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●Sd.Kfz.251/3装甲無線車 Sd.Kfz.251/3装甲無線車は指揮用の大型無線機搭載車両で、用途によって搭載無線機が違うためサブ・ヴァリエーションが5タイプ存在した。 いずれも乗員は7名で、戦闘室右側後部のベンチシートを撤去して増設無線機用のパイプ式ラックを設置していた(一部に違う型式のものも見られる)。 武装は7.92mm機関銃MG34(MG42) 2挺、9mm機関短銃MP38(MP40) 2挺、それに7.92mm小銃Kar98k 4挺である。 なおSd.Kfz.251/3装甲無線車のベース車台には、Sd.Kfz.251装甲兵員輸送車A〜D型の全ての型式が用いられた。 |
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●タイプ1 このタイプは師団内の砲兵隊と戦車部隊との連絡用車両で、Fu.8、Fu.5、Fu.4の3つの無線機を搭載していた。 Fu.8は、出力30Wの送信機とc型受信機を組み合わせた中波帯無線機であった。 アンテナは戦闘室上部に取り付けられたフレーム型で、後に8mの伸縮式星型アンテナに変更した車両も出現した。 ただし両方とも、1944年以降は小型の星型アンテナに変更されている。 最大レンジはフレームアンテナの場合打電式で50km、音声式で15kmであった。 大型星型アンテナの場合は打電式で150km、音声式で50kmであった。 Fu.5は超短波無線機で、出力10Wの送信機とe型受信機を組み合わせたものであった。 アンテナは、2mのロッド型を装備した。 Fu.4はc型中波帯無線機で、受信専用であった。 |
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●タイプ2 このタイプは師団本部と砲兵隊との連絡用車両で、無線機はFu.8とFu.4を搭載していた。 アンテナ等の装備に関しては、タイプ1と同じである。 |
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●タイプ3 このタイプは師団本部と戦車部隊との連絡用車両で、無線機はFu.8とFu.5を搭載していた。 アンテナ等の装備に関しては、タイプ1と同じである。 |
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●タイプ4 このタイプは空軍との連絡用車両で、受信専用の中波帯無線機Fu.1と航空機連絡用のFu.7無線機を搭載していた。 Fu.7は出力20Wの送信機とd1型受信機から成る超短波無線機で、周波数帯は4万kHz台で最大レンジは打電・音声式共に25kmであった。 アンテナは、2mのロッド型または星型が使用された。 |
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●タイプ5 これは戦闘指揮車タイプで、師団と軍団との連絡に用いられた。 車内にはFu.12、Fu.11および指揮官用装備のKdo.Fu.Tr.無線機が搭載された。 Fu.12は出力80Wの送信機とc型受信機の組み合わせで、Fu.11は出力100Wの送信機とb型受信機を組み合わせた中波帯無線機であった。 共にアンテナは初期においては戦闘室上部に取り付けられたフレーム型であったが、後期は9m(本来Fu.11専用)の昇降式大型星型アンテナに変更された。 両方装備してフレーム型をFu.12用に、星型をFu.11用にしていた車両もある。 最大レンジは両者共にフレームアンテナの場合打電式で80km、音声式で約20kmであった。 大型星型アンテナの場合は打電式で200km、音声式で約70kmであった。 |
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<Sd.Kfz.251/3装甲無線車A/B/C型> 全長: 5.80m 全幅: 2.10m 全高: 1.75m 全備重量: 8.5t 乗員: 7名 エンジン: マイバッハHL42TUKRM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 53km/h 航続距離: 300km 武装: 7.92mm機関銃MG34×2 (2,010発) 装甲厚: 6〜14.5mm |
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<参考文献> ・「パンツァー2001年11月号 AFV比較論 Sdkfz.251/M3ハーフトラック」 斎木伸生 著 アルゴノート社 ・「ピクトリアル ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2012年7月号 ドイツ装甲兵員輸送車写真集(2)」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2007年9月号 ドイツ装甲兵員輸送車(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「SdKfz251」 山本敬一 著 デルタ出版 ・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画 |
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