●BTR-40装甲兵員輸送車 BTR-40(オブイェークト141)装甲兵員輸送車は、GAZ-63不整地用4輪駆動トラックをベースにゴーリキー自動車工場(GAZ)が1948年に開発したものである。 基本型は1950年にソ連軍に制式採用され、1960年まで量産された。 本車は、第2次世界大戦中にアメリカがソ連に大量に供与した装輪式装甲偵察車M3ホワイト・スカウトカーを参考にしたもので、基本的なコンセプトは全く同様なものである。 オープントップ式の車体には操縦手、車長の他8名の完全武装歩兵が搭乗でき、また兵員室前部および左右に設けられたピントル・マウントには7.62mm機関銃SGMTを装備できる。 兵員室の左右側面および後面には開閉式のガンポートが設けられており、搭乗歩兵がAK小銃などの携行火器を使って乗車戦闘できるように配慮されている。 BTR-40装甲兵員輸送車は、狙撃師団の自動車化にあたり真っ先に親衛師団に引き渡され、本車とほぼ同時に制式採用されたBTR-152装甲兵員輸送車と共に、乗車歩兵部隊の装備車両の核としての役割を1960年代頃まで担っていくことになった。 BTR-40装甲兵員輸送車の初の実戦投入は、1956年のハンガリー動乱であった。 その後以下のような各種派生型も開発され、1950年代のソ連軍装甲兵員輸送車を代表するものの1つとなったが、中途半端な大きさのために兵員輸送には使い難く、また偵察車両としてBRDM装甲偵察車が登場するとこの面での任務も失われ、正式装備からは外されていくことになった。 それでも1970年代いっぱいは正規軍の装備に見られた他、国境警備隊などでは今日も使用している。 BTR-40装甲兵員輸送車シリーズの総生産数は、各型合計で約8,500両である。 |
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●BTR-40ZhD鉄道偵察車 BTR-40ZhD鉄道偵察車は鉄道路線の警戒任務用に開発されたタイプで、折り畳み式の軌道用車輪を車体の前後に備えていた。 鉄道軌道上を走行する際には軌道用車輪を下ろしてレール上の安定を確保し、駆動はタイアで行うという単純だが実用性の高い仕組みで、目的地点までは安定したレール上を移動し、必要に応じて軌道から外れて通常の装輪式装甲車として活躍するというわけである。 BTR-40ZhD鉄道偵察車は当初は試作に留まっていたが、なぜか1990年代に入ってから一定数が内務省軍用に配備された。 その理由は不明であるが、ソ連崩壊に伴う治安の悪化への対処かも知れない。 |
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●BTR-40A(ZTPU-2)対空自走砲 BTR-40A対空自走砲は、BTR-40装甲兵員輸送車の兵員室前部に14.5mm重機関銃KPVTを連装装備する対空銃架を搭載したタイプで、1951年より生産された。 この対空銃架は全周旋回が可能で、14.5mm重機関銃の俯仰角は−3度20分〜+91度となっていた。 14.5mm重機関銃2門合わせての発射速度は、170発/分である。 本車は1960年代に入ってヴェトナム人民軍にも供与され、ホーチミン・ルートの移動対空砲として大いに活用された。 |
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●BTR-40V装甲兵員輸送車 BTR-40V装甲兵員輸送車は、BTR-40装甲兵員輸送車にタイア空気圧調整装置を装備したタイプで、1956年に試作された。 この装置はソ連軍の装甲兵員輸送車独特の装備で、BTR-152装甲兵員輸送車やBTR-60以降の8輪装甲兵員輸送車シリーズに採用されたが、本車は試作に留まった。 |
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●BTR-40B装甲兵員輸送車 BTR-40B装甲兵員輸送車は1957年から生産されたタイプで、核戦争に対応するためにオープントップ式の兵員室を止め、上面に開閉ハッチ付きの装甲フードを取り付けたものである。 前部ハッチをスライドさせて、ピントル・マウントの7.62mm機関銃SGMTを操作するようになっていた。 |
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<BTR-40装甲兵員輸送車> 全長: 5.00m 全幅: 1.90m 全高: 1.83m 全備重量: 5.3t 乗員: 2名 兵員: 8名 エンジン: GAZ-40 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 78hp/3,400rpm 最大速度: 79km/h 航続距離: 285km 武装: 7.62mm機関銃SGMT×1 (1,250発) 装甲厚: 4〜15mm |
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<BTR-40A対空自走砲> 全長: 5.00m 全幅: 1.90m 全高: 2.33m 全備重量: 5.6t 乗員: 4名 エンジン: GAZ-40 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 78hp/3,400rpm 最大速度: 75km/h 航続距離: 285km 武装: 14.5mm重機関銃KPVT×2 (1,200発) 装甲厚: 4〜15mm |
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<BTR-40B装甲兵員輸送車> 全長: 5.52m 全幅: 1.90m 全高: 2.20m 全備重量: 5.7t 乗員: 2名 兵員: 8名 エンジン: GAZ-40 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 78hp/3,400rpm 最大速度: 75km/h 航続距離: 285km 武装: 7.62mm機関銃SGMT×1 (1,250発) 装甲厚: 4〜15mm |
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<参考文献> ・「パンツァー2000年2月号 ソ連・ロシア装甲車史(7) 大戦後から50年代まで」 古是三春 著 アルゴノート社 ・「ロシア軍車輌写真集」 古是三春/真出好一 共著 アルゴノート社 ・「世界の軍用車輌(4) 装輪式装甲車輌:1904〜2000」 デルタ出版 ・「世界の戦車・装甲車」 竹内昭 著 学研 |
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