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9K57ウラガーン自走多連装ロケット・システム





9K57「ウラガーン」(Uragan:烈風)は、BMD-20やBM-21といった旧式化した多連装ロケット・システムを代替する目的で、1970年代に開発されたソ連軍初の本格的多連装ロケット・システムである。
ウラガーンの開発は1969年に開始されスプラブ設計局が主契約者となり、モトロビフカ製作所で車体と付属パーツが製作された。
1975年には開発が完了し、1977年から部隊配備が開始されている。

ウラガーンはアフガニスタンとチェチェンでの戦闘に使われた他、シリアにも輸出されイスラエルとの武力紛争で使用された模様である。
現在もロシア軍の戦車師団および自動車化狙撃師団の砲兵連隊に配備されているが、大量に装備されてはいない。

その一方国際市場への輸出商談が進められており、輸出価格は1両当たり65万ドルである。
ウラガーンの自走発射機は「9P140」と称され、高い機動性能を持つブリャンスク自動車工場(BAZ)製のBAZ-135L4 8×8トラックをベースに製作されている。
ロケット弾発射機はチューブ状で、このトラックの後部荷台に16連装で搭載されている。

発射機の左側には、照準機と操作用ハンドルが設置されている。
発射機の旋回範囲は射撃の反動でひっくり返らないために、車体の左右各30度ずつに限定されている。
本システムで用いられる9M27F 220mmロケット弾は全長5.187m、発射重量280kgと、9K58「スメルチ」の9M55 300mmロケット弾よりかなり小型だが、最大射程は35kmもある。

その種類は榴弾型(弾頭重量100kg)、子爆弾散布型(30発)、対戦車地雷散布型(24発)、対人地雷散布型(312発)と、目標によって変えられるバラエティーがある。
そして、20秒あれば16発全弾を発射できる。
ロケット弾の再装填は、同じBAZ-135L4 8×8トラックをベースとした次弾装填・輸送車両9T452を用いて行う。

9T452は水平にした発射機にロケット弾を機械力で装填できるようになっており、多連装ロケットの弱点である再装填時間の短縮に貢献している。
ウラガーンの各自走発射機には4名の要員が配置されており、発射位置進入後からロケット弾発射までに3分間を要する。
また、発射後のロケット弾再装填には15分間を要する。


<9K57ウラガーン自走多連装ロケット・システム>

全長:    10.80m
全幅:    2.80m
全高:    3.20m
全備重量: 20.0t
乗員:    4名
エンジン:  ZIL-375 4ストロークV型8気筒液冷ガソリン×2
最大出力: 360hp/3,200rpm
最大速度: 65km/h
航続距離: 570km
武装:    16連装220mmロケット弾発射機×1 (16発)
装甲厚:


<参考文献>

・「パンツァー2002年4月号 ソ連・ロシア ロケット/ミサイル車輌史(3)」 古是三春 著  アルゴノート社
・「パンツァー2016年6月号 ロシア南部軍管区のAFV」  アルゴノート社
・「ロシア軍車輌写真集」 古是三春/真出好一 共著  アルゴノート社
・「世界のAFV 2021〜2022」  アルゴノート社
・「ソビエト・ロシア戦闘車輌大系(下)」 古是三春 著  ガリレオ出版
・「世界の戦闘車輌 2006〜2007」  ガリレオ出版
・「世界の最強陸上兵器 BEST100」  成美堂出版
・「世界の最新陸上兵器 300」  成美堂出版
・「戦車名鑑 1946〜2002 現用編」  コーエー

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