Mk.V**戦車
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+概要
Mk.V**戦車はMk.V*戦車に引き続いて開発されたMk.V戦車の改良型であるが、Mk.V*戦車よりもさらに多くの改良点が盛り込まれた新たな設計の戦車であった。
外見上の大きな違いはMk.V戦車やMk.V*戦車では車体上面後部に設置されていた車長用キューポラが、Mk.V**戦車では車体前部にある操縦室の直後に移された点である。
またMk.V**戦車はMk.V戦車に比べて戦闘重量が約7tも増加したため、機動性能の低下を防ぐために出力を225hpに強化したショアハム・バイ・シーのリカード社製の直列6気筒液冷ガソリン・エンジンが搭載された。
燃料タンクの容量もMk.V戦車の423リットルから倍以上の900リットルに増やされたため、路上航続距離はMk.V戦車の72kmから100km以上に延伸した。
Mk.V**戦車の全長はMk.V*戦車と同じ9.875mで、車体の延長方法についてもMk.V戦車の車体をスポンソン(張り出し砲座)の直後の位置で前後に切断し、3枚の61cm幅のパネルで構成された延長部分を中央に挟み込んで結合するという同様のものであった。
Mk.V**戦車の設計は1918年5月に開始され、ソルトリーのMARCW社(Metropolitan Amalgamated Railway
Carriage and Wagon:メトロポリタン合同客車・貨車製作所)で同年12月に試作第1号車が製作された。
イギリス陸軍は当初、リンカンのWF(William Foster:ウィリアム・フォスター)社に対して200両のMk.V**戦車の生産を発注していたが、1918年11月に第1次世界大戦が終結したことや新型のMk.VIII戦車の開発が最終段階に入っていたことから発注は取り消され、大戦終了後に25両が生産されたに留まった。
すでに後継のMk.VIII戦車が実用化されていたためMk.V**戦車は通常の戦車としては使用されず、工兵部隊向けの架橋戦車やローラーを装備した地雷処理戦車などの特殊車両に転用された。
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<Mk.V**戦車 雄型>
全長: 9.875m
全幅: 3.95m
全高: 2.743m
全備重量: 35.0t
乗員: 8名
エンジン: リカード 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 225hp
最大速度: 7.4km/h
航続距離:
武装: 23口径6ポンド戦車砲×2 (332発)
7.7mmオチキスM1914重機関銃×3〜4 (6,272発)
装甲厚: 8〜16mm
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<Mk.V**戦車 雌型>
全長: 9.875m
全幅: 3.32m
全高: 2.743m
全備重量: 34.0t
乗員: 8名
エンジン: リカード 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
最大出力: 225hp
最大速度: 7.4km/h
航続距離:
武装: 7.7mmヴィッカーズ重機関銃×4 (16,200発)
7.7mmオチキスM1914重機関銃×1〜2
装甲厚: 8〜16mm
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<参考文献>
・「パンツァー2011年1月号 陸戦に新時代をもたらした菱形戦車Mk.I〜VIII (3)」 箙公一 著 アルゴノート社
・「世界の戦車 1915〜1945」 ピーター・チェンバレン/クリス・エリス 共著 大日本絵画
・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版
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