Sd.Kfz.250/8 7.5cm自走砲
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+概要
Sd.Kfz.250/8はSd.Kfz.250装甲兵員輸送車に、エッセンのクルップ社製の24口径7.5cm砲を搭載した火力支援車両で、軽装甲偵察中隊の第4小隊に配備された。
本車の開発の発端は、IV号戦車がデュッセルドルフのラインメタル・ボルジヒ社製の長砲身(43または48口径)7.5cm戦車砲KwK40に装備変更したことにより、余った旧式の24口径7.5cm戦車砲KwK37を活用すべく、これを搭載する装甲車両が要求されたからである。
同様の理由で、より大型のSd.Kfz.251装甲兵員輸送車にKwK37戦車砲を搭載したSd.Kfz.251/9も、同時期に開発されている。
Sd.Kfz.250/8はSd.Kfz.250のA型車体をベースに、IV号戦車から取り外したKwK37戦車砲を搭載したものが最初に作られたというが、これは少数が1943年春に配備されただけで、今のところ写真は発表されていない。
続いて1944年10月にベース車体をSd.Kfz.250のB型に変更し、主砲もKwK37戦車砲のお下がりではなく、新規生産された砲に改めたSd.Kfz.250/8が採用され、大部分の生産はこちらのタイプとなっている。
搭載された24口径7.5cm砲は「K51」(Kanone 51:51型加農砲)と改称した改良型で、戦闘室前部の天井に限定旋回式に装備された。
もちろん前方部の防盾付き機関銃架は撤去され、代わりに主砲の右隣に同軸としても使用可能な機関銃架が設置されていた。
K51加農砲には連動して旋回する横長の角形の防盾が取り付けられており、戦闘室の左右側面にも防御装甲板が上部に追加装備されていた。
主砲を旋回した際に防盾と戦闘室左右の追加装甲板の間に隙間ができてしまうため、防盾の後方にはこの隙間をカバーするための装甲板が縦方向に取り付けられていた。
また、主砲を俯仰した際に主砲と防盾の間に生じる隙間をカバーするため、防盾の前方には主砲と連動して俯仰する防御装甲板が追加されていた。
この主砲周りの構造は、同じくK51加農砲を装備したSd.Kfz.251/9後期型やSd.Kfz.234/3とも共通している。
K51加農砲は基本性能はKwK37戦車砲と大差無かったが、主砲の搭載方式が変更されたおかげで、KwK37戦車砲搭載型より車内スペースに余裕が生まれた。
Sd.Kfz.250/8の車体は、Sd.Kfz.250/1装甲兵員輸送車のものを流用していたようであるが、おそらく戦闘室内のベンチシート等は撤去してあったものと思われる。
また戦闘室右側面前部の視察ヴァイザーは廃止され、装甲板で塞がれているので、無線手席も撤去されていたと考えられる。
主砲以外の副武装はSd.Kfz.250/1と同じであったと思われるが、確認されていない。
ちなみに7.5cm砲弾の携行弾数は、20発であった。
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<Sd.Kfz.250/8 7.5cm自走砲A型>
全長: 4.56m
全幅: 1.95m
全高:
全備重量:
乗員: 3〜4名
エンジン: マイバッハHL42TRKM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 320km
武装: 24口径7.5cm戦車砲KwK37×1 (20発)
7.92mm機関銃MG34×1 (1,100発)
装甲厚:
6〜14.5mm
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<Sd.Kfz.250/8 7.5cm自走砲B型>
全長: 4.61m
全幅: 1.95m
全高: 2.07m
全備重量: 6.3t
乗員: 3〜4名
エンジン: マイバッハHL42TUKRM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 300km
武装: 24口径7.5cm加農砲K51×1 (20発)
7.92mm機関銃MG42×1 (1,100発)
装甲厚:
6〜14.5mm
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兵器諸元
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<参考文献>
・「パンツァー2007年11月号 ドイツ陸軍のワークホース Sdkfz.250シリーズ」 久米幸雄 著 アルゴノート社
・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画
・「世界の軍用車輌(3)
装軌/半装軌式戦闘車輌:1918〜2000」 デルタ出版
・「SdKfz250」 山本敬一 著 デルタ出版
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