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T6 155mm自走榴弾砲





●開発

T6 155mm自走榴弾砲は、南アフリカを代表する兵器メーカー・デネル社の1部門であるLIW社が、南アフリカ陸軍向けに開発したG6「ライノ」(Rhino:サイ)155mm自走榴弾砲の発展型として、主に輸出を狙ってプライヴェート・ヴェンチャーで開発した155mm自走榴弾砲の砲塔システムである。
T6砲塔システムは、フランスのGCT 155mm自走榴弾砲と同じく砲塔部だけで自走榴弾砲のシステムが完結しているため、様々な戦車の車体に簡単に搭載することができるのが売りとなっている。

T6砲塔システムはすでに、イギリス製のセンチュリオン戦車や旧ソ連製のT-72M1戦車の車体に搭載した試作車が完成している。
T-72M1戦車の車体にT6砲塔を搭載した試作車は、1995年にインド陸軍の次期自走砲選定試験に参加し、続いてT6砲塔を、当時開発が進められていたインド陸軍の次期MBT「アージュン」(Arjun:古代インドの叙事詩マハーバーラタの登場人物Arjunaに因んだ名前)の車体に搭載した試作車が製作された。

この車両は当初「キング・フィッシャー」(Kingfisher:カワセミ)と呼ばれており、1998年までインド陸軍の評価試験に供された。
そして検討の結果、インド陸軍はキング・フィッシャーを次期自走砲「ビーム」(Bhim:マハーバーラタの登場人物Bhimaに因んだ名前)として制式採用することを決定した。

しかしその後、デネル社の兵器売買を巡る贈収賄スキャンダルが発覚し、インド政府がデネル社との兵器売買契約を破棄したため、一旦決まったビーム自走榴弾砲の採用も取り消されることになった。
今のところ、T6砲塔システムはまだ輸出には成功していない模様である。


●構造

T6砲塔システムの重量は18.5tで砲塔前面は14.5mm重機関銃弾、それ以外の部分は7.62mm機関銃弾の直撃に耐えられる。
前作であるG6自走榴弾砲の砲塔が左右各40度ずつの限定旋回式だったのに対し、T6砲塔は360度の全周旋回が可能となっている。

主砲はG6自走榴弾砲が45口径155mm榴弾砲を搭載していたのに対し、T6砲塔システムではより射程の長い改良型の52口径155mm榴弾砲を搭載している。
この砲は砲身寿命が非常に長く、最大装薬を使用して3,500発以上射撃可能といわれている。
砲塔の旋回と主砲の俯仰は電動モーターを用いた動力式で、主砲の俯仰角は−5〜+75度となっている。

また砲塔内には自動装填装置が備えられており、最大発射速度は6発/分、維持発射速度は2発/分とされている。
最大射程はベース・ブリード弾で41km、ロケット補助推進弾(VLAP)では52kmに達する。
また砲塔内にはAPU(Auxiliary Power Unit:補助動力装置)が搭載されており、車体からの動力が遮断された状態でも砲塔の旋回と主砲の俯仰を行うことが可能である。

砲塔内には、155mm砲弾40発と装薬40個を収納する弾薬庫が設けられている。
乗員構成は2パターン用意されており、3名タイプと5名タイプがある。
3名タイプはより自動化されており、車長、砲手、操縦手の3名の乗員で運用する。
一方5名タイプの場合は、2名の装填手が追加される。

弾薬の補給については砲塔後部から装填コンベアを引き出して行うようになっており、弾薬車からであれば6分で、地上置きの場合でも10分で弾薬の補給ができる。
またT6砲塔システムは砂漠地帯で主砲の連続射撃を行った際に、尾栓に付着した埃等が焼き付いて尾栓が作動しなくなるのを防ぐため、洗浄水をスプレー状にして高圧で吹き付ける尾栓洗浄システムを装備している。
これはデネル社が独自に開発したシステムであり、砂漠地帯で連続射撃を行うのに必須の機能である。


<参考文献>

・「パンツァー2004年1月号 改良型G-6 もう1つの巨大な飛躍(2)」 ルパート・ペンギャレ 著  アルゴノート社
・「パンツァー2002年8月号 南アフリカのG6改良計画(2)」 三鷹聡 著  アルゴノート社
・「パンツァー2001年3月号 南アフリカの155mm榴弾砲システム」  アルゴノート社
・「世界AFV年鑑 2002〜2003」  アルゴノート社
・「世界の最新兵器カタログ 陸軍編」  三修社


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