Kfz.14装甲無線車
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+概要
Kfz.13装甲偵察車は汎用装甲車両として企画されたが、車内が狭かったためか無線機は搭載されていなかった。
そのため、これに随伴して行動する略同型の無線機搭載型Kfz.14が同時に開発され、やはり1932~34年にかけて40両が生産された。
Kfz.14装甲無線車は、車体上部に4本の支柱で取り付けられた四角いフレーム型のアンテナを装備していたのが外見上の大きな特徴であった。
このアンテナは、支柱を起倒することにより上げたり下げたりすることができた。
固定武装は無かったが、Kfz.13装甲偵察車と同様に車内右側面に9mm機関短銃を装備していた。
また7.92mm機関銃の予備銃身の代わりに信号弾発射用ピストルが装備され、ガスマスク・ケースの下には折り畳み式のマップボード、左側には信号板があった。
信号弾ボックスは、前方にある機関短銃用弾薬箱の中にあった。
無線機は車内後部に設けられた机の上に設置されており、無線手は後ろ向きに座ってこれを操作するようになっていた。
無線手用のシートは回転式となっており、これに対して操縦手用シートは前後にのみ動かすことができた。
Kfz.14装甲無線車の乗員は3名とされていたが、シートは上記の2つしか装備されていなかった。
本車はKfz.13装甲偵察車より戦闘重量が500kgほど重かったが、性能データは全く変わらない。
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+Kfz.13装甲偵察車/Kfz.14装甲無線車の部隊配備
Kfz.13装甲偵察車/Kfz.14装甲無線車は1932年よりドイツ陸軍の自動車化偵察大隊に装備されたが、1935年からより本格的な4輪装甲車であるSd.Kfz.221装甲偵察車/Sd.Kfz.223装甲無線車の生産が開始されたため、次第にこれらの新型車両に置き換えられていった。
1939年9月のポーランド侵攻作戦(Unternehmen Weiß:白作戦)までには、Kfz.13装甲偵察車/Kfz.14装甲無線車は補助車両として機械化されていない部隊へと配置換えされている。
Kfz.13装甲偵察車/Kfz.14装甲無線車は多くがポーランド戦に投入され、1940年5月からの西方戦役では第11自動車化狙撃兵旅団にのみ配備された。
1941年には第一線から退役したが、極少数が歩兵部隊に随伴して東部戦線にて活動したという。
ただしこれは、かなり早い段階で消耗したようである。
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<Kfz.14装甲無線車>
全長: 4.20m
全幅: 1.70m
全高: 1.46m
全備重量: 2.7t
乗員: 3名
エンジン: アドラー6S 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 60hp/3,200rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 320km
武装:
装甲厚: 5~8mm
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<参考文献>
・「パンツァー2013年6月号 民間車ベースの装甲車 Kfz.13シリーズ」 久米幸雄 著 アルゴノート社
・「ピクトリアル ドイツ装輪装甲車」 アルゴノート社
・「グランドパワー2011年10月号 ドイツ4輪装甲車」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー1999年8月号 ドイツ4輪装甲車」 佐藤光一 著 デルタ出版
・「世界の軍用車輌(4) 装輪式装甲車輌:1904~2000」 デルタ出版
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