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+開発
2022年10月にワシントンD.C.で開催された、「AUSA」(Association of the United States Army:アメリカ陸軍協会)の展示会において、M1エイブラムズ戦車シリーズの開発メーカーである、ミシガン州スターリングハイツのGDLS(General Dynamics Land Systems)社が、次世代MBT(主力戦車)「エイブラムズX」を初めて公開した。 GDLS社によると、エイブラムズX戦車はこのままの形で販売されることは無く、あくまでも次世代MBTに関する技術実証車という位置付けであるという。 エイブラムズX戦車は、既存のM1戦車シリーズとはあらゆる点が異なっているが、最大の違いは、ロシア陸軍の最新MBTであるT-14戦車と同様に砲塔が無人化され、さらに自動装填装置の採用によって装填手が不要となり、乗員が従来の4名から3名に減少したことだろう。 乗員は、車体前部の操縦室内に横並びに配置された座席に座り、その前面には各種情報が表示される大型のディスプレイが置かれている。 パワープラントに関しても、従来搭載されていたアリゾナ州フェニックスのHAT(Honeywell Aerospace Technologies)社製の、AGT-1500ガスタービン・エンジン(出力1,500hp)に換えて、新開発のハイブリッド機関(ディーゼル・エンジン+電動モーター)が搭載されている。 これにより、現在アメリカ陸軍が進める環境問題も見据えたEV化戦略にマッチすることになると、GDLS社は説明している。 もちろんハイブリッド化の恩恵は、静粛性の向上に伴う隠密性という形で、戦闘時においてももたらされる。 さらに、エイブラムズX戦車はこのハイブリッド化に加えて、戦闘重量も大きく減量されており、これにより燃費が大きく向上している。 GDLS社によると具体的な数値として、既存のM1A2戦車シリーズが走行可能な距離を、約50%も少ない燃料で走破することができるという。 また、エイブラムズX戦車にはAI(人工知能)が搭載されており、センサーが捉えた目標情報や脅威となり得る存在を瞬時に発見し、その脅威度合いを見極めそうした情報を整理した上で、ディスプレイを通じて乗員に提供されることになると見られる。 優れたセンサーと通信能力も有し、戦場においては有用なノードとして機能するだろう。 エイブラムズX戦車は武装も大幅に強化されており、M1A1/A2戦車シリーズが装備している44口径120mm滑腔砲M256に換えて、2003〜2009年にかけてアメリカ陸軍が進めていた、「FCS」(Future Combat Systems:将来戦闘システム)計画用に開発された、軽量で長射程の44口径120mm滑腔砲XM360を主砲に採用し、副武装も主砲同軸機関銃が、従来の7.62mm機関銃から12.7mm重機関銃に強化され、砲塔上面には30mm機関砲を装備する、RWS(遠隔操作式武装ステイション)が新設されている。 エイブラムズX戦車の開発がいつ頃開始されたのかは定かでないが、2022年2月にロシア軍によるウクライナ侵攻が開始されたことを受けて、GDLS社はアメリカ陸軍に対して本車を、M1戦車シリーズの改良プランとしてアピールする狙いから、同年10月に開催されたAUSAでの公開に踏み切ったものと思われる。 なおアメリカ政府は、ウクライナを支援するため2023年9月に、保管状態にあったM1A1戦車の一部(両数は不明)を同国に供与している。 また、アメリカ陸軍はM1A2戦車のさらなる能力向上を図って、「SEP」(System Enhancement Package:システム拡張パッケージ)の呼称で段階的な改良を実施しているが、同年9月6日にジェフリー・ノーマン陸軍准将は、SEP計画の最新バージョンであるSEPv4改修計画を中止して、より積極的な改良計画「M1E3」を開始することを発表した。 「M1E3」という呼称は、将来「M1A3」となるべき発展型の試作車という位置付けだと思われるが、アメリカ陸軍はロシア・ウクライナ戦争に投入された、レオパルト2戦車シリーズなどの西側第3世代MBTの戦訓を踏まえ、M1戦車にはSEPのような能力を継ぎ足す改修ではなく、より抜本的な改良が必要であると認識した模様である。 M1E3計画はSEPv4計画の特徴を採り入れつつ、車内システムをモジュール式の次世代電子アーキテクチャ「カタリスト」(Catalyst:触媒)で統一する予定である。 