Sd.Kfz.250/5装甲観測車
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+概要
Sd.Kfz.250/5装甲観測車は、Sd.Kfz.253装甲観測車の後継として開発された砲兵部隊用の観測用車両で、搭載無線機によって2種類のヴァリエーションが存在した。
当初、Sd.Kfz.253装甲観測車に代わって突撃砲部隊に装備されたのは本車であり、後にSd.Kfz.250/4装甲観測車に生産がバトンタッチされた。
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+分類
●タイプ1
これはFu.4無線機と、司令部連絡用のFu.8無線機を搭載したタイプである。
Fu.4は、c型中波帯無線機で受信専用であった。
Fu.8は、出力30Wの送信機とc型受信機を組み合わせた中波帯無線機であった。
無線機のラックおよび、アンテナ基部の装備位置はSd.Kfz.250/3装甲無線車と同じであったが、戦闘室内左側にあったベンチシートは廃止されており、代わりに観測用双眼望遠鏡(Sf14Z)を取り付けるための支持ポールと、観測者用の高さ調節可能な回転式小型シートが装備されていた。
また、増設無線機の向かい側にも折り畳み式のシートが取り付けられていた。
武装は、オベルンドルフ・アム・ネッカーのマウザー製作所製の7.92mm機関銃MG34または、デーベルンのMLJG社(Metall und Lackwarenfabrik
Johannes Großfuß:ヨハネス・グロースフース金属・漆器製作所)製の7.92mm機関銃MG42 1挺と、エアフルトのエルマ製作所製の9mm機関短銃MP38またはMP40
2挺で、小銃用のラックは装備されていなかった。
その代わり戦闘室内左側に、観測用双眼望遠鏡を野外で使用するための三脚が装備されていた。
アンテナは初期においてはフレーム型、後期では高さ2mの星型が取り付けられた。
乗員は4名である。
●タイプ2
こちらはより後期に登場した車両で、Fu.8無線機の強化型であるFu.12無線機を搭載したタイプである。
1944年にこの車両はSd.Kfz.250/4装甲観測車と区別するために、「装甲観測車」から「装甲偵察車」へと車種名が変更された。
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<Sd.Kfz.250/5装甲観測車A型>
全長: 4.56m
全幅: 1.95m
全高: 1.66m
全備重量: 5.35t
乗員: 4名
エンジン: マイバッハHL42TRKM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 320km
武装: 7.92mm機関銃MG34×1 (1,100発)
装甲厚:
6~14.5mm
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<Sd.Kfz.250/5装甲観測車B型>
全長: 4.61m
全幅: 1.95m
全高: 1.66m
全備重量: 5.35t
乗員: 4名
エンジン: マイバッハHL42TUKRM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 300km
武装: 7.92mm機関銃MG34またはMG42×1 (1,100発)
装甲厚:
6~14.5mm
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<参考文献>
・「パンツァー2007年11月号 ドイツ陸軍のワークホース Sdkfz.250シリーズ」 久米幸雄 著 アルゴノート社
・「ピクトリアル ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社
・「グランドパワー2012年6月号 ドイツ装甲兵員輸送車写真集(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「世界の軍用車輌(3)
装軌/半装軌式戦闘車輌:1918~2000」 デルタ出版
・「SdKfz250」 山本敬一 著 デルタ出版
・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画
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