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+概要
スウェーデン陸軍は第2次世界大戦終了後、大戦時のStrv.m/42中戦車を引き続き主力MBT(主力戦車)として使用すると共に、1950年代にイギリスからセンチュリオン戦車シリーズの導入を開始した。
スウェーデン陸軍は240両のセンチュリオンMk.3戦車(Strv.81戦車)と、110両のセンチュリオンMk.10戦車(Strv.101戦車)を導入し、近代化改修を繰り返しながら長く運用してきたが、1980年代に入る頃にはさすがに旧式化が目立っていた。
このためスウェーデン陸軍は1984年に、センチュリオン戦車シリーズの後継として「Strv.2000」(Stridsvagn 2000:2000年代型戦車)の呼称で、新型MBTの開発に着手した。
スウェーデン陸軍のまとめたStrv.2000戦車の基本仕様は、以下のようなものであった。
・戦闘重量55t
・乗員は車長、砲手、操縦手の3名
・砲塔に自動装填装置付きの140mm滑腔砲を搭載する
・主砲と同軸に40mm機関砲を装備する
・被弾確率を下げるため、砲塔と車体を低平な構造にする
・パワーパックは車体前方に配置する
・モジュール式の増加装甲を装着する
このようにStrv.2000戦車は斬新なコンセプトで設計され、高い性能を備えていたが、そのために開発に長い期間を要し、製造コストも非常に高くなることが見込まれたため、木製モックアップが製作されただけで1987年に開発中止が決定された。
スウェーデン陸軍はStrv.2000戦車の代わりに、外国から最新型のMBTを導入することにし、さらに国内でライセンス生産を行うことも計画した。
スウェーデン陸軍の次期MBTの候補には当初、アメリカのジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ社製のM1A1エイブラムズ戦車と、西ドイツのクラウス・マッファイ社(現クラウス・マッファイ・ヴェクマン社)製のレオパルト2戦車改良型(TVM-I)が挙げられ、1989年に両社から試験車両が送られて性能比較試験が開始された。
後にフランスのGIAT社(現ネクスター社)製の、ルクレール戦車も次期MBTの候補に加えられ、M1A1戦車も新型のM1A2戦車に変更されて、1994年1〜6月にかけて性能比較試験が実施された。
試験の結果、スウェーデン陸軍はレオパルト2戦車改良型を、「Strv.122」(Stridsvagn 122:122型戦車)の呼称で、次期MBTとして制式採用することを決定し、1994年6月20日にクラウス・マッファイ社との間で、120両のStrv.122戦車の購入契約が結ばれた。
このうち最初の20両はクラウス・マッファイ社で組み立てが行われ、1996年末〜97年春にかけてスウェーデン陸軍に引き渡された。
残りの100両は、エルンシェルツヴィークのヘグルンド車両(現BAEシステムズ・ヘグルンド社)で組み立てが行われ、1998年初め〜2002年3月にかけてスウェーデン陸軍に納入された。
なお、「Strv.122」はスウェーデン陸軍における呼称であり、ドイツ側ではスウェーデン陸軍向けのレオパルト2戦車を、「レオパルト2S」(”S”はSchweden:スウェーデンの頭文字)と呼んでいた。
またスウェーデン陸軍はStrv.122戦車の発注と合わせて、ドイツ陸軍が予備装備として保管していた中古のレオパルト2A4戦車を「Strv.121」の呼称で160両購入しており、こちらは1994年末頃までに引き渡されている。
スウェーデン陸軍のStrv.122戦車は、基本的にはドイツ陸軍のレオパルト2A5戦車をベースにしているが、各部に改良が施されており、各国に輸出されたレオパルト2A5戦車シリーズの中でも最強との呼び声が高い。
Strv.122戦車の最大の特徴は、装甲防御力がオリジナルより格段に強化されている点である。
オリジナルのレオパルト2A5戦車の車体前面装甲は、原型のレオパルト2A4戦車からそれほど強化されていないが、Strv.122戦車では車体前面が、フェンダー部分の高さまで増加装甲に覆われている。
また砲塔についても、オリジナルと同様に前面と左右側面に増加装甲が装着されただけでなく、Strv.122戦車では砲塔上面にも増加装甲が装着されている。
これは、近年戦車にとって大きな脅威となりつつある、トップアタック方式の対戦車誘導兵器に対抗するためである。
砲塔上面にある車長用ハッチと、装填手用ハッチも装甲が強化されており、重量が増加したため、ハッチが電動のスライド式のものに変更されている。
