Sd.Kfz.251/9 7.5cm自走砲
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+概要
Sd.Kfz.251/9はSd.Kfz.251装甲兵員輸送車に、エッセンのクルップ社製の24口径7.5cm砲を搭載した火力支援車両で、Sd.Kfz.251/4砲牽引装甲車の後継として重装甲擲弾兵中隊に配備された。
Sd.Kfz.251/9の開発の発端はIV号戦車が主砲を、デュッセルドルフのラインメタル・ボルジヒ社製の長砲身(43または48口径)7.5cm戦車砲KwK40に換装したことにより、余った旧式の24口径7.5cm戦車砲KwK37を活用すべく、これを搭載する装甲車両が要求されたためである。
1942年3月31日にブラウンシュヴァイクのビューシンクNAG社に開発が下命され、同年6月に試作車2両が完成し、実戦試験のため東部戦線へ送られた。
試験の結果は良好で、1942年中に150両のSd.Kfz.251/9が発注されている。
主武装の7.5cm戦車砲KwK37は戦闘室前部の右側席を廃止し、その視察ヴァイザー部周囲から上を切り欠いて設置された。
砲は、床板に取り付けられた板折りで作られた台座(砲架)に固定され、左側には揺架に取り付けられた照準手シートと、その前に装備されたSfl.ZF.1直接照準機があった。
砲には小さな防盾が付いていたが、それを囲うように戦闘室前部に固定式の大型防盾が設けられた。
7.5cm戦車砲KwK37の設置に伴い、Fu.Spr.Ger.f型隊内無線機は戦闘室内左側後方に、アンテナ共々移設されていた。
戦闘室内のベンチシートは右後方の2名掛け用のものしかなく、向かい側に7.5cm砲弾を52発収容するボックスが装備されていた。
乗員は3名で、副武装はオベルンドルフ・アム・ネッカーのマウザー製作所製の7.92mm機関銃MG34または、デーベルンのMLJG社(Metall
und Lackwarenfabrik Johannes Großfuß:ヨハネス・グロースフース金属・漆器製作所)製の7.92mm機関銃MG42が1挺と、エアフルトのエルマ製作所製の9mm機関短銃MP38(MP40)
2挺であった。
1944年には主砲の搭載方法を変更した後期型が開発されたが、これは戦闘室内を改造する手間を省くため、戦闘室前部の天井に直接7.5cm砲を搭載するようになっていた。
搭載方法の変更に併せて、7.5cm砲自体も「K51」(Kanone 51:51型加農砲)と呼ばれる改良型に変更された。
K51では主砲の右横に、同軸としても使用可能な機関銃架が設置されていた。
K51には連動して旋回する横長の角形の防盾が取り付けられており、戦闘室の左右側面にも防御装甲板が上部に追加装備されていた。
これは同じ砲を装備したSd.Kfz.250/8 B型や、Sd.Kfz.234/3とも共通している。
7.5cm砲の旋回角はKwK37、K51共に左右各12度ずつで、俯仰角は-10~+12度であった。
後期型の車内の様子は、砲の台座が無い以外は初期型と同様であった。
ただし操縦手席右側のシートは廃止され、視察ヴァイザーも四角い装甲板で塞がれていた。
Sd.Kfz.251/9は、Sd.Kfz.251装甲兵員輸送車C/D型をベース車台として用いており、後期型は全てD型をベースとしていた。
本来ならば歩兵支援を主任務とするIII号突撃砲が、対戦車戦闘を目的として長砲身化されてしまったため、有効的な歩兵支援を行うSd.Kfz.251/9は各戦線において、歩兵たちから強い支持を受けることとなった。
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<Sd.Kfz.251/9 7.5cm自走砲 初期型>
全長: 5.80m
全幅: 2.10m
全高: 2.07m
全備重量: 8.53t
乗員: 3名
エンジン: マイバッハHL42TUKRM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 53km/h
航続距離: 300km
武装: 24口径7.5cm戦車砲KwK37×1 (52発)
7.92mm機関銃MG34×1 (2,010発)
装甲厚: 6~14.5mm
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<Sd.Kfz.251/9 7.5cm自走砲 後期型>
全長: 5.98m
全幅: 2.10m
全高: 2.07m
全備重量: 8.53t
乗員: 3名
エンジン: マイバッハHL42TUKRM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 53km/h
航続距離: 300km
武装: 24口径7.5cm加農砲K51×1 (52発)
7.92mm機関銃MG42×1 (2,010発)
装甲厚: 6~14.5mm
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兵器諸元(Sd.Kfz.251/9 7.5cm自走砲 後期型)
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<参考文献>
・「パンツァー2001年11月号 AFV比較論 Sdkfz.251/M3ハーフトラック」 斎木伸生 著 アルゴノート社
・「ピクトリアル
ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社
・「グランドパワー2012年7月号 ドイツ装甲兵員輸送車写真集(2)」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2007年9月号 ドイツ装甲兵員輸送車(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「SdKfz251」 山本敬一 著 デルタ出版
・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画
・「図解・ドイツ装甲師団」 高貫布士 著 並木書房
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