ヴィッカーズMk.11装甲車は、ヴィッカーズ・ディフェンス・システムズ社(現BAEシステムズ・ランド&アーマメンツ社)が1990年から輸出向けにプライヴェート・ヴェンチャーで開発した6×6型の装輪式装甲車で、1993年のイギリス陸海軍装備品展示会「RNBAEE'93」(Royal Navy British Army Equipment Exhibition 1993)で初めて公開された。 ヴィッカーズMk.11装甲車の車体は圧延防弾鋼板の全溶接構造で、前面は7.62mm徹甲弾、それ以外は同口径の普通弾に耐えられる水準にある。 車体前部が操縦室となっており、操縦室内右側に操縦手、左側に車長が位置する。 操縦手席の後ろの車体中央部右側は機関室となっており、エンジン、変速・操向装置、冷却装置を一体化したパワーパックが搭載されている。 車体後部は兵員室となっており、完全武装の兵員8名を収容することができる。 本車は水上航行も可能で、水上では車体後部に装備されたウォーター・ジェットで推進される。 ヴィッカーズMk.11装甲車のヴァリエーションとしては兵員輸送型、クレーン装備の回収型、補給型、指揮型、治安維持型などが提案されているが、これまでに試作されているのは車体上部に105mm砲を装備する全周旋回式砲塔を搭載した戦車駆逐車型である。 主砲は、西側の戦後第2世代MBTの標準武装ともいえるヴィッカーズ社製の105mmライフル砲L7(開発は王立造兵廠)と同系列の105mm低反動ライフル砲LRFで、装輪式装甲車としては異例の強武装である。 105mm砲弾は砲塔後部のバスルに18発、車体内にも18発が搭載されている。 副武装としては主砲と同軸に7.62mm機関銃L8A2が装備されており、別に砲塔上面には12.7mm重機関銃M2も装備できる。 本車で特徴的なのは、105mm砲塔搭載型でも4名の乗員(車長、砲手、装填手、操縦手)以外に8名の兵員が搭乗できることである。 105mm砲塔を搭載する大型装輪式装甲車としてはイタリアのB1チェンタウロ装甲車、南アフリカのローイカット装甲車などが知られているが、ヴィッカーズMk.11装甲車はこれらより兵員の搭載能力で上回っている。 なお105mm砲塔を搭載しない兵員輸送型の場合は、乗員を含めて16名乗りとなる。 |
<ヴィッカーズMk.11装甲車 105mm砲塔搭載型> 全長: 7.04m 全幅: 2.90〜3.10m 全高: 全備重量: 22.0t 乗員: 4名 兵員: 8名 エンジン: 液冷ディーゼル 最大出力: 500hp 最大速度: 100km/h(浮航 9km/h) 航続距離: 1,000km 武装: 51口径105mm低反動ライフル砲LRF×1 (36発) 12.7mm重機関銃M2×1 7.62mm機関銃L8A2×1 装甲厚: |
<参考文献> ・「パンツァー2007年6月号 現在注目されている低反動砲」 佐藤慎ノ亮 著 アルゴノート社 ・「世界の装輪装甲車カタログ」 三修社 |