これに成功すればパソコンのプラグ&プレイのように、追加の機器を最小限の手間と検証で追加できるようになり、迅速な技術的アップグレードが少ないリソースで可能になる。 AIやMUM-T(Manned-Unmanned Teaming:有人無人協同戦闘)のための機器も、カタリスト対応であればすぐ取り付けられる。 これは将来的に、より生残性が高く軽量な戦車の設計を可能にするとノーマン准将は述べている。 M1戦車の能力向上は、重量の増加=機動性の低下と兵站の負担増で成立しており、当初54tだった戦闘重量はSEPv3で66.8tに到達している。 GDLS社は、SEPv4で追加される新技術は重量をさらに押し上げると言及しており、ウクライナのような地盤が軟弱な地域では、M1戦車は充分に能力を発揮できないため、M1E3計画への移行を決断したのである。 ちなみに、M1E3計画には2040年以降の拡張性を確保する改良要素も盛り込まれており、M1E3戦車の初期作戦能力は2030年代初頭に獲得予定である。 アメリカ陸軍はM1E3戦車の生産が始まるまで、M1A2SEPv3戦車の生産を縮小すると述べているため、M1E3戦車の運用期間は最低でも15年以上になる見込みである。 ノーマン准将は、2024年5月にメディアとのインタビューにてM1E3戦車に関して、以下のような発言を残している。 ・XM30歩兵戦闘車(M2ブラッドリー歩兵戦闘車の後継として、アメリカ陸軍が現在開発を進めている装軌式IFV) と同時配備したい。 ・今後18カ月掛けて自動装填装置、新しいパワープラント、APS(アクティブ防御システム)の成熟度を高めて、搭 載したい。 ・戦闘重量を60t程度に抑えるため、遠隔操作砲塔、無人砲塔も視野に入れる。 ・燃費改善、静粛性向上のためハイブリッド機関の搭載も考えているが、加速力も変わらず重要。 ・アクティブ防御は最も重視。 上記のように、M1E3戦車の開発骨子はエイブラムズX戦車の仕様と非常に似通っており、アメリカ陸軍がGDLS社の思惑通り、エイブラムズXをM1E3計画の叩き台として採用することを決定したと受け取ることもできる。 M1E3戦車の具体的な仕様については、これから慎重に検討が重ねられると思われ、エイブラムズX戦車がそのままM1E3戦車として採用されることは無いであろうが、少なくとも外見は、かなり類似した車両になる可能性が高いと思われる。 |
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+攻撃力
エイブラムズX戦車は前述のように、ニュージャージー州のピカティニー工廠内に所在する、「ARDEC」(U.S. Army Armament Research, Development and Engineering Center:アメリカ陸軍兵器研究開発工学センター)がFCS計画用に開発した、軽量で長射程の44口径120mm滑腔砲XM360を主砲に採用している。 この砲は、M1A1/A2戦車シリーズが搭載しているニューヨーク州のウォーターヴリート工廠製の、44口径120mm滑腔砲M256と同等のサイズながら、重量が1,860kg(M256は3,023kg)と非常に軽量である。 またXM360は射撃時の反動も、M256に比べて30%も減少している。 XM360は元々、従来の戦車に比べて装甲の薄いXM1202 「MCS」(Mounted Combat System:砲搭載戦闘システム)と呼ばれる、FCSファミリーの軽戦車の主砲として開発されたものであり、敵戦車との砲撃戦によって被弾するリスクを避けるために、通常のLOS(Line of sight:直接照準)射撃法だけでなく、B-LOS(Beyond Line of sight:視程越え)射撃法も標準的な攻撃手段としている。 LOS射撃用には、M829E4 「AKE」(Advanced Kinetic Energy:先進運動エネルギー弾)と呼ばれる、DU(Depleted Uranium:劣化ウラン)弾芯を備える新型のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)と、「AMP」(Advanced Multi-Purpose:先進多目的弾)と呼ばれる、HEAT-MP(多目的対戦車榴弾)が使用される。 M829E4 AKEは射距離1,000mで1,200mm、5,000mで900mmのRHA(均質圧延装甲板)を貫徹することが可能で、現存する大半の戦後第3世代MBTの前面装甲を、射距離10,000mで貫徹できるとしている。 