RBY装甲車は、IAI(イスラエル航空機工業)社の子会社であるラムタ社が1970年代の中期に開発した4×4型装輪式の偵察用装甲車で、1975年のパリ航空ショーで初めて公表された。 本車はイスラエル陸軍に採用されている他、グァテマラなど数カ国に輸出されている。 RBY装甲車の車体は圧延防弾鋼板の全溶接モノコック構造で装甲厚は8mmとなっており、7.62mm徹甲弾や榴弾の破片に対する防御力を備えている。 フェンダーとエンジン・カバーについては、軽量化のためにグラスファイバー製となっている。 車内レイアウトは車体前部がスペアタイアなどの荷物スペース、車体中央部が乗員室、車体後部が機関室となっている。 本車は地雷の爆発による横転を防ぐために重心位置が低くなっており、前後のタイアの位置についても地雷の被害から乗員を守るため、可能な限り乗員室から離れた位置に置かれている。 パワーパックはアメリカのクライスラー社製のモデル225-2 直列6気筒液冷ガソリン・エンジン(出力120hp)と、モデル435手動変速機(前進4段/後進1段)の組み合わせとなっており、路上最大速度100km/h、路上航続距離550kmの機動性能を発揮する。 乗員室はオープントップ式で乗降用のハッチやドアは設けられておらず、乗降は車体をよじ登って行うしかない。 乗員室内には前部左側に操縦手、反対の右側に車長が位置し、その後ろには背中合わせに6名分の独立した座席が用意されている。 従って、乗員は全て外側を向くことになる。 車体の前部には、牽引用のウィンチが装備されている。 乗員室の周囲には前部に2基、左右と後部に各1基ずつピントル・マウントが設けられており、7.62mm機関銃FN-MAGまたは12.7mm重機関銃M2を計5挺まで取り付けることができる。 RBY装甲車の派生型としてはアメリカ製の26口径106mm無反動砲M40と106mm砲弾16発を搭載し、副武装として7.62mm機関銃FN-MAGを2挺装備した戦車駆逐車型がある。 またラムタ社では本車の発展型として、パワーパックをドイツのドゥーツ社製のF6L913 直列6気筒空冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力132hp)と、アメリカのアリソン社製のAT-540自動変速機(前進4段/後進1段)の組み合わせに変更し、車体もより低重心に改良したRAM装甲車を1970年代末に開発しており、現在もイスラエル陸軍で使用が続けられている他、ボツワナ、ガボンなど数カ国に輸出されている。 |
<RBY Mk.1装甲車> 全長: 5.023m 全幅: 2.03m 全高: 1.54m 全備重量: 3.6t 乗員: 2名 兵員: 6名 エンジン: クライスラー225-2 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 120hp 最大速度: 100km/h 航続距離: 550km 武装: 7.62mm機関銃FN-MAG×4 (4,800発) 装甲厚: 8mm |
<参考文献> ・「パンツァー2010年1月号 イスラエル製の軽装甲偵察車輌 RBY&RAM」 星野誠一 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年10月号 イスラエル国防軍の現状」 永井忠弘 著 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2021〜2022」 アルゴノート社 ・「世界の軍用車輌(4) 装輪式装甲車輌:1904〜2000」 デルタ出版 ・「世界の装輪装甲車カタログ」 三修社 ・「世界の軍用4WDカタログ」 三修社 |