III号戦車C型（3a/ZW）はB型の小改良型であり、1937年終わりから1938年1月までに15両が生産された。
B型からの主な変更点としては、走行装置に関する改良が挙げられる。
B型のサスペンションは片側8個の小直径転輪を2個ずつボギーで連結し、2組をリーフ・スプリングの左右に取り付けてサスペンションユニットを構成し、そのユニットを車体の左右側面に各2個ずつ取り付けるというもので、A型のコイル・スプリングによる独立懸架式サスペンションに比べると実用性が高くコストも低く抑えることができた。

しかしB型のサスペンションはまだ能力的に不充分で、不整地を高速走行した場合には車体のピッチングが激しくなってしまった。
このためB型の生産は15両で打ち切られ、サスペンションに改良を加えたC型が開発されたのである。
III号戦車C型のサスペンションは片側8個の小直径転輪を2個ずつボギーで連結し、リーフ・スプリングで支えるという基本構造はB型と変わらなかったが、リーフ・スプリングと転輪の配置と取り付け方法が変更されていた。

C型では転輪が2個ずつ取り付けられたボギーの内、真ん中の2組はB型と同じ大きめのリーフ・スプリングの左右に取り付けられたが、前後の1組は個別に小さめのリーフ・スプリングとプッシュロッド式ショック・アブソーバーで支えられるようになった。
また、起動輪と誘導輪のデザインもB型から変更されている。
しかしこの改良は思ったほどの効果は無く、C型の路上最大速度はB型と同じ35km/hに留まっている。

このためIII号戦車C型の生産もB型同様15両で打ち切られ、さらに走行装置を改修したD型の生産に移行することになった。
車体や砲塔などに関してはC型はB型と基本的にほとんど同じであり、戦闘重量も15.9tと変わらなかったが、車体後部の機関室のルーヴァーや排気管関係の細かい艤装が変更されていた。
なお、III号戦車C型の車体製造番号は60301〜60315となっていた。