KF51パンター戦車
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+開発
KF51「パンター」(Panther:豹)戦車は、デュッセルドルフのラインメタル社が、同社が展開する新世代装軌式AFV「KF(Kettenfahrzeug:装軌式車両)シリーズ」の一環として、自己資金で開発した戦後第4世代MBTである。
KFシリーズはすでにKF31/KF41「リンクス」(Lynx:ヤマネコ)歩兵戦闘車が開発されているが、KF51「パンター」は、かつて第2次世界大戦中に旧ドイツ軍が戦力化した世界最強の中戦車の名前を受け継いでおり、ラインメタル社が本車に賭ける意気込みが伝わってくる。
KF51戦車の試作車は、2022年6月にフランスのパリで開催された兵器展示会「ユーロサトリ2022」の初日である6月13日に初めて公開され、同イベントの展示品の中で一際注目を集めた。
これに先立つ同年2月24日には、ロシア軍がウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始しており、KF51戦車はこの事態を受けて、軍事力の強化を図ろうとする西側諸国のニーズに応えるべく急遽開発されたのではないかという憶測もあったが、実際はそのずっと以前から開発が進められていたようである。
KF51戦車は2016年から各コンポーネントの部分試作が開始され、2018年から全体試作に移行したと報じられている。
ラインメタル社はKF51戦車を、各国が運用しているレオパルト2戦車シリーズの後継車両として提案したい考えもあるようだが、同社のお膝元であるドイツは現在フランスと共同で、レオパルト2、ルクレール両戦車の後継となる次世代戦闘車両「MGCS」(Main
Ground Combat System:陸上主力戦闘システム)の開発を進めている。
このため、KF51戦車が現在ドイツ陸軍に配備が進められている、レオパルト2A7V戦車の後継車両の座にすんなり座れる可能性は高くないものと思われる。
MGCSはラインメタル社のライバルであるミュンヘンのクラウス・マッファイ・ヴェクマン(KMW)社と、フランスのネクスター社の合弁企業であるKMW+ネクスター・システムズ社が中心となって進められているが、ラインメタル社もMGCSのコンポーネントの開発に関与している。
このため、MGCSにはKF51戦車の開発過程で得られた知見がフィードバックされており、逆にMGCS用に開発されたコンポーネントが今後KF51戦車に導入されていくことも充分考えられるため、本車の開発は決して無駄になることは無い。
なお2023年12月15日には、ハンガリー政府がラインメタル社との間でKF51戦車の開発契約を2億8,800万ユーロで締結したと伝えられており、ウクライナ政府も本車のライセンス生産に興味を示しているという。
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+攻撃力
KF51戦車の主武装は、ラインメタル社が新たに開発した52口径130mm滑腔砲Rh130と、新設計の全周旋回式砲塔を組み合わせた「FGS」(Future
Gun System:将来砲システム)を採用している。
旧西ドイツが1979年に実用化したレオパルト2戦車の主砲に、ラインメタル社製の44口径120mm滑腔砲Rh120を選択して以降、西側諸国が開発した戦後第3世代MBTは、国産の55口径120mmライフル砲を装備し続けたイギリスのチャレンジャー1/2戦車を除いて、主砲に120mm滑腔砲を採用し続けている。
その後、ドイツやフランスなどではより大口径の滑腔砲の研究が行われたが、1991年末にソ連が崩壊して東西冷戦が終結したことに伴い、大規模な機甲戦闘が発生する可能性が低下したことなどから、ドイツのレオパルト2A6/A7戦車や、韓国のK2「黒豹」戦車のような長砲身120mm滑腔砲を搭載する戦車は現れたものの、より大口径の滑腔砲の実用化は見送られ続けてきた。
戦車砲の装甲貫徹力は砲弾の質量と飛翔速度に比例するので、主砲を大口径化して砲弾の質量を増大させれば容易に装甲貫徹力を向上させることができるが、それにはメリットだけでなく大きなデメリットも存在する。
まず挙げられるのが、弾薬の重量増加に伴う装填手への負担の増大である。
レオパルト2戦車シリーズやアメリカのM1A1/A2エイブラムズ戦車、イスラエルのメルカヴァMk.III/IV戦車は120mm滑腔砲を装備しているが、弾薬の装填は装填手が人力で行うようになっている。
120mm滑腔砲の弾薬重量は概ね18〜19kg程度で、これは一般的な成人男性が人力でスムーズに装填できる限界に近い重量といわれている。
