦車の操向レバーに代えて、Strv.m/38軽戦車では円形の操向ハンドルを操作して操縦するように改められ、方向転換が容易に行なえるようになった。