●Sd.Kfz.251/21対空自走砲 Sd.Kfz.251/21は1944年8月から生産された対空自走砲で、ドイツ海軍が艦船搭載用として開発した131口径1.5cm対空機関砲MG151/15(Fla.SL.151D)を3連装でSd.Kfz.251装甲兵員輸送車に搭載したものである。 本車のベースとなったのは主にSd.Kfz.251装甲兵員輸送車D型であるが、極初期にはC型をベースとしたものも存在した。 後期生産型では、空軍から支給された85.5口径2cm対空機関砲MG151/20を搭載していた。 ダブルアーム型の揺架にはMG151対空機関砲が並列に3門装備され、床板にボルトで固定された円錐型の回転台座付き砲架に載せられていた。 3門のMG151対空機関砲の内、左右のものはフラッシュハイダーが斜めにカットされていた。 3連装の機関砲は前面と左右側面を囲む防盾が取り付けられ、中央やや左側に照準機が装備されていた。 後方中央下部には揺架から延ばされた砲手用の小さな座席があり、照準移動は揺架から横に延びたバーを握って人力で直接動かした。 そのバーの先端に、発砲用のトリガーがあった。 台座の左右側面と砲手の反対側の中央には弾薬箱があり、そこから各機関砲にベルト給弾された。 弾薬箱には左右に各250発ずつ、中央に400発の弾薬が収納されており、弾薬には榴弾、徹甲弾、曳光弾の3種類が混合使用されていた。 車内携行弾数は、2,000〜3,000発といわれている。 戦闘室上部には機関砲の周囲を囲む形で背の低い装甲板が架設されたが、作業性を重視して後面装甲板を取り付けていない車両も多く、中には装甲板を全く取り付けていない車両もあった。 MG151対空機関砲の発射速度は1門当たり700発/分で、3門合わせると2,100発/分という高い発射速度を有し、一見すると対地上戦にも大きな威力を発揮しそうに見えるが、実際には周囲を囲む装甲板が射界を遮るため装甲板上端までしか俯角をかけることができず、このため身を低くして肉薄してくる歩兵には全く役に立たず非装甲車両に対しても有効な攻撃はできなかった。 Sd.Kfz.251/21はドイツ空軍が弱体化した1944年以降、機甲部隊の運用に欠かせない存在となった対空自走砲に簡単な改修で変身可能というメリットを持つ車両であったが、反面機関砲の照準移動が人力式であるため、高速でフライパスするヤーボ(戦闘爆撃機)の速度に付いていくのは非常に難しく、その強そうな外観とは裏腹に実戦では期待以上の活躍を見せることは無かったようである。 |
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<Sd.Kfz.251/21対空自走砲 極初期型> 全長: 5.80m 全幅: 2.10m 全高: 全備重量: 乗員: 4〜6名 エンジン: マイバッハHL42TUKRM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 53km/h 航続距離: 300km 武装: 131口径1.5cm対空機関砲MG151/15×3 (2,000〜3,000発) 装甲厚: 6〜14.5mm |
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<Sd.Kfz.251/21対空自走砲 初期型> 全長: 5.98m 全幅: 2.10m 全高: 全備重量: 乗員: 4〜6名 エンジン: マイバッハHL42TUKRM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 53km/h 航続距離: 300km 武装: 131口径1.5cm対空機関砲MG151/15×3 (2,000〜3,000発) 装甲厚: 6〜14.5mm |
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<Sd.Kfz.251/21対空自走砲 後期型> 全長: 5.98m 全幅: 2.10m 全高: 全備重量: 乗員: 4〜6名 エンジン: マイバッハHL42TUKRM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 53km/h 航続距離: 300km 武装: 85.5口径2cm対空機関砲MG151/20×3 (2,000〜3,000発) 装甲厚: 6〜14.5mm |
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<参考文献> ・「パンツァー2001年11月号 AFV比較論 Sdkfz.251/M3ハーフトラック」 斎木伸生 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2004年5月号 ドイツ軍のハーフトラック対空車輌」 稲田美秋 著 アルゴノート社 ・「ピクトリアル ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2012年7月号 ドイツ装甲兵員輸送車写真集(2)」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2007年9月号 ドイツ装甲兵員輸送車(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「SdKfz251」 山本敬一 著 デルタ出版 ・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画 ・「図解・ドイツ装甲師団」 高貫布士 著 並木書房 |
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