KF51戦車が装備する130mm滑腔砲Rh130の弾薬重量は30kgを超えると推測されており、これでは人力による弾薬装填は困難である。
このため大口径滑腔砲を搭載するためには、自動装填装置の導入が必要不可欠となる。
しかし、自動装填装置の導入は戦車の製造コストの上昇に繋がるため、これが各国が大口径滑腔砲の導入に踏み切らなかった大きな理由の1つとなっている。
また実戦経験の豊富なイスラエルは、「戦車の乗員は掩体構築や車両整備、周辺警戒などで最低4名必要であり、自動装填装置を搭載して乗員を3名に減らすのは好ましくない」と主張している。
しかしKF51戦車は製造コストの上昇を承知の上で、130mm滑腔砲を搭載するために自動装填装置の導入に踏み切っている。
KF51戦車の砲塔後部にはバスルが張り出しており、ここには2個の回転ドラムマガジンで構成される主砲弾薬の自動装填装置を組み込んでいる。
バスルの左右側面にはそれぞれ前開き式の弾薬補充用ハッチが設けられており、このハッチから自動装填装置のマガジンへの弾薬の補充は5分以内に行える。
2022年4月に実施された射撃試験において、試験装置に搭載された130mm滑腔砲Rh130は16秒で3発の砲弾の発射に成功している。
この試験では1発発射するごとに安全性のチェックが行われており、KF51戦車に搭載されて実戦で使用される場合の、砲弾の連続発射速度はより高いものと考えられる。
自動装填装置の弾倉への主砲弾薬の装填数は20発で、車体への予備弾の搭載数は明らかにされていないが、車体後部にオプションで10発の予備弾を搭載可能という情報もある。
いずれにしても、レオパルト2戦車シリーズが120mm滑腔砲用の弾薬を、砲塔後部と車体前部に合計42発搭載しているのに比べると、よりサイズの大きい130mm滑腔砲用の弾薬を使用するKF51戦車は搭載弾薬数が減少しているものと思われる。
仮に、KF51戦車の主砲弾薬搭載数を砲塔後部20発+車体後部10発の合計30発とすると、実戦で使用する上でやや物足りない数字で戦闘中に弾切れを起こす不安がある。
この搭載弾薬数の減少も、これまで大口径滑腔砲が普及しなかった大きな理由の1つである。
KF51戦車の主砲の俯仰角は−8〜+20度となっており、ラインメタル社の幹部はFGSが主砲を発射する際の砲口の運動エネルギーの目標値として、18〜20MJを目指すと述べている。
これが実現すればKF51戦車の主砲は装甲貫徹力が大きく向上するだけでなく、射程も大幅に延伸することが見込まれる。
ラインメタル社が作成した資料によると、KF51戦車の主砲は同社製の120mm滑腔砲に比べて最大射程が50%向上すると記載されている。
KF51戦車の主砲弾薬は、対戦車戦闘用のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)と訓練弾に加えて、ラインメタル社がレオパルト2A7戦車の120mm滑腔砲用に新たに開発したDM11
HE-FRAG(破片効果榴弾)と同様に、プログラム入力が可能な信管を備えた130mm HE-FRAGが用意されている。
ちなみにDM11の信管は着発、遅延炸裂、空中炸裂の3つのモードに設定できるようになっており、非装甲/軽装甲車両、対戦車陣地、野戦陣地などに対して最適な攻撃ができるようになっている。
KF51戦車のFCS(射撃統制装置)の詳細については明らかにされていないが、同じKFシリーズのリンクス歩兵戦闘車のFCSとある程度コンポーネントの共通化が図られていると推測され、また、ラインメタル社が現在BAEシステムズ社と共同で開発を進めている、イギリスの次期主力MBTチャレンジャー3のFCS開発で得られた知見もフィードバックされているといわれる。
またラインメタル社によると、KF51戦車に搭乗する全ての乗員が通信機器や武装システム、各センサー類、エンジンなどの主要コンポーネントのデータにアクセスすることが可能になっており、乗員の誰かが負傷などにより自分の任務を遂行不能になった際に、他の乗員がその任務を代替して実行することも可能になっているという。
KF51戦車の副武装は、主砲と同軸にアメリカのブラウニング火器製作所製の12.7mm重機関銃M2が標準装備される他、オプションで砲塔上面にRWS(遠隔操作式武装ステイション)を装備することが可能である。
ユーロサトリ2022で公開された試作車には、ラインメタル社が新たに開発した「ナッター」(Natter:おしゃべり、噂話)RWSに、同社製の7.62mm機関銃MG3を装備したものが搭載されていた。
ナッターRWSは俯仰角が−15〜+85度と、既存のRWSよりも仰角が大きく取れるようになっており、対空射撃や高所に潜むゲリラへの射撃が行い易くなっている。
