Sd.Kfz.232（8-Rad）装甲無線車は、Sd.Kfz.232（6-Rad）装甲無線車の後継として開発された8輪装甲車で、Sd.Kfz.231（8-Rad）装甲偵察車の車内に、Fu.12無線機を追加装備した無線偵察車である。
外観上では車体と砲塔に支柱を立てて、フレーム・アンテナを設けていたのがSd.Kfz.231装甲偵察車からの変更点となっている。
砲塔上の支柱には旋回ピボットが備えられ、砲塔の旋回に支障が無いよう考慮されていた。

Sd.Kfz.231装甲偵察車と同様、砲塔防盾にデュッセルドルフのラインメタル・ボルジヒ社製の55口径2cm機関砲KwK30（生産途中から、オーベルンドルフ・アム・ネッカーのマウザー製作所製のKwK38に変更）を装備していたが、Sd.Kfz.231装甲偵察車が副武装として、マウザー製作所製の7.92mm機関銃MG34を同軸に装備していたのに対し、Sd.Kfz.232装甲無線車では同軸機関銃は廃止されたといわれている。
しかし実際には、同軸機関銃を装備したままの車両も数多く確認できる。

なおSd.Kfz.232装甲無線車の後期生産車では、フレーム・アンテナに替えて車体後部右側に星型アンテナが採用された。
Sd.Kfz.231/232は、1943年9月までに合計で607両生産されたことが分かっているだけで、その生産内訳は判明していないが、少なくとも1/4にあたる150両前後は、このSd.Kfz.232装甲無線車として完成したものと思われる。