HOME研究室(第2次世界大戦後〜現代編)戦車戦車(国際共同)>VFM5軽戦車

VFM5軽戦車





VFM5軽戦車は、イギリスのヴィッカーズ・ディフェンスシステムズ社とアメリカのFMC社が共同して開発にあたった戦後型軽戦車で、その原型となったのは、アメリカ陸軍のM551空挺軽戦車に代わる新世代軽戦車「AGS」(Armored Gun System:装甲砲システム)計画である。
このAGS計画に基づいて、FMC社はCCV-L(Close Combat Vehicle Light:軽支援装甲車両)と呼ばれる試作車を提案したが、結局これは実ること無く終わった。

しかしこのCCV-Lに目を付けたのが、FV101スコーピオン偵察軽戦車の後継車両を検討していたイギリス陸軍で、コストの問題があった自動装填装置を備えるCCV-Lの砲塔に代えて、独自にヴィッカーズ社に対して砲塔の開発を求め、新型砲塔を装備した試作車は1985年に完成した。
ちなみに名称の「VFM5」は、”Vickers-FMC Mk.5”を略したものである。

本車の開発にあたって要求された仕様は、APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)を用いることで敵のMBT(主力戦車)を撃破でき、C-130輸送機での空輸が可能で前線での整備が簡単に行え、高い残存性を備えるというもので戦後型軽戦車の標準ともいえる要求であった。
VFM5軽戦車の車内レイアウトは車体前部が操縦室、車体中央部が全周旋回式砲塔を搭載した戦闘室、車体後部が機関室という極めて常識的なものである。

重量軽減のため車体と砲塔の基本構造は防弾アルミ板の溶接製であるが、防御力の向上を図って車体の前面と側面、砲塔全周には高張力鋼板を用いた増加装甲が装着されている。
さらに必要に応じて各部にERA(爆発反応装甲)の装着も可能と思われ、軽戦車といいながらもその耐弾性は高いものを備えている。
砲塔内には右側前部に砲手、その後ろに車長、左側に装填手が位置する。

主砲は105mmライフル砲が装備されるが、ヴィッカーズ社製のLRFやアメリカのM35、ドイツのラインメタル社製のものなど低反動砲が用いられる。
主砲弾薬の搭載数は、41発となっている。
またレーザー測遠機や弾道コンピューター、昼/夜間サイト、2軸砲安定化装置など、軽戦車といっても比較的高度なFCS(射撃統制システム)を備えているのが特徴である。

パワーパックは、アメリカのデトロイト・ディーゼル社製の6V-92TA V型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力552hp)と、ジェネラル・エレクトリック社製のHMPT-500-3自動変速機(前進3段/後進1段)を組み合わせたものが用いられ、車体後面に備えられた大型のランプを開いてパワーパックを後方に引き出すことができ、整備や交換の作業を簡単に行うことができる。
VFM5軽戦車の開発はすでに終了しているが、予算の問題等でまだ制式化には至っていない。


<VFM5軽戦車>

全長:    8.60m
車体長:   6.20m
全幅:    2.69m
全高:    2.62m
全備重量: 19.7t
乗員:    4名
エンジン:  デトロイト・ディーゼル6V-92TA 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 552hp/2,400rpm
最大速度: 70km/h
航続距離: 483km
武装:    51口径105mm低反動ライフル砲LRF×1 (41発)
        7.62mm機関銃L8A2×1 (4,000発)
        7.62mm機関銃L37A2×1
装甲厚:


<参考文献>

・「世界の戦車(2) 第2次世界大戦後〜現代編」  デルタ出版
・「戦車名鑑 1946〜2002 現用編」  コーエー


HOME研究室(第2次世界大戦後〜現代編)戦車戦車(国際共同)>VFM5軽戦車