IV号戦車C型
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+概要
IV号戦車C型はB型の小改良型で、1938年9月~1939年8月にかけて134両が生産された。
数が中途半端なのは、6両が架橋戦車に転用されたからである。
改良点は細かい点ばかりで、ざっと見るとエンジンのマウントの改良、砲塔旋回部の改良、主砲防盾基部形状の変更、砲塔前面装甲板の30mmへの増厚、同軸機関銃銃身への装甲スリーブの装着等である。
C型のエンジンは生産40両目までは、B型と同じフリードリヒスハーフェンのマイバッハ発動機製作所製のHL120TR V型12気筒液冷ガソリン・エンジン(出力300hp)であったが、その後点火装置が改良されたHL120TRMガソリン・エンジンに変更されている。
なお1940年終わりに装甲防御力強化のため、C型の一部の車両で車体および上部構造物側面に増加装甲板がボルト止めされている。
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+部隊配備
IV号戦車の機甲師団への配属は、A型の生産開始後すぐに始められた。
1938年1月には3両が配属され、同年4月には30両に増えていた。
当時の編制では、IV号戦車は一般の軽戦車中隊と編制が異なるa型軽戦車中隊の第4小隊に3両が配属されるだけで、1個戦車連隊で6両、1個機甲師団では12両が配備されていただけであった。
1939年9月のポーランド侵攻作戦(Unternehmen Weiß:白作戦)時点で登録されていたIV号戦車は204両で、主力戦車であるはずのIII号戦車より遥かに多数が配属されていた。
この内実戦に参加した数は197両で、もちろんこれはIII号戦車より多いといってもI号、II号戦車とは比べものにならない少数であった。
この時のIV号戦車は戦車大隊の中戦車中隊に14両配備されることになっていたが、一部では古い編制のa型軽戦車中隊のままの部隊もあった。
当時のIV号戦車はA~C型で主砲は短砲身の24口径7.5cm戦車砲であったが、これは当時としては充分に大威力であった。
最大装甲厚はA型を除けば30mmとIII号戦車E、F型と同じで、戦闘損失が19両というのはIII号戦車より遥かに良い数字であった。
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<IV号戦車C型>
全長: 5.92m
全幅: 2.83m
全高: 2.68m
全備重量: 18.8t
乗員: 5名
エンジン: マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 140km
武装: 24口径7.5cm戦車砲KwK37×1 (80発)
7.92mm機関銃MG34×1 (2,400発)
装甲厚: 10~30mm
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兵器諸元
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<参考文献>
・「パンツァー2006年11月号 ドイツ陸軍のワークホース IV号戦車の構造とバリエーション(1)」 久米幸雄 著
アルゴノート社
・「パンツァー2016年11月号 IV号短砲身戦車の運用コンセプト」 加賀屋太郎 著 アルゴノート社
・「グランドパワー1999年6月号 IV号戦車の構造特徴と装備」 佐藤光一 著 デルタ出版
・「グランドパワー1999年5月号 IV号戦車 6年間の戦歴(1)」 後藤仁 著 デルタ出版
・「グランドパワー1999年5月号 IV号戦車の開発と各型」 佐藤光一 著 デルタ出版
・「グランドパワー2015年6月号 ドイツIV号戦車(1) A~D型」 寺田光男 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2003年5月号 IV号戦車A~D型」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「世界の戦車(1) 第1次~第2次世界大戦編」 ガリレオ出版
・「戦車ものしり大百科 ドイツ戦車発達史」 斎木伸生 著 光人社
・「徹底解剖!世界の最強戦闘車両」 洋泉社
・「戦車名鑑 1939~45」 コーエー
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