また光学照準装置とディジタル昼間ライト、赤外線画像フィード、自動目標追跡システムを統合した「フレックスアイR」と組み合わせることで、既存のRWSに比べてドローンの迎撃能力が高いとされている。
副武装の搭載弾薬数は12.7mm重機関銃が250発、7.62mm機関銃が2,500発となっている。
またKF51戦車はオプションで、イスラエルのUヴィジョン社が開発した徘徊型弾薬「ヒーロー120」の4連装発射機を装備できる。
ヒーロー120は軽装甲車両から戦車まで、幅広いAFVへの攻撃を行える徘徊型弾薬で、ヒーロー120の運用能力の付与はKF51戦車の遠距離戦闘能力を向上させることは間違いない。
ただしヒーロー120を搭載する場合は、前述した主砲弾薬の自動装填装置の2個の回転ドラムマガジンの内1個を外し、そこにヒーロー120の4連装発射機を装備するため、主砲弾薬搭載数が減少するというデメリットも生じる。
ヒーロー120の運用能力を求めるかどうかはユーザーの戦車の運用方針次第だが、部隊を構成する一部の車両のみに付与して部隊全体の監視能力を高め、想定していなかった敵が出現した際の切り札として使用するという運用も考えられる。
KF51戦車の砲塔上部には、クワッドコプター型の小型ドローン「スティンガー」(Stinger:針)の発進と回収に使用する開口部が4カ所設けられている。
スティンガーは情報収集用のドローンだが、少量の爆薬を搭載して徘徊型弾薬として使用する構想もあるようである。
前述したように、KF51戦車の主武装であるFGSには主砲弾薬の自動装填装置が組み込まれており、装填手が不要となったため本車は車長、操縦手、砲手の3名で運用できる。
しかしラインメタル社はKF51戦車の車体に、もう1名の乗員の搭乗を可能にするための座席を設けるオプションを設定している。
KF51戦車の乗員配置は、装填手が居なくなった以外は基本的にレオパルト2戦車シリーズと同様で、砲塔内左側に車長、右側に砲手が位置し、車体前部の右側に操縦手が配置される。
レオパルト2戦車では車体前部左側に主砲弾薬庫が設置されていたが、この車体弾薬庫は被弾した際に弾薬が誘爆して大きな被害を出す危険性があるため、ドイツ陸軍では現在、レオパルト2戦車の車体弾薬庫に主砲弾薬を搭載しないように通達が出されているという。
この戦訓から、KF51戦車は被弾し難い車体後部に主砲弾薬庫を移設しており、車体前部左側は空きスペースとなっている。
そこでこの空きスペースを利用して、4番目の乗員を搭乗させようというのである。
ラインメタル社はこの追加乗員について、車長より高位の指揮官、徘徊型弾薬やUAS(無人航空機システム)を含む各種無人機の操作手、UASや360度を監視可能な状況認識用カメラなどの各種センサー、戦闘情報共有システムなどから供給される、膨大な情報を処理する要員を想定していると述べており、同社が作成した資料ではこの追加乗員を「スペシャリスト」と呼んでいる。
ヒーロー120とスティンガーの制御や、両UASの収集した情報の処理程度であれば車長や砲手でも行えないことは無いと思われるが、ラインメタル社の資料にはKF51戦車の上空を飛行する、アメリカのジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社製の中高度長時間滞空UAS、MQ-9「リーパー」(Reaper:死神)と、KF51戦車と行動を共にする装軌式のUGV(無人車両)と思しき車両の姿が描かれており、同社はこのクラスのUASから得た情報の処理や、UGVの制御には専任の操作手が必要と判断したものと思われる。
ラインメタル社はユーロサトリ2022において、同社のカナダ法人が開発したUGV「ミッションマスターXT」に、前述したヒーロー120の6連装発射機を搭載した火力支援型を出展しており、ラインメタル社の担当者は武装を搭載したミッションマスター・シリーズのUGVも、KF51戦車と行動を共にするロイヤル・ウイングマン(忠実な僚機)に成り得ると述べていた。
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+防御力
KF51戦車の砲塔には、昼間用TVカメラと赤外線センサーを一体化したSAS(状況認識用)カメラモジュールが6基組み込まれており、各カメラモジュールが取得した画像を一体化してパノラマ画像として乗員に提供する機能や、昼間用TVカメラでは照度不足で不鮮明な範囲を、赤外線センサーが取得した画像で補う能力が付与されている。
ラインメタル社が作成した資料には、KF51戦車の車長席のイメージCGが掲載されている。
