III号突撃砲E型
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+概要
III号突撃砲E型は、エッセンのクルップ社製の24口径7.5cm突撃加農砲StuK37を装備した最後の生産型であり、1941年9月から生産が開始された。
次の生産型であるF型からは対装甲威力を重視して、デュッセルドルフのラインメタル・ボルジヒ社製の長砲身7.5cm突撃加農砲StuK40が装備されるようになり、III号突撃砲は当初の開発目的である歩兵支援用車両から、対戦車車両へと性質を変貌させることとなる。
III号突撃砲E型は小隊指揮官車または、中隊指揮官車として運用することが考慮されており、そのためA〜D型では左側面のみにあった装甲バルジが、無線装置を増強するために右側面にも設置された。
これに併せて、戦闘室側面の増加装甲は廃止された。
この内部スペースの拡張により、さらに6発の7.5cm砲弾が携行可能となり、搭載量は合計50発となった。
この他に車内搭載用の副武装として、オベルンドルフ・アム・ネッカーのマウザー製作所製の7.92mm機関銃MG34のホルダーが右後方戦闘室のコーナーに、MG34用弾倉マガジン7個分のホルダーが砲弾収納箱(12発用)後方に設置された。
また、エアフルトのエルマ製作所製の9mm機関短銃MP40も1挺搭載されていた。
光学機材としては突撃砲用展望式望遠照準眼鏡32型の他、自走砲用望遠照準眼鏡1型1基と砲隊鏡(SF14Z)を有しており、無線装置については出力10Wの送信機(10WSh)1基と、スピーカー付きの極短波受信機(UKW-Empf.h)2基を装備していた。
III号突撃砲E型の生産期間中における変更点は、次の通りである。
・1941年12月4日付一般軍務報告書No.101
突撃砲の予備履帯について:
III号突撃砲A〜E型について、戦闘室前面に予備履帯(ボルト付き履板11枚)積載用の支持架を溶接することと
する。
・1941年12月20日付一般軍務報告書
III号突撃砲A〜E型について、地面から還流する排気の影響を緩和するための偏流板を後部に取り付け、フェン
ダーには予備転輪2個を搭載することとする。
・1942年2月21日付一般軍務報告書No.23
突撃砲のトーションバーについて:
III号突撃砲においては前部トーションバー(直径55mm)と、後部トーションバー(直径52mm)を各々3基ずつ装備
している。
このトーションバーを装備する場合の留意点は、転輪中心から車体底面までの距離を145mmに保つことであ
る。
まだ在庫がある一部の旧型式のトーションバーを使った配列、すなわち直径55mm(最前部)、52mm、44mm、
44mm、52mm、55mm(最後部)という配列の場合、トーションバーの調整は次のように調整する。
第1、第2、第5および第6トーションバーは転輪中心から車体底面までの距離を145mmとし、第3および第4トー
ションバーは193mmとする。
将来的にはスペアパーツ取り扱いの簡易化のため、直径55mmと52mmのトーションバーのみが納入される予定
であり、全てのIII号突撃砲は新式のトーションバー配列に切り替えることとなる。
・1942年4月7日付一般軍務報告書No.38
突撃砲用暖房装置の追加装備
その他のE型の変更点としては、車体上面前部にある点検用ハッチのヒンジが小型化されている。
III号突撃砲E型は当初500両が生産される予定であったが、1942年3月までに284両が生産されただけで生産打ち切りとなった。
E型が生産打ち切りとなったのは、東部戦線での激烈な戦闘の結果であった。
III号突撃砲は歩兵支援用の車両であるが、その任務の一端としてある程度の対戦車能力も有していた。
しかし、東部戦線に出現したT-34中戦車やKV-1重戦車といった強力なソ連軍戦車は、これをほとんど不可能にしたのである。
これらに対抗するため、III号突撃砲は長砲身の7.5cm砲を装備するF型に生産を移行することになった。
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<III号突撃砲E型>
全長: 5.40m
全幅: 2.95m
全高: 1.96m
全備重量: 22.0t
乗員: 4名
エンジン: マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 165km
武装: 24口径7.5cm突撃加農砲StuK37×1 (50発)
7.92mm機関銃MG34×1 (600発)
9mm機関短銃MP40×1
装甲厚: 11〜50mm
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兵器諸元
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<参考文献>
・「パンツァー2002年8月号 AFV比較論 III号突撃砲/ルノーR35戦車」 白石光 著 アルゴノート社
・「パンツァー2013年4月号 特集 III号突撃砲」 久米幸雄/佐藤肇 共著 アルゴノート社
・「パンツァー2006年7月号 ドイツIII号突撃砲の発展」 久米幸雄 著 アルゴノート社
・「グランドパワー2014年3月号 III号突撃砲 短砲身型」 寺田光男 著 ガリレオ出版
・「グランドパワー2006年1月号 III号突撃砲(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版
・「世界の軍用車輌(1) 装軌式自走砲:1917〜1945」 デルタ出版
・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画
・「突撃砲」 W.J.シュピールベルガー 著 大日本絵画
・「異形戦車ものしり大百科 ビジュアル戦車発達史」 斎木伸生 著 光人社
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