これらの装甲強化の影響で、オリジナルのレオパルト2A5戦車の戦闘重量が59.5tであるのに対して、Strv.122戦車は62.5tと大幅に重量が増加している。
この重量増加に対応して、Strv.122戦車ではトーションバーとブレーキの強化が行われている。
さらにスウェーデン陸軍は2003年9月から、ドイツ陸軍のレオパルト2A6M戦車と同様の対地雷強化改修をStrv.122戦車に実施しており、改修車には「Strv.122M」」(”M”はMine:地雷の頭文字)の呼称を与えている。
車体下面には増加装甲板、トーションバーにはカバーが装着され、車体下面前部にある操縦手用脱出ハッチの構造も強化されている。
この改修の結果、Strv.122M戦車の戦闘重量は64.5tにまで増加している。
これは、各国のレオパルト2戦車シリーズの中でも最大の重量であるが、エンジン出力は向上させていないことから、Strv.122M戦車の機動力は、オリジナルのレオパルト2A5戦車より若干低下しているものと思われる。
Strv.122戦車でもう1つ特筆すべきことは、車内にデータバスによって航法装置や無線機などに接続された、「TCCS」(Tank Command
and Control System:戦車指揮/統制システム)と呼ばれる、モジュール式のC4Iシステムが導入されていることで、これによりStrv.122戦車は、戦闘情報処理機能がM1A2戦車やルクレール戦車と同等のレベルに向上しており、オリジナルのレオパルト2A5戦車より高い部隊単位戦闘力を発揮できる。
この他にもStrv.122戦車は、オリジナルのレオパルト2A5戦車と細かい部分に違いが見られる。
砲手用サイトのレーザー測遠機は、アイセーフ・レーザー(レーザーの波長とパルスエネルギーを調整して、目に損傷を与え難くしたレーザー)を使用するタイプに変更されており、操縦手用の赤外線暗視装置は、ギリシャのテオン・センサー社製のNX-129パッシブ式暗視装置に変更されている。
弾道計算機は12弾種の弾道データを持つものに変更され、砲塔側面の発煙弾発射機はルクレール戦車と同じ、GIAT社製のGALIX車両防御システムに変更されている。
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Strv.122M戦車
全長: 9.67m
車体長: 7.72m
全幅: 3.76m
全高: 3.03m
全備重量: 64.5t
乗員: 4名
エンジン: MTU MB873Ka-501 4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 1,500hp/2,600rpm
最大速度: 68km/h
航続距離: 340km
武装: 44口径120mm滑腔砲Rh120×1 (42発)
7.62mm機関銃Ksp.58B×2 (4,750発)
装甲: 複合装甲
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参考文献
・「世界の戦車イラストレイテッド24 レオパルト2主力戦車 1979〜1998」 ウーヴェ・シネルバッハー/ミヒャエル・
イェルヒェル 共著 大日本絵画
・「パンツァー2010年12月号 第三世代戦車の流出で活況を呈する世界の戦車マーケット」 竹内修 著 アルゴ
ノート社
・「パンツァー2018年8月号 スウェーデン・バージョンのレオパルト2A5改 Stridsvagn 122」 アルゴノート社
・「パンツァー2002年8月号 レオパルト2の最近代化車体 Strv.122戦車」 齋木伸生 著 アルゴノート社
・「パンツァー2011年3月号 レオパルト2 その30年に渡る発展の軌跡(2)」 竹内修 著 アルゴノート社
・「パンツァー2020年1月号 特集 レオパルト2配備40周年(2)」 竹内修/藤井岳 共著 アルゴノート社
・「パンツァー2014年2月号 世界に拡散するレオパルト2戦車」 荒木雅也 著 アルゴノート社
・「パンツァー2000年2月号 最初の第3世代MBT レオパルト2」 小林直樹 著 アルゴノート社
・「パンツァー2005年10月号 各国採用のレオパルト2の現状」 藤井久 著 アルゴノート社
・「世界のAFV 2021〜2022」 アルゴノート社
・「グランドパワー2005年4月号 レオパルト2 (3)」 一戸崇雄 著 ガリレオ出版
・「世界の戦闘車輌 2006〜2007」 ガリレオ出版
・「世界の主力戦闘車」 ジェイソン・ターナー 著 三修社
・「世界の最新兵器カタログ 陸軍編」 三修社
・「新・世界の主力戦車カタログ」 三修社
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