Sd.Kfz.250/11 2.8cm対戦車自走砲
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+概要
Sd.Kfz.250/11は偵察部隊の小隊長用車両として作られた火力支援型であり、Sd.Kfz.250/10の代替車両として作られたものである。
Sd.Kfz.250/10が搭載する、デュッセルドルフのラインメタル・ボルジヒ社製の45口径3.7cm対戦車砲PaK36が威力不足であったため、Sd.Kfz.250/11ではより強力な、オベルンドルフ・アム・ネッカーのマウザー製作所製の61.3口径2.8cm口径漸減砲sPzB41を搭載していた。
2.8cm口径漸減砲sPzB41は、ヘルマン・ゲルリヒ工学博士が考案した理論を基に開発された対戦車砲で、砲腔内の口径を先端に行くに従って小さくしてあり、薬室側口径が2.8cmであったのに対して砲口側口径は2cmとなっていた。
砲弾は砲腔内との接触部を軟鋼製としていたので、発射されると砲腔内の口径に合わせて断面積が小さくなりつつ前進した。
そのため砲腔内のガス圧が高まり、砲弾は大きな砲口初速(1,430m/秒)を得ることができた。
しかも弾芯は高硬度のタングステン鋼だったので、近距離ならば3.7cm対戦車砲PaK36の約2倍の装甲貫徹力を発揮した。
2.8cm口径漸減砲sPzB41は、3.7cm対戦車砲PaK36と違って戦闘室の前端上部に取り付けられた。
これは着脱が可能で、車体後部に装備された空挺部隊用の野戦軽砲架を用いることにより、車外で使用することもできた。
Sd.Kfz.250/11の戦闘室内には168発の2.8cm砲弾が搭載され、乗員は6名であった。
副武装は7.92mm機関銃MG34(MG42) 1挺、9mm機関短銃MP38(MP40) 2挺、それに7.92mm小銃Kar98k 3挺であった。
戦闘室内の様子は、Sd.Kfz.250/1装甲兵員輸送車とほとんど変わらなかった。
Sd.Kfz.250/11は主武装の2.8cm口径漸減砲sPzB41が大戦後半では威力不足となり、また弾芯に使用するタングステンが希少金属で保有量が限られていたため、後に24口径7.5cm砲を搭載するSd.Kfz.250/8へと任務を受け渡している。
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<Sd.Kfz.250/11 2.8cm対戦車自走砲A型>
全長: 4.56m
全幅: 1.95m
全高: 2.13m
全備重量: 5.53t
乗員: 6名
エンジン: マイバッハHL42TRKM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 320km
武装: 61.3口径2.8cm口径漸減砲sPzB41×1 (168発)
7.92mm機関銃MG34×1 (1,100発)
装甲厚: 6〜14.5mm
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<Sd.Kfz.250/11 2.8cm対戦車自走砲B型>
全長: 4.61m
全幅: 1.95m
全高: 2.13m
全備重量: 5.53t
乗員: 6名
エンジン: マイバッハHL42TUKRM 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 100hp/2,800rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 300km
武装: 61.3口径2.8cm口径漸減砲sPzB41×1 (168発)
7.92mm機関銃MG34またはMG42×1 (1,100発)
装甲厚: 6〜14.5mm
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<参考文献>
・「パンツァー2007年11月号 ドイツ陸軍のワークホース Sdkfz.250シリーズ」 久米幸雄 著 アルゴノート社
・「ピクトリアル ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社
・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画
・「世界の軍用車輌(3)
装軌/半装軌式戦闘車輌:1918〜2000」 デルタ出版
・「SdKfz250」 山本敬一 著 デルタ出版
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