+概要
Sd.Kfz.253装甲観測車は、突撃砲部隊の射撃管制用観測車両として1939年に開発されたもので、Sd.Kfz.252装甲弾薬運搬車やSd.Kfz.250装甲兵員輸送車と同様、1tハーフトラック(Sd.Kfz.10)をベースとして製作された半装軌式装甲車である。
1940年5〜6月のフランス戦時に第640、第659、第660および第665突撃砲中隊で使用され、後には東部戦線でこの他の突撃砲中隊と行動を共にしている。
Sd.Kfz.253のシャシーは、Sd.Kfz.252やSd.Kfz.250と同じものを用いており、全体的なデザインはSd.Kfz.250とほとんど変わらなかったが、突撃砲と行動を共にする関係でSd.Kfz.252と同様、戦闘室上面は装甲板で塞がれて密閉式となっており、車体前面の装甲厚は18mmに強化されていた。
戦闘室上面には、中央やや左前寄りに左右開き式の旋回可能な円形ハッチがあり、その一部に観測用双眼鏡を出すための小ハッチが設けられていた。
円形ハッチの後ろには横開き式の角形ハッチが装備されており、また戦闘室後面の乗降用ドアには視察ブロックが装備されていた。
無線機は、Fu.15とFu.16の両方を戦闘室内前部左側に搭載していた。
Fu.15はh型超短波無線機で、受信専用であった。
Fu.16は出力10Wのh型送信機と、h型受信機を組み合わせた超短波無線機であった。
アンテナは2mのロッド型で、戦闘室側面後部に装備された起倒式マウントに取り付けられた。
戦闘室上面右側には、アンテナを倒した時の木製収納ケースも装備されていた。
乗員は4名で武装は少なくとも、オーベルンドルフ・アム・ネッカーのマウザー製作所製の7.92mm機関銃MG34が1挺装備されていたことが分かっている。
Sd.Kfz.253の装甲ボディはカッセルのヴェクマン社と、オーストリア・カプフェンベルクのベーラー社で製作され、組み立てはベルリン・シュターケンのDFW社(DEMAG
Fahrzeugwerke:デマーク車両製作所)で行われた。
Sd.Kfz.253は1940年3月から生産が開始されたが、コストの問題などにより1941年6月までに285両が完成した時点で生産は打ち切られている。
Sd.Kfz.253の生産終了に伴い、代替車両として砲兵部隊用の観測車両として作られたSd.Kfz.250/5装甲観測車が使用されたが、後に直接の後継たるSd.Kfz.250/4装甲観測車が生産され、突撃砲部隊に配備された。
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