+概要
「セイバー」(Sabre:サーベル)装甲偵察車は、コヴェントリーのアルヴィス社(現BAEシステムズ社)が1960年代末に開発したFV101「スコーピオン」(Scorpion:サソリ)偵察軽戦車の派生型の1つで、スコーピオン偵察軽戦車の28.3口径76.2mm低圧ライフル砲L23A1を備える砲塔を撤去して、81.3口径30mmラーデン砲L21A1を備えるFV721「フォックス」(Fox:キツネ)装甲偵察車の砲塔を搭載したものである。
セイバー装甲偵察車は、1974年に配備が開始されたFV107「シミター」(Scimitar:三日月刀)装甲偵察車とほぼ同一の車両であるが、砲塔高はより低くなっており、シミター装甲偵察車が主砲の同軸機関銃として国産の7.62mm機関銃L37A2を装備しているのに対し、本車ではアメリカのボーイング社製の7.62mmチェインガンL94A1に換装されている。
さらに加えて、新型の発煙弾発射機の導入や操縦手の視察装置の改良、各種雑具箱の新型化等が盛り込まれている。
セイバー装甲偵察車は、まず2両の試作車がスコーピオン偵察軽戦車から改造されて、ボーヴィントンの戦車試験場において試験を行った後、1993年にイギリス陸軍に引き渡されている。
生産型の改造にあたっては、アルヴィス社において砲塔を中心とした改修キットが製作され、このキットをドニントンの基地整備工場に送り、ここでセイバー装甲偵察車への改造作業が実施された。
セイバー装甲偵察車の生産型第1号車は1994年に完成し、現在までに138両のスコーピオン偵察軽戦車が本車に改造された。
なおイギリス国防省は、1997年9月13日のイギリス陸海軍装備品展示会「RNBAEE '97」(Royal Navy British Army
Equipment Exhibition 1997)の開幕日に合わせて、イギリス陸軍の軽装甲偵察車部隊の再強化に向けてアメリカのカミンズ社製のエンジンを採用したことを発表したが、これによりスコーピオン偵察軽戦車のファミリー車両には、同社製の6BTA5.9
直列6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力190hp)が採用されることになった。
このことによりFV101スコーピオン、FV102ストライカー、FV103スパータン、FV104サマリタン、FV105スルタン、FV106サムソン、FV107シミター、セイバーなど1,300両にも及ぶ車両のエンジン換装計画が開始されている。
換装作業にあたってはカミンズ社が、スコーピオン偵察軽戦車の全てのファミリー車両に対するエンジン改修キットを開発している。
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