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アクレプ装甲車





イスタンブールに本社を構えるオトカー・オトブス・カローセリ・サナイ社は、トルコを代表する軍用・商用軽車両の生産メーカーで、1987年以来イギリス製の汎用高機動車両ランドローヴァーを9,000両以上ライセンス生産している。
「アクレプ」(Akrep:サソリ)装甲車はそうした経験をベースに、トルコの治安部隊の要求に基づいて開発した4×4型の装輪式装甲車である。

アクレプ装甲車の試作車は1993年5月に完成し、1994年6月に生産型第1号車がロールアウトしている。
本車は同じくオトカー社が開発したAPC装甲車、コブラ装甲車と共に、1995年のトルコ国際兵器見本市(IDEF'95)において初めて一般公開された。
まだ完全な国産化は不可能なため、アクレプ装甲車の基本シャシーにはランドローヴァー90/110のコンポーネントが約70%流用されている。

複雑な傾斜平面で構成された装甲ボディは圧延防弾鋼板の一体モノコック構造で、コンピューター・シミュレーションによって最も有効な防弾力を発揮するデザインが施されている。
外形のデザインは、フランスのパナール社が開発したVBL装甲車に良く似ている。
乗員室の前面と左右側面のウィンドウには、積層タイプの防弾ガラスが入っている。

装甲ボディは全周に渡って7.62mm徹甲弾の直撃と榴弾の破片に耐えることができ、防弾ウィンドウも同じ耐弾能力を有している。
車体の内側には、破片飛散防止用のプラスチック・ライナーが張られている。

車内レイアウトは前方がエンジン、その後方が戦闘/乗員室という通常の乗用車型で、エンジンは高い信頼性のあるローヴァー300Tdi 直列4気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力111hp)を搭載しており、路上最大速度125km/hという高い機動性能を発揮する。
軍用型の内、APC(装甲兵員輸送車)型はルーフ上に防盾を備えた7.62mm機関銃架を有し、車内には操縦手の他、車長を含め7名までの完全武装の兵員が乗り組む。

車体後部には左右側面に各3カ所ずつ、後面右側に1カ所の計7カ所に視察用ブロックと簡易ガンポートが設けられており、搭乗兵員はここから周囲に向けて小銃射撃を行うことができる。
偵察型はキャビンのルーフ上に、イスラエルのラファエル社が開発した機関銃塔を搭載している。
これには単装型と連装型とがあり、前者の銃塔には7.62mm機関銃もしくは12.7mm重機関銃が1挺装備される。

この機関銃塔は車内から照準・射撃ができることが特徴で、左右に各180度ずつ旋回でき、夜間用の照準機も組み込める。
一方、連装型は銃塔に7.62mm汎用機関銃を2挺装備し、ヴァリエーション中最も強力な制圧能力を有する。
照準機には夜間・悪天候でも目的を識別できるFLIR(Forward Looking Infrared:前方監視赤外線装置)が装備でき、対歩兵・対ゲリラ戦闘能力を可能な限り追求した仕様となっている。

一方、治安・警備型はこうした武装を持たず、キャビンルーフ上の後部に全周監視機能を有する小型のターレットを搭載している。
これには催涙ガス弾発射機が内蔵されている他、上部にはビデオカメラとサーチライトも装備されており、車内から外部の様子を監視することができる。


<アクレプ装甲車 APC型>

全長:    4.19m
全幅:    1.915m
全高:    2.01m
全備重量: 3.6t
乗員:    1名
兵員:    7名
エンジン:  ローヴァー300Tdi 直列4気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 111hp/4,000rpm
最大速度: 125km/h
航続距離: 1,000km
武装:    7.62mm機関銃FN-MAG×1 (1,000発)
装甲厚:


<参考文献>

・「世界のAFV 2018〜2019」  アルゴノート社
・「新・世界の装輪装甲車カタログ」  三修社
・「世界の装輪装甲車カタログ」  三修社
・「世界の軍用4WDカタログ」  三修社
・「世界の軍用4WD図鑑PART2」  スコラ


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