トルコを代表する車両メーカーであるオトカー・オトブス・カローセリ・サナイ社は、1990年代の前半に相次いで4×4型の装輪式装甲車を開発したが、それらの中で最も凡庸・無骨なスタイルを持つのがこのAPC(Armored Personnel Carrier:装甲兵員輸送車)装甲車である。 本車はトルコ治安部隊の要求で開発された車両で1991年に試作車が完成し、厳しいトライアルを経て採用が決定され1992年から生産が開始されている。 APC装甲車の車体には、同じくオトカー社が開発したアクレプ装甲車と同様にイギリス製の汎用高機動車両ランドローヴァー90/110のコンポーネントが多数流用されており、アクレプ装甲車とも多くのパーツが共通している。 車体もアクレプ装甲車と同様に圧延防弾鋼板の全溶接モノコック構造となっているが、アクレプ装甲車に比べると平凡なデザインで後部車体は普通のバン型をしており、一見するとランドローヴァーを装甲化したような感じである。 ただし操縦室の前面と左右側面のウィンドウには積層式防弾ガラスが、そして床には圧延GRPプレートが使われているなど防弾対策がかなりきめ細かく行われており、装甲防御力はアクレプ装甲車とほぼ同じレベルに達している。 車内には操縦手1名と車長を含め兵員7名までが乗り組み、兵員の乗降は車体後面の観音開き式のドアから行う。 車体後部の兵員室には左右側面に各3基ずつ、後面ドアに各1基ずつの計8カ所に視察用ブロックとガンポートが設けられている。 車高が高いため視察用ブロックとガンポートはサイズが大きく、車内からの視察・射撃が容易である。 また、後面ドアが観音開き式であるため民間車と同じくらい出入りがし易く、野戦救急車などの用途にも向いている。 武装は、車体上部に設けられた防盾付きの機関銃架に7.62mm機関銃が1挺装備されるのみだが、面白いのはオプションとしてバリケード排除機材やサイレン、拡声器、サーチライトなど治安任務用装備が用意されていることである。 APC装甲車は現在、トルコ治安部隊とトルコ軍部隊で使用されている。 |
<APC装甲車> 全長: 4.15m 全幅: 1.81m 全高: 2.26m 全備重量: 3.6t 乗員: 1名 兵員: 7名 エンジン: ローヴァー300Tdi 直列4気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 最大出力: 111hp/4,000rpm 最大速度: 125km/h 航続距離: 1,000km 武装: 7.62mm機関銃FN-MAG×1 (1,000発) 装甲厚: |
<参考文献> ・「新・世界の装輪装甲車カタログ」 三修社 ・「世界の装輪装甲車カタログ」 三修社 ・「世界の軍用4WDカタログ」 三修社 ・「世界の軍用4WD図鑑PART2」 スコラ |