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コマンドウ・スカウト装甲車





コマンドウ・スカウト装甲車は、アメリカの装甲車開発に関して最も経験が深いキャディラック・ゲージ社が、輸出を目的として自社資金で開発した4×4型装輪式装甲車である。
1977年10月に開発が発表され、1983年にインドネシアとの間に28両の輸出契約が結ばれ、その後エジプトにも112両が輸出されている。

「スカウト」(Scout:偵察)の名前の通り主要任務は偵察であるが、指揮車ヴァージョンや戦車駆逐車ヴァージョンも用意されている。
外観は4輪駆動のバギー車を装甲車に仕立てたような斬新なデザインで非常に洗練されており、シャープな傾斜面で構成されている。
特に車体前面上部は14度という低いスロープ面になっており、避弾経始に優れている。

車高は2.16mしかなく、偵察車にふさわしい暴露面積の小ささを実現している。
全長5mの小型車であるが車体はキャドロイ高硬化防弾鋼板の溶接構造で、小口径弾と榴弾の破片に対する防御力を有しており戦闘重量は7.24tもある。
機関室は車体前部右側に置かれ、前部左側が操縦手席、そして前輪の間には大型の防弾燃料タンク(容量378リットル)が設置されている。

車体後部は、各種の武装を備えた1名用砲塔を搭載するスペースである。
従って、乗員は基本的に2名である。
機関室にはカミンズ社製のV型6気筒液冷ディーゼル・エンジン(出力149hp)と、アリソン社製の自動変速機(前進4段/後進1段)を一体化したパワーパックが収められており、車体右側面に設けられた大きなハッチを開けて、整備や交換を前線レベルで簡単に行うことができる。

サスペンションは前後共にコイル・スプリングが採用されているが、後輪のスプリングは強化型が用いられている。
機動力は路上最大速度96km/hで、路上航続距離は1,287kmにも達する。
タイアは直径の大きな15.5×21のコマンドウ・スペシャル・ランフラット・コンバット・タイアを履いて、深いブッシュ地帯や泥地を高速突破し高さ61cmの障害物も越えられる。

また、半径7.8mの円を描いて旋回する小回りの良さも有している。
車体後部の1名用砲塔は、必要に応じて様々な武装を装備する各種砲塔に換装することが可能で、40mm自動擲弾発射機と12.7mm重機関銃を同軸装備する砲塔、7.62mm機関銃を2挺同軸装備する砲塔、12.7mm重機関銃と7.62mm機関銃を同軸装備する砲塔などを搭載することができる。

なお、「コマンドウ・ポッド」と呼ばれる指揮車ヴァージョンでは砲塔部分には固定式戦闘室が設けられ、上部ハッチに防盾付きの7.62mm機関銃が装備される。
戦車駆逐車ヴァージョンには限定旋回式のTOW対戦車ミサイル発射機を搭載するタイプや、106mm無反動砲を搭載するタイプなどがある。

またコマンドウ・スカウト装甲車の車体は、「AGVT」(Advanced Ground Vehicle Technology:先進地上車両技術)と呼ばれるロボット戦闘車の実験車両としても使われている。
これはジェネラル・ダイナミクス社とヒューズ社の共同研究で、ディジタル・コンピューター、1553車両用データバス、各種駆動系のサーボ機構などを組み込み、半自律行動の技術試験を行うための車両である。


<コマンドウ・スカウト装甲車>

全長:    5.003m
全幅:    2.057m
全高:    2.159m
全備重量: 7.24t
乗員:    2〜3名
エンジン:  カミンズ V型6気筒液冷ディーゼル
最大出力: 149hp/3,300rpm
最大速度: 96km/h
航続距離: 1,287km
武装:    7.62mm機関銃M240×2 (2,600発)
装甲厚:   最大8mm


<参考文献>

・「グランドパワー2018年6月号 戦後の米軍装輪式戦闘車輌」 後藤仁 著  ガリレオ出版
・「世界の軍用車輌(4) 装輪式装甲車輌:1904〜2000」  デルタ出版
・「世界AFV年鑑 2005〜2006」  アルゴノート社
・「新・世界の装輪装甲車カタログ」  三修社
・「世界の装輪装甲車カタログ」  三修社
・「世界の軍用4WDカタログ」  三修社
・「世界の軍用4WD図鑑PART2」  スコラ


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