ASV-150装甲車は、アメリカ陸軍が憲兵隊用に開発した警備用の4×4型装輪式装甲車である。 ちなみに「ASV」は”Armored Security Vehicle”の略で、「装甲警備車両」を意味する。 ASV-150装甲車の開発は、アメリカ最大の装輪式装甲車メーカーであったキャディラック・ゲージ社が同社製のLAV-150装甲車の能力拡張・近代化型として行ったが、生産は1994年に同社を吸収したテクストロン・マリーン&ランドシステムズ社が請け負い1999年から開始している。 現在までに、1,836両のASV-150装甲車がM1117「ガーディアン」(Guardian:監視者)の名称でアメリカ陸軍に採用されている。 またイラクに184両、コロンビアに39両、ブルガリアに7両のASV-150装甲車が輸出されている。 ASV-150装甲車の車体は避弾経始を考慮して算盤球のような独特な形状にデザインされており、車長と操縦手が座る車体前部の防弾フロント・ウィンドウには警備用のため視界の良い大型のものが組み込まれている。 車体中央部が乗員区画・砲塔部で、機関室は車体後部の左側に配置されている。 車体の左右側面には上下2分割式のドアが設けられており上側のドアは後ろ開き式、下側のドアは下開き式となっている。 上側のドアには車内から射撃するためのガンポートと視察用ブロックが装備されており、このドアを開いて乗員が身を乗り出して射撃することもできる。 車体上面中央に搭載されている1名用のUGWS砲塔には、40mm自動擲弾発射機Mk.19と12.7mm重機関銃M2が同軸に装備されている。 ASV-150装甲車の車体と砲塔は圧延防弾鋼板の全溶接構造で、7.62mm弾の直撃や榴弾の破片に対する防御力を備えているが、さらに防御力を強化するためにドイツのIBD社が開発した「MEXAS」(Modular Expandable Armor System:モジュール式拡張装甲システム)と呼ばれる追加装甲パッケージが装着される。 MEXASは車体全体に付加する高性能セラミック装甲プレートと車内に張る内張りから成り、前者が徹甲弾用、後者が榴弾の破片等の四散から乗員を守るためのものである。 その防弾効果は対戦車地雷の炸裂、14.5mm重機関銃弾の直撃、RPG携帯式対戦車ロケットの攻撃から乗員の生命を守れるレベルだという。 |
|||||
<ASV-150装甲車> 全長: 6.22m 全幅: 2.56m 全高: 2.59m 全備重量: 13.408t 乗員: 4名 エンジン: カミンズ6CTA8.3 4ストローク直列6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 最大出力: 260hp/2,500rpm 最大速度: 100km/h 航続距離: 708km 武装: 40mm自動擲弾発射機Mk.19×1 (210発) 12.7mm重機関銃M2×1 (1,050発) 装甲厚: |
|||||
<参考文献> ・「パンツァー2013年3月号 半世紀以上使われ続けるベストセラー コマンドー装甲車シリーズ」 柘植優介 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2010年6月号 アメリカ軍戦闘車輌の動向-2009 (2)」 和久尊 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2012年10月号 アメリカ陸軍AFVの現状と将来」 荒木雅也 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2006年1月号 アメリカ軍AFVの最近動向」 三鷹聡 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年9月号 訓練に励む新生アフガニスタン軍」 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年1月号 新アフガニスタン軍の配備車輌」 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年9月号 今月のトピックス」 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2021〜2022」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2013年7月号 アフガニスタン軍のAFV 2011〜12」 伊吹竜太郎 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2018年6月号 戦後の米軍装輪式戦闘車輌」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2014年3月号 アフガニスタン 2013」 ガリレオ出版 ・「世界の戦闘車輌 2006〜2007」 ガリレオ出版 ・「決定版 世界の最強兵器FILE」 おちあい熊一 著 学研 ・「新・世界の装輪装甲車カタログ」 三修社 ・「世界の軍用4WDカタログ」 三修社 |
|||||
関連商品 |