第2次世界大戦においてアメリカ陸軍が開発し、実戦に投入した最後の軽戦車として知られるのがこのM24軽戦車である。
本車の開発は1942年の北アフリカにおけるドイツ軍との戦闘で、イギリス軍が使用したM3軽戦車の運用実績や戦訓を調査し、続く軽戦車に必要な要求仕様をまとめたことからスタートした。
この際まとめられた仕様は、75mm戦車砲の装備と強力な装甲であった。

この当時すでに強力な軽戦車としてT7軽戦車が開発されていたが、不必要に多くの要求を盛り込んだためその戦闘重量は当初の目標の倍近い25tにも達し、とても軽戦車とはいえなくなってしまい1942年末に「M7中戦車」（Medium Tank M7）として制式化されるに至り、次期軽戦車は存在しない状態となってしまった。
M3軽戦車の発展型であるM5軽戦車が一応実用化されていたものの、その内容はM3軽戦車と大差無くアメリカ陸軍が望む新型軽戦車とは大きな隔たりがあった。

このため1943年4月にアメリカ陸軍兵器局は、M5軽戦車を開発したミシガン州デトロイトのキャディラック社に75mm戦車砲を装備する新型軽戦車の開発要求を出し、開発が進められることになった。
しかし中戦車が装備する既存の75mm戦車砲を新型軽戦車に装備することは、車体サイズや重量の制約から困難なことは明らかであった。

そこで新型軽戦車に搭載する主砲として、B-25G／H重爆撃機で採用された艦船攻撃用の航空機搭載75mm加農砲M5に白羽の矢が立った。
この砲は同心駐退複座方式で占有スペースが小さく、重量も軽いため軽戦車への装備も何ら問題は無かった。
新型軽戦車のサスペンション方式はM3／M5軽戦車に用いられたHVSS（垂直渦巻スプリング･サスペンション）に代えて、不整地走破性に優れるトーションバー（捩り棒）方式を採用することになった。

M5軽戦車で採用されたキャディラック社製のエンジンと変速・操向機はそのまま流用されることになり、車体レイアウトはM7中戦車のものが踏襲された。
戦闘重量は16tとされ、車体や砲塔は装甲厚こそM5軽戦車と同程度だが全体に避弾経始が考慮され、装甲材質や溶接技術の進歩もあって装甲防御力は大きく向上していた。
この試作車は1943年10月に完成し、「T24」の試作呼称が与えられて運用試験が行われた。

その結果は良好であり、T24軽戦車は1,000両が発注されて1944年4月より生産が開始された。
生産開始前には発注数は5,000両に増加し、生産はキャディラック社に加えてカナダ･オンタリオ州ニューカースルのマッシー・ハリス社も参加して、1945年7月までに4,731両が完成した。
なお生産中の1944年6月に、本車は「M24軽戦車」（Light Tank M24）として制式化が行われている。

M24軽戦車の部隊への配備は1944年12月から開始され、少数ではあるが同月〜1945年1月のアルデンヌ戦において実戦参加を果たしている。
また本車は302両がイギリス軍へ供与されているが、転換訓練中に第2次世界大戦が終了したため実戦に使用されること無く終わっている。

イギリス軍ではM24軽戦車を、アメリカ陸軍機甲部隊の創立者であるアドナ.R.チャフィー陸軍中将に因んで、「ジェネラル・チャフィー」の愛称で呼んでいた。
第2次世界大戦終了後もM24軽戦車はアメリカ陸軍の主力軽戦車として多用され、1950年6月に勃発した朝鮮戦争でも活躍したが、より強力な長砲身76.2mm戦車砲を装備し、近代的な射撃統制システムを備えた新世代軽戦車M41ウォーカー・ブルドッグが実戦化されると早急に第一線を退き、西側各国へ供与されている。

M24軽戦車は供与された多くの国々で1970年代まで使用され、一部の国では1980年代まで現役に留まっていた。
日本の陸上自衛隊にも前身の保安隊時代の1952年に375両のM24軽戦車が供与されており、同時期にアメリカから供与されたM4A3E8中戦車より小柄で日本人の乗員には比較的親しみ易く、操縦性や機動性も良好であったことから1970年代末まで現役に留まっていた。