さらにDU弾は焼夷性が高いため、敵戦車の装甲を貫徹した際に車内を高温化し、燃料や弾薬の二次爆発を引き起こす効果がある。 一方B-LOS射撃用には、XM1111 「MRM」(Mid-Range Munition:中距離砲弾)と呼ばれる中距離誘導砲弾が開発されている。 MRMには運動エネルギー弾であるMRM-KEと、化学エネルギー弾であるMRM-CEの2種類が存在し、共に有効射程は2〜12kmとなっている。 完全撃ちっ放し式の砲弾は発射後、慣性による弾道飛行により目標上空に達した段階で、搭載センサーが目標捜索を開始する。 両タイプとも終末誘導には、折り畳まれていた誘導翼を展張して空力制御によって誘導される。 主に対戦車用に使用されるMRM-KEは、終末誘導にミリ波レーダー・シーカーとセミアクティブ・レーザー・シーカーを使い、目標を発見した後は搭載ロケット・モーターによって上空から加速し、超音速のDU弾芯によって目標の装甲を貫徹する。 一方、対戦車榴弾型のMRM-CEは、終末誘導に赤外線画像シーカーとセミアクティブ・レーザー・シーカーを使い、目標を発見した後は誘導されながら上空から緩やかに落下し、目標との接触時に爆薬によって装甲を貫く。 また前述のようにエイブラムズX戦車は、砲塔後部のバスル内に主砲弾薬の自動装填装置を搭載しており、装填手が乗員から外されている。 本車に採用された自動装填装置は、カリフォルニア州アーヴァインのPMDS(Parker Meggitt Defense Systems)社が開発したもので、最大12発/分の速度で主砲を射撃することが可能であり、砲塔内の主砲弾薬搭載数はM1A1/A2戦車シリーズと同じく34発となっている。 エイブラムズX戦車のFCS(射撃統制装置)については、M1A2SEPv4戦車に搭載されているものと同様のディスプレイや、システム・アーキテクチャを備えている。 砲塔上面中央部の左右には各1基ずつ、左右に旋回可能な円筒状の構造物が設置されているが、これはM1A2戦車シリーズの砲塔上面に1基搭載されている、「CITV」(Commander's Independent Thermal Viewer:車長用独立熱映像視察装置)と同様の機能を持っている。 M1A2戦車シリーズのCITVは、テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ社製のものが搭載されているが、エイブラムズX戦車に採用されている「パセオ」(PASEO)CPS/GPSは、フランスのSED(Safran Electronics & Defense)社製のより高性能なものである。 砲塔上面の2基のパセオの内、右側のものが「CPS」(Commander's Primary Sight:車長用主照準装置)、左側のものが「GPS」(Gunner's Primary Sight:砲手用主照準装置)である。 パセオCPS/GPSは垂直・水平の2軸が安定化されており、光学カメラ、赤外線カメラ、レーザー測遠機がセットになっている。 パセオには自動追跡機能が組み込まれており、内蔵されているレーザー測遠機の最大測定距離は7,000mとなっている。 従来のM1戦車シリーズは副武装として、砲塔上面にユタ州オグデンのブラウニング火器製作所製の、12.7mm重機関銃M2と、ベルギーのFNハースタル社製の7.62mm機関銃FN-MAGを、ネヴァダ州リノのUSオードナンス社が改良した7.62mm機関銃M240を、各1挺ずつ装備していた。 しかし、前述のようにエイブラムズX戦車は砲塔が無人化されたため、砲塔内乗員が操作していたこれらの機関銃に換えて、30mm機関砲を装備したRWSが砲塔上面後方に1基新設されている。 このRWSは、M1A2SEPv2戦車で導入されたノルウェイのKDA(Kongsberg Defence & Aerospace)社製の、M153「CROWS」(Common Remotely Operated Weapon Station:共通遠隔操作式武装ステイション)の武装を、12.7mm重機関銃から30mm機関砲に変更したものである。 武装の30mm機関砲は、ヴァージニア州ダレスのNGIS(Northrop Grumman Innovation Systems)社製の、80.3口径30mmチェインガンMk.44ブッシュマスターIIが採用されている。 チェインガンは遊底をチェイン駆動する独特の機構を持ち、たとえ不発弾があっても強制的に排莢を行うため、射撃が途絶えることは無い。 なお、「CROWS」はアメリカ陸軍における制式呼称であり、メーカー側の商品名は12.7mm重機関銃搭載型が「プロテクターRS4」、30mm機関砲搭載型が「プロテクターRS6」である。 またエイブラムズX戦車は、主砲同軸機関銃が従来の7.62mm機関銃M240から、より強力な12.7mm重機関銃M2に換装されている。 これは、イラクやアフガニスタンでのPKO活動における戦訓から、より強力な副武装の必要性を認識したものと思われる。 |
