IV号戦車G型
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+概要
IV号戦車G型はF2型に続く生産型であり、初めからデュッセルドルフのラインメタル社製の43口径7.5cm戦車砲KwK40を装備していた。
G型の生産はF2型の生産と並行して1942年5月から始まり、1943年6月までに1,687両が生産された。
生産数がこれまでより飛躍的に増えているが、これはIV号戦車がそれまでの支援戦車から主力戦車に地位が変わったことを物語っている。
IV号戦車G型は、F2型とはそれほど相違は無い。
というより元々IV号戦車F型に43口径7.5cm戦車砲を搭載したのがG型なので、F2型とG型は事実上同一といって良いのである。
しかしG型には、生産が進むに従って色々な改良が施されていく。
これはF2型と重なってしまうのだが生産過程で砲塔側面と前面右側の視察口が廃止され、砲口制退機が単作動式から二重作動式に変更された。
またその後、砲塔の左右側面前部に3連装の発煙弾発射機が各1基ずつ取り付けられるようになった。
また東部戦線で体験した恐ろしい冬の寒さへの対策として、車体後面に冷却水ヒーターが装備されるようになった。
これは他の車両と冷却水を交換できるようにした装置で、すでにエンジンを始動して冷却水が暖まった車両からまだエンジンを掛けていない車両に冷却水を移して、エンジン始動を容易にする装置である。
引き続いての改良としては車体および戦闘室前面装甲板に、30mm厚の増加装甲板がボルト止めないし溶接で取り付けられるようになった。
これは1942年3月に予定されていたマルタ島上陸作戦用に、前面装甲厚が80mmのIV号戦車12両が必要とハインツ・グデーリアン機甲兵総監が報告したのが始まりとされる。
これに対してアドルフ・ヒトラー総統は1942年5月24日に、生産を阻害しない限り長砲身砲を装備したIV号戦車に追加装甲を施すことを決めた。
そして同年6月24日に一部のIV号戦車についてのみ、増加装甲板を取り付けて生産することとされた。
このためそれ以後に生産されたIV号戦車の半数に、増加装甲板を取り付けることが命じられた。
正確な数は分からないが、800両以上のIV号戦車G型が増加装甲板を装着していたと推測される。
また1943年1月からは防御力向上のため、操縦手用視察口を閉じた時に外部を視察するために設けられていたペリスコープが廃止されて双眼の開口部が無くなった。
そして同年3月からは車長用キューポラが、装甲厚を100mmに強化した新型に変更されている。
この新型キューポラでは、ハッチも従来の両開き式から1枚の片開き式に変わった。
同じく車体と砲塔の防御力強化のために、「シュルツェン」(Schürzen:エプロン)と呼ばれる薄板が取り付けられるようになった。
この薄板は元々は対戦車銃への対策であったが、後にバズーカなどの成形炸薬弾にも有効なことが分かる。
なおシュルツェンの厚さは車体用が5mmで、砲塔用が8mmであった。
車体用シュルツェンは車体の左右側面に取り付けられたラックに引っ掛けるようになっており、取り外しが可能であったが砲塔用シュルツェンは固定式で、側面ハッチの部分だけ開閉できるようになっていた。
当初、この砲塔用シュルツェンの後部下端にはアンテナ絶縁用木片が取り付けられていたが、その後アンテナ自体が車体後部左側に取り付けられるようになったため廃止されている。
1943年3月末からは主砲がさらに強化されて、ラインメタル社製の48口径7.5cm戦車砲KwK40が装備されるようになった。
たった5口径分の増加であるが、それで5~10%程度威力が増しているので馬鹿にはできない。
なお砲弾そのものは同一なので砲弾ラック等に変更は無く、弾薬搭載数には変化は無い。
また主砲の換装に伴って、特殊車両番号も「Sd.Kfz.161/2」に変更されている。
その他のIV号戦車G型の特徴としては車体左側面に予備転輪が取り付けられるようになり、それで追い出されたクリーニングロッドは機関室側面に4本まとめて取り付けられるようになった。
また、主砲の砲身下部に取り付けられていたアンテナ除けも廃止されている。
なおこれはIV号戦車G型とは直接関係無いが、G型生産中の1942年8月にヒトラーから指令が出され、前線から修理のため戻されたIV号戦車は最新の水準まで性能アップの改装が施されることになった。
このため数量不詳の旧式IV号戦車シリーズが砲塔を改装して長砲身砲を装備し、車体各部に増加装甲板を取り付け、シュルツェンまで装備されて前線復帰している。
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<IV号戦車G型>
全長: 6.62m
車体長: 5.92m
全幅: 2.88m
全高: 2.68m
全備重量: 23.5t
乗員: 5名
エンジン: マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 210km
武装: 43口径7.5cm戦車砲KwK40×1 (87発)
7.92mm機関銃MG34×2 (3,150発)
装甲厚: 10~50mm
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兵器諸元
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<参考文献>
・「パンツァー2006年12月号 ドイツ陸軍のワークホース IV号戦車の構造とバリエーション(2)」 久米幸雄 著
アルゴノート社
・「パンツァー2014年3月号 誌上対決 四式中戦車 vs IV号G型」 竹内修 著 アルゴノート社
・「パンツァー2004年8月号 T-34-76 vs IV号G型戦車」 小野山康弘 著 アルゴノート社
・「グランドパワー1999年6月号 IV号戦車の構造特徴と装備」 佐藤光一 著 デルタ出版
・「グランドパワー1999年6月号 IV号戦車
6年間の戦歴(2)」 後藤仁 著 デルタ出版
・「グランドパワー1999年5月号 IV号戦車の開発と各型」 佐藤光一 著 デルタ出版
・「グランドパワー2012年8月号 ドイツ戦車の装甲と武装」 国本康文 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2015年10月号 ドイツIV号戦車(3) G型」 寺田光男 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2003年3月号 IV号戦車G型(1)」 箙浩一 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2003年4月号 IV号戦車G型(2)」 箙浩一 著 ガリレオ出版
・「世界の戦車(1)
第1次~第2次世界大戦編」 ガリレオ出版
・「戦車ものしり大百科 ドイツ戦車発達史」 斎木伸生 著 光人社
・「徹底解剖!世界の最強戦闘車両」 洋泉社
・「戦車名鑑
1939~45」 コーエー
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