CV90120軽戦車は、旧式化したIkv.91水陸両用軽戦車に代わるスウェーデン陸軍の新しい対装甲戦力の担い手として、ヘグルンド車両(現BAEシステムズ・ヘグルンド社)がCV9040歩兵戦闘車をベースに開発した軽戦車である。 車内レイアウトは原型のCV9040歩兵戦闘車と違いは無く、原型では兵員室となっていた車体後部が120mm砲弾の収容スペースとなっている。 砲塔は、CV9040歩兵戦闘車のものを大幅に改良して使用している。 主砲はスイス造兵廠(現ルアーク・ランドシステムズ社)製の50口径120mm低反動滑腔砲CTG(Compact Tank Gun:コンパクト戦車砲)を採用しており、戦後第3世代MBT並みの攻撃力を有している。 使用弾種は砲口初速1,680m/秒のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)、HEAT-MP(多目的対戦車榴弾)、HE(榴弾)で、120mm砲弾の搭載数は40発と意外に多い。 砲塔後部のバスル内に即用弾10発が収容され、車体後部に予備弾30発が収納される。 砲弾の装填は、半自動式の装填装置を用いて行われる。 FCS(射撃統制システム)は戦後第3世代MBT並みの高度なものを搭載しており、車長にはセルシウス社(現サーブ社)が開発した昼/夜間用の全周旋回式サイトが、砲手には同社製のUTAAS(Universal Tank and Anti-Aircraft System:対戦車/対空統合システム)がそれぞれ用意されている。 機動力については原型のCV9040歩兵戦闘車と同じく路上最大速度70km/hを発揮することが可能で、航続距離については路上で600kmと原型の2倍に向上している。 ただし装甲防御力については20mm機関砲の直撃や榴弾の破片に耐えられる程度で、戦車砲の直撃に耐えられるほどの防御力は有していない。 CV90120軽戦車はスウェーデン陸軍とスイス陸軍に採用され、現在運用が行われている。 またCV90120軽戦車の弱点である装甲防御力の弱さへの対処として、車体の前/側面にアーカス・クルッツブルク社製の反応装甲を装着したタイプも開発されている。 これはセンサーが自車に向かってくる対戦車ロケットや対戦車ミサイルを感知すると、車体から4〜5mの距離まで接近した時点で反応装甲が自動的に炸裂してこれらを撃墜するようになっており、あまり重量を増加させずに防御力を大幅に強化することが可能である。 このタイプのCV90120軽戦車はフィンランド、スイス、ノルウェイ、デンマーク、オランダが採用を決定したと伝えられている。 |
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<CV90120軽戦車> 全長: 8.95m 車体長: 6.60m 全幅: 3.10m 全高: 2.30m 全備重量: 27.7t 乗員: 4名 エンジン: スカニアDSI14 4ストロークV型8気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 最大出力: 606hp/2,200rpm 最大速度: 70km/h 航続距離: 600km 武装: 50口径120mm低反動滑腔砲CTG×1 (40発) 7.62mm機関銃Ksp.58×1 (3,000発) 装甲厚: |
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<参考文献> ・「パンツァー2004年8月号 輸出商品として注目されているCV90装甲車シリーズ」 林磐男 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2008年9月号 CV-90戦闘兵車シリーズ」 佐藤慎ノ亮/市川眞作 共著 アルゴノート社 ・「パンツァー1999年8月号 CV9040戦闘兵車のファミリー車輌」 小林直樹 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2007年6月号 現在注目されている低反動砲」 佐藤慎ノ亮 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2002年6月号 海外ニュース」 アルゴノート社 ・「パンツァー2006年10月号 海外ニュース」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2006年9月号 ユーロサトリ2006 (1)」 一戸崇雄/伊吹竜太郎 共著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2013年9月号 CV90歩兵戦闘車」 伊吹竜太郎 著 ガリレオ出版 ・「世界の戦闘車輌 2006〜2007」 ガリレオ出版 ・「10式戦車と次世代大型戦闘車」 ジャパン・ミリタリー・レビュー ・「世界の主力戦闘車」 ジェイソン・ターナー 著 三修社 |
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