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+防御力
エイブラムズX戦車は従来のM1戦車シリーズと同じく、車体前面と砲塔の前/側面に複合装甲を導入しているが、当然ながらその防御力については明らかにされていない。 しかし前述のようにエイブラムズX戦車は、アメリカ陸軍の次期MBTであるM1E3戦車の基本ベースとして採用された可能性が高く、ノーマン准将はM1E3戦車はM1A2SEPv4戦車の特徴を受け継いでいるとも述べているため、エイブラムズX戦車の複合装甲は、M1A2SEPv4戦車と同等のものが用いられていると思われる。 つまり、第4世代DU装甲(DU複合装甲+強拘束セラミック複合装甲のハイブリッド)である。 従来のM1戦車シリーズは弱拘束セラミック複合装甲を基本とし、M1A1HA戦車以降はそれにDU複合装甲を組み合わせている。 セラミックは充分に拘束されていない状態では、KE弾に対する高い防御効率は期待できない。 靱性が低く衝撃に弱いセラミックは、持ち前の高い硬度を活かす前に割れてしまうのである。 これに対し強拘束セラミック複合装甲は、ハニカム(6角形)構造に加工したセラミックを、チタン合金などの高強度材料のマトリクスで圧縮応力を掛けて拘束したセルを、びっしりと何層も重ねて防弾鋼板の箱の中に配置した構造になっている。 こういう構造にすることで封入されたセラミックが割れるのを防ぎ、高い硬度を活かしてKE弾の侵徹を阻害できるようにするのである。 エイブラムズX戦車に導入されている、第4世代DU装甲の具体的な防御力についてははっきりしないが、M1A2SEPv1〜v3戦車に導入されている第3世代DU装甲の防御力は、KE弾に対してRHA換算で650〜700mm程度、CE弾に対してRHA換算で1,500〜1,600mm程度と推定されている。 第4世代DU装甲は、KE弾に対する防御力が大幅に向上していることは間違いなく、RHA換算で900〜1,000mmに達するともいわれる。 また現在、アメリカ陸軍はM1戦車シリーズの防御力強化の一環として、M1A2SEPv2/v3戦車の内400両(4個機甲旅団分)に対して、イスラエル製の「トロフィー」(Trophy:ヘブライ語で「ウィンドブレーカー」を表す)APSの搭載作業を進めているが、エイブラムズX戦車も砲塔の左右にトロフィーAPSを搭載している。 トロフィーAPSは、イスラエルの老舗メーカーとして知られるラファエル先進防衛システムズ社と、イスラエル航空宇宙工業傘下のエルタ・システムズ社が、10年に渡る共同開発の末に2009年に実用化した。 トロフィーAPSは、全周を捜査して敵の対戦車ミサイルやロケット弾を捕捉するレーダーと、自動的に迎撃用擲弾を飛来する方向に向けて射撃する擲弾発射機から構成されている。 レーダーはF/Gバンドの平板式EL/M-2133を砲塔の4カ所に装着し、砲塔後部に搭載された2基の擲弾発射機で迎撃するというもので、すでにイスラエル陸軍ではメルカヴァMk.IV戦車に装着して実戦で使用している。 その迎撃距離は30m程度といわれ、レーダーが対戦車ミサイルやロケット弾を探知してから、擲弾発射までに要する時間はわずか0.1秒とメーカー側は宣伝している。 トロフィーAPSをM1戦車シリーズに搭載するにあたって、ヴァージニア州アーリントンのレオナルドDRS社と、ラファエル社の合同事業として、専用の改修キット「トロフィー・ディフェンス・システム」(TDS)が開発されることになり、2021年1月にはTDSの開発が完了したことが公表されている。 またエイブラムズX戦車は、従来のM1戦車シリーズに比べて防御力が向上しているだけでなく、車体と砲塔のデザインに平面を多用することで敵のレーダー波の反射を抑え、ステルス性を向上させている。 特に目立つのがサイドスカート下端の形状で、従来一直線だった複合装甲製のサイドスカートが、一定間隔で斜めにギザギザした形状のものに換わり、スカートの材質も下半分をラバー製にして下方に延長することで、敵の赤外線センサーから加熱した足周りを隠蔽するようになっている。 |