車長席前方の大型液晶カラーディスプレイには、前述したパノラマ画像と思しき映像が映し出されており、また車長席の左右両側にもパノラマ画像を映し出すディスプレイが設けられている。
その一方で、既存の戦車の車長席に装備されていたペリスコープ(潜望鏡)の姿が見当たらない。
これまで戦車の車長の状況認識はペリスコープと、車長用ハッチからの目視に依存してきたが前者は視界が狭く、後者には状況認識のためハッチから身を乗り出した車長が狙撃を受けるというリスクが存在していた。
SASカメラモジュールの取得した画像は、ペリスコープが取得できる画像よりも鮮明かつ広範囲をカバーしており、他の乗員にも共有できる。
KF51戦車は車体やUAS、UGVに搭載されたセンサーが取得し、BMS(戦闘管理システム)によって共有される情報を生残性向上の手段の1つと位置付けている。
戦後第3世代MBTは主砲の長砲身化や搭載電子機器の増加、主に非対称戦を想定した防御力の強化などで戦闘重量は増加の一途を辿っており、レオパルト2戦車の最新仕様であるレオパルト2A7V戦車の戦闘重量は66.5tに達している。
レオパルト2A7V戦車は走行装置やサスペンションの強化などで、重量の増加に伴う機動性の低下を抑えているが、やはり重量が60tを超えると運用に様々な支障が出るのは避けられない。
そこでKF51戦車は、APS(アクティブ防御システム)やPPS(パッシブ防御システム)を積極的に導入することで、なるべく装甲防御力の強化に頼らずに生残性の向上を図っており、戦闘重量を59tに抑えることに成功している。
KF51戦車は前述したSASカメラモジュールやUAS、UGVなどが取得し、BMSによって共有される情報の活用と、ラインメタル社が開発した「ストライクシールド」APS、「ロージー」PPS、敵弾の発射を早い段階で探知するセンサーの装備などによって生残性を向上させている。
現在メルカヴァMk.IV戦車に搭載されており、ドイツ陸軍の次期MBTとして開発が進められているレオパルト2A8戦車への導入も決まっているイスラエル製の「トロフィー」APSは、敵弾の発射を探知するレーダーと迎撃用擲弾の発射装置が分離されているが、ストライクシールドAPSはレーダーと擲弾発射装置が一体化されているため、車体全周をカバーするためには複数基を装備する必要がある。
その一方でストライクシールドは、トロフィーでは迎撃を想定していないAPFSDSやトップアタック機能を持つ対戦車ミサイルの迎撃能力も備えており、また電子光学センサーで敵弾までの距離をより正確に把握し、迎撃用擲弾を起爆できるという長所もある。
ロシア軍のウクライナ侵攻では、ウクライナ軍が装備するアメリカ製のトップアタック式対戦車ミサイルFGM-148「ジャベリン」によって、多数のロシア軍AFVが撃破されている。
このためKF51戦車はストライクシールドAPSの装備化と共に、トップアタック対策として「TAPS」(Top Attack Protection
System:トップアタック防御システム)を装備している。
また最近の兵器は制御システムのネットワーク化が進んでいるため、敵のサイバー攻撃によって戦闘機能を喪失する可能性が増していると指摘されている。
このためラインメタル社はKF51戦車に、サイバー攻撃や電磁波攻撃への対策を施したと述べており、この点においてもKF51戦車は先進的な兵器であるといえる。
KF51戦車の具体的な装甲防御力については不明であるが、ユーロサトリ2022に出品された試作車の車体は、レオパルト2A4戦車のものを基本ベースとして流用していた。
KF51戦車には、レオパルト2A7V戦車の開発で得られた知見がフィードバックされているため、KF51戦車の車体は走行装置やサスペンションの強化、対地雷防御能力の強化など、レオパルト2A7V戦車に準じた改良が施されていると想定されるが、戦闘重量が6t以上軽量化されているため、純粋に装甲防御力だけで比較するとKF51戦車はレオパルト2A7V戦車より若干劣っている可能性がある。
前述のようにKF51戦車はAPSやPPS、センサー類の充実によって生残性を向上させる方針を採っているため、総合的な防御能力は今の段階でもレオパルト2A7V戦車を凌ぐと思われるが、ラインメタル社はKF51戦車の量産化が決定した場合には車体を新設計する用意があると述べているため、新素材の採用などにより重量の増加を最小限にして、レオパルト2A7V戦車を上回る装甲防御力を備えたMBTが実現することになろう。
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+機動力
前述のようにユーロサトリ2022で公開されたKF51戦車の試作車は、レオパルト2A4戦車の車体を基本ベースとして流用していた。
