Mk.ＩＩおよびMk.III戦車はMk.Ｉ戦車に引き続いてイギリス陸軍に導入された戦車で、基本的な構造はほとんどMk.Ｉ戦車と変わらなかったが、Mk.Ｉ戦車を実戦投入して得た戦訓を活かした改良が施されていた。
その改良とは、履帯のリンク6本ごとに装着された幅広の履帯シューや車体上面に増設されたハッチで、またMk.III戦車の場合装甲が若干強化されていた。

また後期型のMk.III戦車雄型の6ポンド（57mm）戦車砲は、砲身を内側に旋回させられるように23口径長に短砲身化され、雌型にはMk.IV戦車のものと同じ小型のスポンソン（張り出し砲座）が装着された。
第1号車はMk.ＩＩ戦車が1917年1月にリンカンのWF（William Foster：ウィリアム・フォスター）社で、Mk.III戦車がソルトリーのMARCW社（Metropolitan Amalgamated Railway Carriage and Wagon：メトロポリタン合同客車・貨車製作所）でそれぞれ製作され、続いて各50両ずつが生産された。

Mk.ＩＩ戦車の生産はWF社とMARCW社の2社で行われ、Mk.III戦車の生産はMARCW社のみで行われた。
Mk.ＩＩおよびMk.III戦車はMk.Ｉ戦車と共に1917年4月のアラス戦、6月のメッシーヌ戦、7〜10月の第3次イープル会戦などに投入されたがMk.IV戦車の配備と共に第一線から退き、イギリス本国で訓練戦車として使用された他、一部の車両は無線戦車や補給戦車などの各種特殊車両に改修されている。

無線戦車は司令部との連絡に用いる車両で、菱形戦車の左右スポンソンから武装を取り外し、スポンソンの片側を無線機の収納スペース、もう片側を無線手の作業スペースとしていた。
操縦室のキューポラ前面にはポールが立てられ、車体後部にかけてアンテナ線が張られていた。
補給戦車は菱形戦車の左右スポンソンを取り外して開口部を板で塞ぎ、新たに貨物を収納するための軟鋼製のパニア（荷籠）を左右に取り付けた兵站車両であった。