ヴィッカーズ・アームストロング社がブレンガン・キャリアをベースに開発したユニヴァーサル・キャリアは、手頃な小型汎用装軌式装甲車として大きな成功を収めたが、元々が2名乗りのガン・キャリアをベースにしているだけに貨物や兵員の積載スペースが狭く、またエンジンもアンダーパワーなのが難点であった。 こうした戦場での使用実績を踏まえ、ユニヴァーサル・キャリア生産の主力を担っていたカナダのフォード・モーター・カナダ社は、1943年に改良型キャリアの開発と製作を企図した。 この改良型キャリアは、あくまでユニヴァーサル・キャリアの基本構造をベースとしつつ、車体を幅・長さ共に拡大して、転輪も片側3個(2個1組+単輪1個)から片側4個(2個2組)に増やし、走行安定性と貨物積載スペースを増加させていた。 また、搭載エンジンの出力も95hpに引き上げられていた。 以上の改修の結果、貨物等の積載量が増加した上に機動性能も改善され、「ウィンザー・キャリア」の名称でイギリス陸軍に制式採用されて生産が開始される運びとなった。 しかし、ウィンザー・キャリアの引き渡しが始まった1944年にはアメリカ製のハーフトラック等がイギリス連邦軍でも大量に普及しており、本車の出る幕が失われつつあったため総生産台数は5,000両に留まった。 戦場では主に、6ポンド(57mm)対戦車砲の牽引に用いられた。 |
<ウィンザー・キャリアMk.I> 全長: 4.37m 全幅: 2.16m 全高: 1.64m 全備重量: 4.2t 乗員: 2名 エンジン: フォード V型8気筒液冷ガソリン 最大出力: 95hp/3,500rpm 最大速度: 56km/h 航続距離: 200km 武装: 7.7mmブレン軽機関銃×1 装甲厚: 5〜10mm |
<参考文献> ・「パンツァー2008年11月号 イギリス陸軍 キャリアー装甲車シリーズ」 前河原雄太 著 アルゴノート社 ・「世界の軍用車輌(3) 装軌/半装軌式戦闘車輌:1918〜2000」 デルタ出版 ・「第2次大戦 イギリス・アメリカ軍戦車」 デルタ出版 ・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版 |