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スカラブ装甲車





「スカラブ」(Scarab:オオタマオシコガネ)装甲車は、元々南アフリカのメカム社が開発した空挺部隊用の4×4型装輪式偵察用装甲車エイコーンを、イギリスのアルヴィス社が拡大改良し輸出市場に送り出したもので、最初の試作車は1998年に完成した。
本車はアルヴィス社が開発し、派生型と合わせて4,400両以上が生産されたフェレット偵察用装甲車の後継車として位置付けられるものである。

スカラブ装甲車は、その名前の元になったオオタマオシコガネ(コガネムシの一種)にそっくりな外観をした装輪式装甲車で、少々の無理な偵察やパトロール任務を行っても破壊されない頑丈な構造が最大のセールスポイントになっている。
このあたりは南アフリカ製装甲車の特性でもあるが、外観はマッチョなジープ型装甲車である。
ノウズ部が車の前方にはみ出しているが、エンジンは車体後部に置かれている。

スカラブ装甲車のボディは圧延防弾鋼板の全溶接モノコック構造で、どこに7.62mm徹甲弾が命中しても跳ね返す耐弾力がある。
偵察専用車のデザインだとすぐに分かるのはエンジンの後部配置と、ボディの前面と左右側面に組み込まれた大型の防弾ガラス製ウィンドウ・スクリーンであろう。

もちろん偵察・監視に絶対必要な、広くて見晴らしの良い視界を確保するためのデザインである。
シャシーは、定評あるドイツのダイムラー・ベンツ社製の4×4型不整地走行トラック ウニモグ1600から発展したウニモグ2100シリーズをベースとし、ホイール・ベースの延長や補機類の強化等が図られたものが用いられ、走行性能はフェレット装甲車を大きく凌駕する。

エンジンは、ユーロII基準(将来的にはユーロIII基準への発展もオプションとして用意されている)のダイムラー・ベンツ社製OM906LA 直列6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(排気量6,370cc/出力231hp)で、アメリカのアリソン社製のMD3600自動変速機(前進6段/後進1段)、コイル・スプリングのサスペンションの組み合わせである。

悪路走行に威力を発揮するABS、タイア空気圧中央制御装置も備えている。
スカラブ装甲車の機動力で特徴的なのは悪路対策で、最低地上高が装輪式装甲車で最高の0.48m(地雷防御装甲プレートを付けない場合)もあるため、同じく渡渉水深が1.1mにも達しているのである。
スカラブは小型の装甲車であるが、戦闘重量は9.1tもある。

これは、防御対策に装甲材料を多く使用している証拠である。
特に乗員区画は水平方向から飛んでくる12.7mm徹甲弾を跳ね返し、前面装甲板は距離600mから発射された14.5mm重機関銃弾に耐えられる。
また、距離10mで炸裂した155mm榴弾の破片の約90%を跳ね返せる。

対戦車地雷(TNT爆薬7kg)が車輪の下で爆発しても乗員を守ることができ、防護キットを付ければSFF(自己鍛造弾)を発射するTMRP6地雷の炸裂にも耐えられるという。
最後に搭載武器だが、ペイロードが2.5tもあるので7.62mm機関銃や12.7mm重機関銃、40mm自動擲弾発射機、20mm機関砲、ミラン対戦車ミサイルなどユーザーの好みに合わせてあつらえることができる。


<スカラブ装甲車>

全長:    5.17m
全幅:    2.405m
全高:    1.89m
全備重量: 9.1t
乗員:    3〜5名
エンジン:  ダイムラー・ベンツOM906LA 4ストローク直列6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 231hp/2,300rpm
最大速度: 110km/h
航続距離: 600km
武装:    7.62mm機関銃または12.7mm重機関銃×1
装甲厚:


<参考文献>

・「パンツァー2003年6月号 アルビス・スカラブ装甲偵察車」 二木巌 著  アルゴノート社
・「パンツァー1999年10月号 海外ニュース」  アルゴノート社
・「最新陸上兵器図鑑 21世紀兵器体系」  学研
・「世界の最新兵器カタログ 陸軍編」  三修社
・「世界の軍用4WDカタログ」  三修社
・「世界の軍用4WD図鑑PART2」  スコラ


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