●Sd.Kfz.251/20ウーフー装甲投光車 Sd.Kfz.251/20「ウーフー」(Uhu:ワシミミズク)はSd.Kfz.251/1「ファルケ」(Falke:鷹)と同様、フランクフルトのAEG社が開発した暗視装置を搭載した支援車両で定員は4名であった。 この車両にも、操縦手のヴィジョン・ヴァイザーの前に赤外線暗視操縦装置1252型が装備されていた。 ただしこれ以外にウーフーの場合は口径60cmの赤外線ライトと、より大型の赤外線スコープを組み合わせた赤外線暗視観測装置1251型が搭載されていた。 これらは頑丈な左右2本のフレームの間にセットされて、戦闘室後部の円形台座に載せられていた。 フレーム下部にはバッテリーと操作ハンドル、そして操作観測員のためのシートが取り付けられており、操作ハンドルは2つで右側が俯仰用、左側が旋回用であった。 1251型機材は車体上部からかなり飛び出しており全周旋回が可能であったが、前方機関銃架は観測の邪魔だったので取り付けられていない。 またそのままだと移動時に不安定なため、1251型機材のフレームは途中から2つに折り畳むことができた。 その際1251型機材はまず真後ろに向けさせ、戦闘室上部前方にあった受けフレームに赤外線ライト後ろのアームが載るように前方に折り畳まれた。 従って、1251型機材は完全に車内に収納されるわけではない。 この折り畳みと引き起こしの作業のため、ウーフーには戦闘室側面上部(車両によっては前方にも)に足場が装備されていた。 また車内前方部の様子は不明だが少なくとも円形台座の横にベンチシートは無く、扉が3つある収納庫が装備されていた。 ウーフーの赤外線ライトによる視認距離は1,500mあり、400mの視認距離しかない暗視装置付きパンター中戦車の射撃位置誘導を行うのが任務であった。 通常、暗視装置付きパンター中戦車5両に対してウーフー1両というチームで行動する計画であった。 ウーフーに乗った指揮官は、5両の暗視装置付きパンター中戦車に指令して目標を攻撃する際Fu.5無線機を使用した。 実際、大戦末期に暗視装置付きパンター中戦車が師団配備されたのは確かでそれらの戦闘記録も存在するが、ウーフーがどの程度活用されたのかは定かではない。 ウーフーの生産は、1944年8月に600両分が要求されたことから始まる。 従って、時期的にベースは全てSd.Kfz.251装甲兵員輸送車D型である。 結局、終戦までに部隊へ引き渡されたウーフーはわずかに60両程度であったという。 |
|||||
<Sd.Kfz.251/20ウーフー装甲投光車> 全長: 5.98m 全幅: 2.10m 全高: 全備重量: 乗員: 4名 エンジン: マイバッハHL42TUKRM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 53km/h 航続距離: 300km 武装: 装甲厚: 6〜14.5mm |
|||||
<参考文献> ・「パンツァー2001年11月号 AFV比較論 Sdkfz.251/M3ハーフトラック」 斎木伸生 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2012年2月号 ドイツAFVアルバム(362)」 久米幸雄 著 アルゴノート社 ・「ピクトリアル ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2007年9月号 ドイツ装甲兵員輸送車(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「SdKfz251」 山本敬一 著 デルタ出版 ・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画 |
|||||