ハリー・ホプキンズ軽戦車はテトラーク軽戦車の後継として、ウェストミンスターのヴィッカーズ・アームストロング社が1941年から自社資金で開発を始めた新型軽戦車である。
同年9月にヴィッカーズ社は本車の設計案をイギリス戦争省に提出し、検討の結果同月中に「A25」の設計番号が与えられると共に、1,000両の生産が発注された。

さらに同年11月には、発注数が2,410両にまで拡大された。
戦争省は遅くとも1942年6月には、A25軽戦車の生産を開始するようヴィッカーズ社に要望した。
A25軽戦車は基本的にはテトラーク軽戦車と似ていたが装甲厚が増強され、避弾経始を考慮して車体と砲塔に傾斜装甲を採用したためデザインが変わっていた。

主砲はテトラーク軽戦車と同じく50口径2ポンド（40mm）戦車砲を採用していたが、装甲貫徹力が向上していた。
また操縦系は油圧式となり、操向機構が改善されていた。
A25軽戦車は1942年6月に「軽戦車Mk.VIII」（Light Tank Mk.VIII）としてイギリス陸軍に制式採用され、第32代アメリカ大統領フランクリン・D・ルーズヴェルトの主任外交顧問を務めたハリー・L・ホプキンズに因んで、「ハリー・ホプキンズ」（Harry Hopkins）の愛称も与えられた。

ハリー・ホプキンズ軽戦車は同月〜1945年2月にかけて、合計で92両がヴィッカーズ社の子会社であるソルトリーのMCCW社（Metropolitan Cammell Carriage and Wagon：メトロポリタン・キャメル客車・貨車製作所）で生産されたが、すでに生産開始前の1941年中頃の段階で、イギリス陸軍は火力・防御力に劣る軽戦車を装備構想から外すことを決定していたため、本車が実戦配備されることは無かった。