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+機動力
前述のようにエイブラムズX戦車のパワープラントは、従来のM1戦車シリーズが採用してきたガスタービン・エンジンに代えて、ディーゼル・エンジンと電動モーターのハイブリッド機関を採用している。 エンジンの出力はトルク×回転数の関係にあるため、低回転時には充分な出力が得られず、停車時はアイドリングをするなど効率が悪く、排出ガスの浄化能力も落ちる。 一方、電動モーターは起動時に最大トルクを発生するものが多い。 そこで発進時や急加速時など、エンジンが苦手とする熱効率が悪く有害排出物の多い範囲を、電動モーターに受け持たせたものがパラレル・ハイブリッド方式である。 またハイブリッド機関には他に、発電機を駆動することにのみエンジンを使用し、その電気で電動モーターを駆動し走行するシリーズ・ハイブリッド方式も存在する。 第2次世界大戦時の旧ドイツ陸軍のフェルディナント/エレファント重突撃砲なども、シリーズ・ハイブリッド方式の車両の一種であるが、当時は戦車のような大重量の車両の駆動に用いる、機械式変速・操向機を製作するのが技術的に困難だったため、容易に変速が可能な電動モーターを用いて、戦車を駆動させる試みが盛んに行われており、機動性能の向上を目的としたエイブラムズX戦車のハイブリッド化とは事情が異なる。 エイブラムズX戦車はディーゼル・エンジンと電動モーターを組み合わせることで、従来のガスタービン・エンジンに比べて高い加速性能と低燃費、排気ガスの清浄化、高い静粛性を実現することが可能になるのである。 エイブラムズX戦車に搭載されているハイブリッド機関はまだ開発途上にあると思われ、その具体的な性能については不明であるが、少なくとも従来用いてきたAGT-1500ガスタービン・エンジンの、最大出力1,500hpを上回る出力を発揮するものになる可能性が高い。 また、エイブラムズX戦車は前述のように無人砲塔を採用したことで、砲塔部の装甲防御力を従来より低く抑えることが可能になったため、その分軽量化が図られている。 GDLS社によると、2022年のAUSAで公開されたエイブラムズX戦車の技術実証車は、砲塔部に装甲を搭載しておらず、その状態で戦闘重量は約49tであるという。 また技術実証車はトロフィーAPSも未装備の状態だったので、装甲とAPSを搭載した状態で戦闘重量は55t程度に増加すると思われる。 これはM1A2SEPv3戦車の66.8tより10t以上も軽量であり、新しいハイブリッド機関と組み合わせることでエイブラムズX戦車は、従来のM1戦車シリーズに比べてかなり高い機動性能を発揮するものと予想される。 |
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エイブラムズX戦車全長:車体長: 全幅: 全高: 全備重量: 55.0〜60.0t 乗員: 3名 エンジン: ディーゼル+電動モーター 最大出力: 最大速度: 航続距離: 武装: 44口径120mm滑腔砲XM360×1 80.3口径30mm機関砲Mk.44ブッシュマスターII×1 12.7mm重機関銃M2×1 装甲: 複合装甲 |
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参考文献・「パンツァー2024年3月号 最強戦車(M1エイブラムス)の黄昏」 三鷹聡 著 アルゴノート社・「パンツァー2023年3月号 出揃った将来戦車」 毒島刀也 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2022年12月号 ABRAMS X」 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2025-2026」 荒木雅也/井坂重蔵 共著 アルゴノート社 ・「JグランドEX 世界の戦車 全戦力ガイド 2024」 イカロス出版 ・「JグランドEX AFV大百科」 イカロス出版 ・「2020年代 世界の新戦車」 ジャパン・ミリタリー・レビュー |
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