レオパルト2A4戦車の機動性能は路上最大速度72km/h、路上航続距離550kmとされているが、最新仕様のレオパルト2A7V戦車は戦闘重量が2A4の55.15tから66.5tに増加しているため、路上最大速度は61km/hと2A4より10km/h以上低下している。
KF51戦車の路上最大速度は公表されていないが、戦闘重量が59tとレオパルト2A4戦車より約4t増加しているため、やはり2A4よりやや低下しているのは間違いないと思われる。
一方、KF51戦車は路上航続距離については500kmと公表されており、レオパルト2A4戦車より若干低下している。
KF51戦車の動力システムや駆動系の詳細は明らかにされていないが、ユーロサトリ2022で公開された試作車は、レオパルト2戦車シリーズと同じパワーパックを搭載していたと推測される。
しかし、レオパルト2戦車シリーズのパワーパック(MTU社製のMB873Ka-501 V型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力1,500hp/2,600rpm)と、レンク社製のHSWL354/3自動変速機(前進4段/後進2段)の組み合わせ)は1970年代に開発された旧式なもので、両社はその後継として1990年代前期に、「ユーロ・パワーパック」(MTU社製のMT883
V型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力1,500hp/2,700rpm)と、レンク社製のHSWL295自動変速機(前進5段/後進5段)の組み合わせ)を開発している。
MT883エンジンは、MB873エンジンと同じ1,500hpの出力を発揮するが重量は600kgも軽く、排気量もMB873エンジンの47.6リットルに対して、MT883エンジンは27.4リットルと大幅に小さく燃費効率が大きく向上している。
このため、ユーロ・パワーパックを採用すれば機関室容積の節約と軽量化を図ることができ、燃費の向上によって航続距離も延伸する。
またユーロ・パワーパックは、搭載した戦車を完全無人運用することを可能にすべく、物理的なケーブルの代わりに、電気信号でスロットルを制御する「ドライブ・バイ・ワイア」の導入に対応できるよう設計変更されており、ラインメタル社がKF51戦車の将来的な能力拡張の一端として提唱している完全無人運用にとって、最も適したパワーパックといえる。
ユーロ・パワーパックはすでに、UAEのトロピック・ルクレール戦車や韓国のK2戦車、トルコのアルタイ戦車に採用されている他、ドイツとフランスが共同開発しているMGCSにも採用される予定となっている。
このため、KF51戦車の量産化が決定した場合には、ユーロ・パワーパックが採用される可能性が高いと推測される。
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<KF51パンター戦車>
全長:
全幅:
全高:
全備重量: 59.0t
乗員: 3〜4名
エンジン: MTU MB873Ka-501 4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 1,500hp/2,600rpm
最大速度:
航続距離: 500km
武装: 52口径130mm滑腔砲Rh130×1
12.7mm重機関銃M2×1 (250発)
7.62mm機関銃MG3×1 (2,500発)
装甲: 複合装甲
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<参考文献>
・「パンツァー2024年11月号 EURO SATORY 2024−HEAVY METAL」 カール・シュルツ 著 アルゴノート社
・「パンツァー2022年10月号 ユーロサトリにみる戦車の将来像」 カール・シュルツ 著 アルゴノート社
・「パンツァー2022年9月号 EURO SATORY 2022」 竹内修 著 アルゴノート社
・「パンツァー2023年3月号 出揃った将来戦車」 毒島刀也 著 アルゴノート社
・「パンツァー2024年3月号 軍事ニュース」 荒木雅也 著 アルゴノート社
・「パンツァー2024年6月号 軍事ニュース」 荒木雅也 著 アルゴノート社
・「パンツァー2023年5月号 軍事ニュース」 アルゴノート社
・「2020年代 世界の新戦車」 ジャパン・ミリタリー・レビュー
・「世界の戦車パーフェクトBOOK 決定版」 コスミック出版
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