Mk.V*戦車
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+概要
Mk.V*戦車は1918年2月にフランスの戦車軍団中央工場で設計が開始されたMk.V戦車の改良型であり、同年5月からソルトリーのMARCW社(Metropolitan
Amalgamated Railway Carriage and Wagon:メトロポリタン合同客車・貨車製作所)で生産が開始された。
生産は第1次世界大戦が終結した1918年11月まで続けられ、合計579両が完成している。
Mk.V*戦車は全長をMk.V戦車と比べ183cm延長することで各種備品や25名までの兵員を輸送することが可能となり、同時に超壕力もMk.V戦車の3.5mから4.27mにまで向上した。
ただし車体の延長に伴って戦闘重量がMk.V戦車より約5t増加したため、機動性能はやや低下している。
車体の延長要領であるが、Mk.V戦車の車体をスポンソン(張り出し砲座)の直後の位置で前後に切断し、3枚の61cm幅のパネルで構成された延長部分を中央に挟み込んで結合していた。
延長部分の中央のパネル側面には上方に機関銃マウント、その下に前開き式の乗降用ドアが設けられていた。
菱形戦車の車体を延長する方法としては、車体後部に「タッドポウル・テイル」(Tadpole Tail:オタマジャクシの尾)と呼ばれる軟鋼製の延長部を装着する方法も検討されMk.IV戦車を改造して試験が行われたが、Mk.V*戦車の延長手法はタッドポウル・テイルを装着する方法よりも優れており、戦車の設計にまた新たな可能性を見出すこととなった。
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<Mk.V*戦車 雄型>
全長: 9.875m
全幅: 3.95m
全高: 2.63m
全備重量: 33.0t
乗員: 8名
エンジン: リカード 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 150hp/1,250rpm
最大速度: 7.4km/h
航続距離:
武装: 23口径6ポンド戦車砲×2 (332発)
7.7mmオチキスM1914重機関銃×3〜4 (6,272発)
装甲厚: 8〜16mm
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<Mk.V*戦車 雌型>
全長: 9.875m
全幅: 3.32m
全高: 2.63m
全備重量: 32.0t
乗員: 8名
エンジン: リカード 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 150hp/1,250rpm
最大速度: 7.4km/h
航続距離:
武装: 7.7mmヴィッカーズ重機関銃×4 (16,200発)
7.7mmオチキスM1914重機関銃×1〜2
装甲厚: 8〜16mm
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<参考文献>
・「パンツァー2011年1月号 陸戦に新時代をもたらした菱形戦車Mk.I〜VIII (3)」 箙公一 著 アルゴノート社
・「世界の戦車 1915〜1945」 ピーター・チェンバレン/クリス・エリス 共著 大日本絵画
・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版
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