M551シェリダン空挺軽戦車
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+概要
第2次世界大戦後、西側世界の王者となったアメリカ合衆国は、ソヴィエト連邦の脅威に対抗して世界の警察官として強大な軍事力と、それを世界中に緊急展開する能力の確保を迫られた。
そのために最適の兵種が、空挺部隊であった。
アメリカ陸軍が最初に採った手段は、突撃砲形式の火力支援車両を空挺部隊に与えるというものであった。
これがM56スコーピオン空挺自走砲であったが、火力は優れていたものの、軽量化のため装甲は主砲防盾だけという有り様であったため、とても満足できるものではなかった。
このため、より本格的な能力を持った空挺突撃車両が開発されることになった。
開発は軽戦車と空挺戦車を一本化する形で、「AR/AAV」(Armored Reconnaissance/Airborne Assault Vehicle:装甲偵察/空挺突撃車両)計画として1959年1月に開始された。
このAR/AAVには戦闘重量10tで水上浮航性、空中投下、火力の向上、そして従来の軽戦車を上回る高い機動力が要求されていた。
1959年6月には基本構想がまとまり、アメリカ国内の兵器メーカー各社に対してAR/AAVの開発要求と、試作車6両(後に12両に増加された)の製作が求められた。
この要求に応じた12社の設計案はアメリカ陸軍による詳細な審査を受け、その結果、メリーランド州ハントバレーのAAI社(Aircraft Armaments
Inc:航空機武装社)および、ウィスコンシン州ウェストアリスのアリス・チャーマーズ製作所の共同案と、ミシガン州デトロイトのジェネラル・モータース社キャディラック部門が提出した案が、最終候補として残った。
AAI案では乗員は3名で戦闘重量10t、キャディラック案は乗員4名で重量はAAI案よりも重かったが、より汎用性に富んでいることが評価されたのか最終的にキャディラック案が選ばれ、1960年6月に「XM551」の試作呼称で開発契約が結ばれた。
1961年12月には最終モックアップ審査と、試験用シャシーによる走行試験が開始された。
1962年には試作車体が完成し、同様に対戦車ミサイルと通常弾を発射可能な、152mmガン・ランチャーXM81を搭載した試作砲塔も完成して、M41軽戦車の車体に搭載して試験に供されている。
技術試験、実用試験を続けた後、1965年11月に「M551 AR/AAV」として制式化され、同時に南北戦争で北軍騎兵隊総司令官を務めたフィリップ・H・シェリダン少将に因んで、「ジェネラル・シェリダン」の愛称が与えられた。
1966年6月にはM551空挺軽戦車の生産型第1号車が完成し、1970年11月までに合計1,662両がキャディラック部門で生産された。
派生型としてM551A1空挺軽戦車があるが、これは、M551空挺軽戦車にレーザー測遠機を装備した改修車に与えられた呼称である。
M551空挺軽戦車の外形は、いわゆる通常の戦車型の外形を持っていた。
車体下部は当時のアメリカ軍戦車としては一般的だった船型ボディで、車体上部は平面板の組み合わせであった。
砲塔は他のアメリカ軍戦車のように鋳造ではないが、形状的には低平で類似した形状であった。
車内レイアウトは車体前部が操縦室、車体中央部が全周旋回式砲塔を搭載した戦闘室、車体後部が機関室となっていた。
M551空挺軽戦車で特徴的なのは、重量軽減や浮航性を得るために車体が7039防弾アルミ板で構成されていたことであり、アメリカ陸軍の制式戦車としては初めてのアルミ合金採用車となった。
同様にエンジンはアルミ合金が、変速・操向機にはマグネシウム合金が用いられるなど各部に軽量化が図られていた。
砲塔は圧延防弾鋼板を溶接したものが用いられ、主武装として17.5口径152mmガン・ランチャーM81を装備していた。
152mmガン・ランチャーM81は、M41軽戦車が装備していた60口径76.2mm戦車砲M32に比べて軽量であり、対戦車ミサイルと通常弾の両方が発射可能であった。
使用する対戦車ミサイルはMGM-51「シレイラ」(Shillelagh:棍棒)で、直径151mm、全長1,110mm、重量27.3kg。
誘導はビーム・ライディング方式で移動目標には2,500m、固定目標には3,000mの最大有効射程を持っていた。
通常弾はHEAT-MP(多目的対戦車榴弾)を使用したが、この砲弾は成形炸薬弾と破片効果榴弾の両方の特性を兼ね備えているため、装甲目標と非装甲目標のどちらにも使用可能であった。
大口径ゆえに内蔵する炸薬量が大きく、通常の戦車砲より大きな効果が期待できた。
エンジンは、ジェネラル・モータース社デトロイト・ディーゼル部門製の6V-53T V型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジンを搭載しており、300hpの出力を発揮した。
路上最大速度は43マイル(69.2km)/hと高速で、接地圧が低いこともあり機動性は良好であった。
またこのエンジンは、アメリカ陸軍の主力APCであるM113装甲兵員輸送車のエンジンと同系列のものであるため、兵站面でもメリットがあった。
M551空挺軽戦車は1968年から部隊配備が開始され、1960年代初頭に勃発したヴェトナム戦争にも投入されたが、実用性などに問題があったため1978年には一部の空挺部隊を除き、ほとんどの部隊がM60A3戦車に改編されてしまった。
1991年の湾岸戦争にも投入されたがこれが本車の最後の実戦参加となり、現在では実戦部隊から姿を消している。
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<M551空挺軽戦車>
全長: 6.307m
全幅: 2.794m
全高: 2.946m
全備重量: 15.177t
乗員: 4名
エンジン: デトロイト・ディーゼル6V-53T 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 300hp/2,800rpm
最大速度: 69.2km/h(浮航 5.79km/h)
航続距離: 563km
武装: 17.5口径152mmガン・ランチャーM81×1 (30発)
12.7mm重機関銃M2×1 (1,000発)
7.62mm機関銃M73×1 (3,000発)
装甲厚:
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<M551A1空挺軽戦車>
全長: 6.307m
全幅: 2.794m
全高: 2.946m
全備重量: 15.241t
乗員: 4名
エンジン: デトロイト・ディーゼル6V-53T 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 300hp/2,800rpm
最大速度: 69.2km/h(浮航 5.79km/h)
航続距離: 563km
武装: 17.5口径152mmガン・ランチャーM81A1×1 (29発)
12.7mm重機関銃M2×1 (1,000発)
7.62mm機関銃M240×1 (3,000発)
装甲厚:
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<参考文献>
・「パンツァー2001年2月号 シェリダン空挺/偵察戦車 その開発・性能と発展」 後藤仁 著 アルゴノート社
・「パンツァー2008年9月号 アメリカ戦車のゴッド・ファザー達」 松井史衛 著 アルゴノート社
・「パンツァー2011年8月号 M551シェリダン空挺戦車」 城島健二 著 アルゴノート社
・「パンツァー2017年1月号 M551シェリダン空挺戦車」 井坂重蔵 著 アルゴノート社
・「グランドパワー2005年6月号 アメリカ軍空挺戦車」 箙浩一 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2014年11月号 M551シェリダン」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「世界の戦車(2) 第2次世界大戦後〜現代編」 デルタ出版
・「異形戦車ものしり大百科 ビジュアル戦車発達史」 斎木伸生 著 光人社
・「世界の主力戦闘車」 ジェイソン・ターナー 著 三修社
・「徹底解剖!世界の最強戦闘車両」 洋泉社
・「世界の最新陸上兵器 300」 成美堂出版
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