ＩＩ号戦車M型は、ＩＩ号戦車H型（VK.9.03）のシャシーにＩＩ号戦車L型ルクス（VK.13.03）の上部車体と砲塔を組み合わせたハイブリッド型車両である。
これは装甲偵察車両として使用するために、ドイツ陸軍兵器局第6兵器試験部の要求でニュルンベルクのMAN社（Maschinenfabrik Augsburg-Nürnberg：アウクスブルク・ニュルンベルク機械製作所）が設計したものであった。

1941年12月13日の段階で、第6兵器試験部はこの車両を「ＩＩ号戦車M型（VK.9.03）」と呼んでいたが、第6兵器試験部は1942年3月2日付の書類で「新型ＩＩ号戦車（VK.9.03）VK.13.03上部構造搭載型」とし、1942年3月5日付の書類では「ＩＩ号装甲偵察車（MAN型）」と記していた。
この車両は専用の砲手が搭乗するため、乗員が合計4名に増加した。
また砲塔上面には、車長と砲手のそれぞれに旋回式ペリスコープが装備されていた。

ＩＩ号戦車M型の唯一の派生型として、装甲砲兵大隊用のVK.9.03装甲観測車が存在した。
これは兵器局第4検査部の指示で、第6兵器試験部により開発が進められたものであった。
そしてこれについては、「1941年9月1日までにドーム1303Bを備えたVK.9.03試作車両が1両完成した」と報告されている。

この車両には測遠機、オルターコンパス、観測装置、無線機セットが装備されていたという情報があるが、写真が無いので実態は不明である。
VK.9.03装甲観測車は30両の生産契約が締結され（おそらくMAN社と）、1943年に生産が開始される予定であった。