Sd.Kfz.260/Sd.Kfz.261装甲無線車
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+概要
IA/IB型統制シャシーを用い、Sd.Kfz.223装甲無線車とは別用途のために開発されたのが、Sd.Kfz.260装甲無線車とSd.Kfz.261装甲無線車である。
Sd.Kfz.223装甲無線車が偵察部隊用だったのに対し、Sd.Kfz.260/261装甲無線車は通信部隊用として開発されている。
Sd.Kfz.260/261装甲無線車の車体はSd.Kfz.223装甲無線車と同様、Sd.Kfz.222装甲偵察車からの流用設計であったが、少なくとも既成のデータからすると全長は4.83m、全幅は1.99mで、Sd.Kfz.222装甲偵察車/Sd.Kfz.223装甲無線車よりも若干大きくなっている。
ちなみに全高は1.78mで、戦闘重量は4.3tであった。
偵察任務は考慮されていなかったので、武装付きの旋回砲塔は無かった。
従って、乗員用の9mm機関短銃MP38/MP40以外は非武装車両であった。
また通信強化のため、無線機操作のためのオペレイターが1名追加されたので、乗員は4名に増やされていた。
搭載無線機はSd.Kfz.260装甲無線車の場合、Fu.Spr.Ger.aとFu.7の組み合わせだった。
Fu.7は超短波無線機で通常これは対空無線機として使用されたので、おそらく空軍との連絡用の車両だったものと思われる。
一方、Sd.Kfz.261装甲無線車はFu.Spr.Ger.aとFu.12の組み合わせを搭載しており、これは地上司令部との連絡が任務だったようである。
Sd.Kfz.260/261装甲無線車は砲塔を装備しなかったので、車体上部をかなり大きくカットしてオープントップとしていた。
これに、手榴弾避け用の大型ワイアーメッシュ・カバードアが装備されていた。
このカバードアは左右2枚開き式であったが、開き方はSd.Kfz.222装甲偵察車/Sd.Kfz.223装甲無線車とは違ってヒンジが中心線にあり、いわゆるガルウィング式に跳ね上げるようになっていた。
アンテナはSd.Kfz.260装甲無線車の場合、2mのロッド・アンテナを車体上面左側前方に装備した。
一方Sd.Kfz.261装甲無線車は、Sd.Kfz.223装甲無線車と同様の起倒式フレーム・アンテナを装備していたが、Sd.Kfz.223装甲無線車のものとは若干形状が違っていた。
また本車には、通信レンジを広げるため車内にウィンチマスト式アンテナを立てることもできた。
そのための星型アンテナが、車体左側面後方に装備されていた。
Sd.Kfz.260/261装甲無線車の生産は1940年11月〜1943年4月にかけて行われ、両型合わせて493両が生産された。
これらは消耗しない限り前線で終戦まで使用されたが、代替の後継車両としては半装軌式のSd.Kfz.250/3装甲無線車が用いられた。
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+ドイツ軍4輪装甲車の部隊配備
Sd.Kfz.221/222装甲偵察車およびSd.Kfz.223装甲無線車は、機甲師団内の装甲偵察大隊に配備された。
初期における偵察部隊は4輪、6輪、8輪装甲車の混成から成っており、中隊内の第1小隊は8輪装甲車であるのが普通であり、Sd.Kfz.221装甲偵察車は第2、第3小隊に、Sd.Kfz.222装甲偵察車は第2小隊に配備されていた。
また、無線通信を任務としたSd.Kfz.223装甲無線車は中隊本部に配備された。
一方Sd.Kfz.260/261装甲無線車は、機甲師団司令部や戦車連隊司令部の本部付通信小隊や、師団内の通信大隊に配備されている。
これらはもちろん年代の推移により編制は変化し、使用車種も4輪装甲車から、Sd.Kfz.250半装軌式装甲車やSd.Kfz.234 8輪装甲車といったものに変更されていったが、残存車両はそのまま使用され続けた。
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<Sd.Kfz.260/Sd.Kfz.261装甲無線車>
全長: 4.83m
全幅: 1.99m
全高: 1.78m
全備重量: 4.3t
乗員: 4名
エンジン: ホルヒV8-108 4ストロークV型8気筒液冷ガソリン
最大出力: 75hp/3,600rpm
最大速度: 80km/h
航続距離: 310km
武装:
装甲厚: 5〜8mm
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<参考文献>
・「パンツァー2008年3月号 ドイツAFVアルバム(329)」 久米幸雄 著 アルゴノート社
・「ピクトリアル
ドイツ装輪装甲車」 アルゴノート社
・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画
・「グランドパワー2011年10月号 ドイツ4輪装甲車」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー1999年8月号 ドイツ4輪装甲車」 佐藤光一 著 デルタ出版
・「世界の軍用車輌(4)
装輪式装甲車輌:1904〜2000」 デルタ出版
・「図解・ドイツ装甲師団」 高貫布士 著 並木書房
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