カーデン・ロイドMk.Ｖ豆戦車

チャーツィーのカーデン・ロイド・トラクターズ社（CLT社）が開発した2番目の2名用豆戦車であるカーデン・ロイドMk.IV豆戦車が、イギリス陸軍による試験において高い評価を受けたため、1926年末にイギリス戦争省はCLT社に対して改良型の2名用豆戦車8両の生産を発注し、イギリス陸軍の実験機械化部隊の偵察車両として配備することを決定した。
これに応じてCLT社が8両製作した改良型2名用豆戦車は、「カーデン・ロイドMk.Ｖ」と呼ばれた。

カーデン・ロイドMk.Ｖ豆戦車は基本的にはカーデン・ロイドMk.IV豆戦車と同一の車両であったが、カーデン・ロイドMk.Ｉ*／Mk.III豆戦車と同様に装輪／装軌両用走行機構が追加されていた。
また後に、一部の車両の武装が7.7mmヴィッカーズ液冷機関銃に変更されて、偵察車両でなく歩兵戦闘車両として運用研究された。

カーデン・ロイドMk.Ｖ豆戦車はその後もイギリス陸軍で使用が続けられたが、改良型のカーデン・ロイドMk.VI機関銃運搬車が採用になると、Mk.VIに準じる仕様に変更されて装輪／装軌両用走行機構は撤去された。
この改修車は「カーデン・ロイドMk.Ｖ*」と名付けられ、一部がイタリアやスウェーデンに輸出されている。
また1930年には、8両の内の1両が大規模な改造を施されている。
この車両は、小火器弾に対する乗員の防御を改善する目的で改造されたものである。

改造により上部車体が完全に再設計され、前面と側面前部の装甲板の高さが増し、機関銃マウントも改良されて防盾が装着された。
この車両は「カーデン・ロイドMk.Ｖb」と呼ばれ、「インファイター」（Infighter：接近戦を得意とするボクサー）という愛称が与えられた。