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M-95デグマン戦車





M-95「デグマン」(Degman)戦車は、旧ユーゴスラヴィア(ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国)が旧ソ連製のT-72戦車の改良ライセンス生産型として開発・生産したM-84戦車をベースとして、1991年に旧ユーゴから分離・独立したクロアチアのデューロ・ダコビッツ製作所が自国軍での採用と輸出向けに開発した新型MBTである。
デグマン戦車の砲塔は新設計の溶接製のもので、M-84戦車のお椀型の形状から西側の戦後第3世代MBTのような平面で構成された形状に変化している。

M-84戦車では戦闘室内に配置されていた主砲用弾倉と自動装填装置は、デグマン戦車では西側MBTのように砲塔内に収められるようになり、砲塔後部はバスルが大きく張り出している。
主砲は、M-84AB戦車と同じく51口径125mm滑腔砲2A46(D-81TM)が搭載されている。
装甲防御力の強化のため、砲塔・車体の主要部にはERA(爆発反応装甲)が装着されている。
このERAはクロアチア製のようで、1枚1枚の面積がかなり大きいのが特徴である。

さらにスロヴェニアのフォトナ社製のLIRD-4Bレーザー警報システムも採用されており、対戦車ミサイルや誘導砲弾の誘導用レーザーを感知すると、発煙弾発射機から自動的に発煙弾を発射して車体を隠蔽するようになっている。
また機動力の改善のため、出力1,200hpのV型12気筒液冷ディーゼル・エンジンと前進5段/後進1段の自動変速機を組み合わせた新型パワーパックが採用されている。

FCS(射撃統制システム)はフォトナ社が開発したオメガ・システムが採用されており、車長、砲手用には赤外線映像システムが装備可能である。
さらには新型のNBC防護システム、コンピューターを介した操縦装置パネル、イギリス製無線装置等が導入されている。

デグマン戦車は1995年5月に試作車が初めて公開されたが、まだ装備の一部はモックアップだった。
当初は2000年末もしくは2001年初めからクロアチア陸軍向けの量産が開始される予定であったが、製造コストが高い等の理由で結局デグマン戦車の採用は見送られ、同じくデューロ・ダコビッツ製作所がM-84戦車の改良型として開発したM-84A4「スナイパー」(Snajper:狙撃手)戦車が現在クロアチア陸軍の主力MBTとなっている。

デューロ・ダコビッツ製作所は東欧諸国や中東諸国を中心にデグマン戦車の売り込みを積極的に行っており、スイスのルアーク・ランドシステムズ社製の50口径120mm低反動滑腔砲CTG(Compact Tank Gun:コンパクト戦車砲)への主砲の換装、イスラエルのエルビット社製の増加装甲の装着、ラファエル社製の「サムソン」(Samson)遠隔操作式武装ステイションの装備などのアップグレード・サービスも提供している。
また、M-84A4スナイパー戦車にこのアップグレードを適用したM-95「コーブラ」(Kobra)戦車も発表している。


<M-95デグマン戦車>

全長:
全幅:
全高:
全備重量: 47.5t
乗員:    3名
エンジン:  4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 1,200hp
最大速度: 65km/h
航続距離: 700km
武装:    51口径125mm滑腔砲2A46×1 (52発)
        12.7mm重機関銃M87×1 (400発)
        7.62mm機関銃M86×1 (2,500発)
装甲厚:


<参考文献>

・「パンツァー2002年10月号 東欧諸国でリメイクされたT-72戦車シリーズ」 古是三春 著  アルゴノート社
・「パンツァー2008年7月号 T-72戦車 開発・構造とそのバリエーション(3)」 白井和弘 著  アルゴノート社
・「パンツァー2001年3月号 新装備トピックス」  アルゴノート社
・「パンツァー1999年10月号 海外ニュース」  アルゴノート社
・「世界のAFV 2021〜2022」  アルゴノート社
・「グランドパワー2003年7月号 ソ連戦車 T-72 (1)」 古是三春 著  ガリレオ出版
・「グランドパワー2019年8月号 ソ連軍主力戦車(3)」 後藤仁 著  ガリレオ出版
・「世界の戦闘車輌 2006〜2007」  ガリレオ出版
・「新・世界の主力戦車カタログ」  三修社
・「世界の主力戦車カタログ」  三修社


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