1991年末にソヴィエト連邦が崩壊したことで冷戦が終結したため、ドイツ陸軍は戦車の定数の削減を進めることになり、余剰になったレオパルト2A4戦車は海外に売却されることになった。 ドイツ陸軍から中古のレオパルト2A4戦車を最初に導入したのはデンマーク陸軍で、1997年6月にレオパルト2戦車シリーズの生産メーカーであるクラウス・マッファイ社とデンマーク陸軍の間で52両のレオパルト2A4戦車を引き渡す契約が結ばれ、2000年までに納入が完了した。 さらにデンマーク陸軍は、ドイツ陸軍から購入したレオパルト2A4戦車を「レオパルト2A5DK」(”DK”はDanmark:デンマークの略)の名称でA5仕様に近代化改修することを決定し、1998年にクラウス・マッファイ社との間で改修契約が結ばれた。 レオパルト2A5DK戦車の引き渡しは2002年9月から開始され、2004年10月までに51両がデンマーク陸軍に納入された。 さらにデンマーク陸軍は6両のレオパルト2A4戦車をドイツ陸軍から追加購入し、現在57両のレオパルト2戦車シリーズを部隊配備している。 デンマーク陸軍は追加購入分の6両のレオパルト2A4戦車もレオパルト2A5DK戦車に改修する予定であるが、今のところ改修は実施されていない。 デンマーク陸軍のレオパルト2A5DK戦車は、ドイツ陸軍のレオパルト2A5戦車に比べて細かい部分に改良が施されており、「レオパルト2A5+」とも呼ばれる。 レオパルト2A5DK戦車の車体前面には、レオパルト2A5戦車のスウェーデン陸軍仕様であるStrv.122戦車と同様の増加装甲が装着されており、ドイツ陸軍のレオパルト2A5戦車よりも装甲防御力が強化されている。 また車内にはエアコンが装備されており、それに伴って機関室内右側にAPU(補助動力装置)が追加されている。 赤外線映像装置は従来のカール・ツァイス社製のものからイスラエルのエロップ社製のものに変更されており、主砲防盾上の砲手用補助サイトの左側には小型のサーチライトが追加装備されている。 砲塔上面の装填手用ハッチの前と車長用キューポラの左横には、自衛用火器であるM/96カービン(コルト・カナダ社製のC8カービン)の即用ラックが追加されている。 これらの改良により、レオパルト2A5DK戦車の戦闘重量はレオパルト2A5戦車の59.7tから61tに増加している。 |
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<レオパルト2A5DK戦車> 全長: 9.97m 車体長: 7.72m 全幅: 3.74m 全高: 2.64m 全備重量: 61.0t 乗員: 4名 エンジン: MTU MB873Ka-501 4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 最大出力: 1,500hp/2,600rpm 最大速度: 72km/h 航続距離: 500km 武装: 44口径120mm滑腔砲Rh120×1 (42発) 7.62mm機関銃MG3×2 (4,750発) 装甲: 複合装甲 |
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<参考文献> ・「世界の戦車イラストレイテッド24 レオパルト2主力戦車 1979〜1998」 ウーヴェ・シネルバッハー/ミヒャエル・ イェルヒェル 共著 大日本絵画 ・「パンツァー2020年1月号 特集 レオパルト2配備40周年(2)」 竹内修/藤井岳 共著 アルゴノート社 ・「パンツァー2011年3月号 レオパルト2 その30年に渡る発展の軌跡(2)」 竹内修 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2018年3月号 レオ2ファミリーのニューフェイス LEOPARD2A7DK」 アルゴノート社 ・「パンツァー2014年2月号 世界に拡散するレオパルト2戦車」 荒木雅也 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2005年10月号 各国採用のレオパルト2の現状」 藤井久 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2020年6月号 デンマーク陸軍 レオパルト2A7の受領開始」 アルゴノート社 ・「パンツァー2021年4月号 Leopard 2A7 in Holstebro practice terrain」 アルゴノート社 ・「パンツァー2017年8月号 レオパルト2とその発展」 毒島刀也 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2004年10月号 海外ニュース」 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2021〜2022」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2005年4月号 レオパルト2 (3)」 一戸崇雄 著 ガリレオ出版 ・「新・世界の主力戦車カタログ」 三修社 |
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