●Sd.Kfz.250/3装甲無線車 Sd.Kfz.250/3装甲無線車は指揮用の大型無線機を搭載した車両で、「砂漠のキツネ」ことエルヴィン・ロンメル将軍が北アフリカで愛車として用いた車両の中で最も有名なものであり、ロンメル将軍の搭乗車の左右側面には「GREIF」(グライフ:古代ギリシャの書物に登場する想像上の生物「グリュプス」のドイツ語名、顔は鷲で体はライオン、そして大きな翼を持っている)の5文字が描かれていた。 Sd.Kfz.250/3は用途によって搭載無線機が違うため、サブ・ヴァリエーションが4タイプ存在した。 いずれのタイプも乗員は4名で、戦闘室内右側のパイプ椅子と弾薬収納庫を撤去して増設無線機用のパイプ式ラックを設置していた。 無線機はラックの左側に計器面が来るように取り付けられ、ラックの前方にはそれ用のバッテリーが取り付けられていた。 増設無線機用のアンテナはフレーム型とロッド型の2種があったが、後者の場合その基部は戦闘室の右側後部に取り付けるケースと、左側後部に取り付けるケースの2通りがあった。 またロッド型アンテナでも先端が星状に枝分かれしている星型アンテナの場合は、車内にアンテナとその延長パイプが収納されていた。 武装は7.92mm機関銃MG34(MG42) 1挺、9mm機関短銃MP38(MP40) 1挺、7.92mm小銃Kar98k 3挺である。 |
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●タイプ1 このタイプは機動部隊と司令部との連絡用車両で、Fu.12無線機を搭載した。 Fu.12は出力80Wの送信機とc型受信機を組み合わせた中波帯無線機で最大レンジは打電式で80km、音声式で25kmであった。 アンテナは高さ2mの星型が取り付けられた。 |
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●タイプ2 このタイプは空軍との連絡用車両で、Fu.7地対空用無線機を搭載した。 Fu.7は出力20Wの送信機とd1型受信機から成る超短波無線機で、周波数帯は4万kHz台であった。 最大レンジは打電式・音声式共に25kmであった。 アンテナは高さ2mのロッド型が取り付けられた。 |
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●タイプ3 このタイプは地対空連絡用のFu.7無線機と、師団司令部連絡用のFu.8無線機を搭載した車両である。 Fu.8は出力30Wのa型送信機とc型受信機を組み合わせた中波帯無線機で、アンテナは初期においては戦闘室上部に取り付けられたフレーム型であったが、後期は高さ8mの昇降式星型アンテナに変更された。 最大レンジはフレーム・アンテナの場合打電式で50km、音声式で15kmであった。 昇降式星型アンテナの場合は打電式で150km、音声式で50kmであった。 |
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●タイプ4 このタイプは搭載する無線機が特定されておらず、目的に応じた無線機を選択搭載することができる汎用無線車両である。 アンテナは初期においてはフレーム型、後期においては高さ2mの星型を装備した。 |
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<Sd.Kfz.250/3装甲無線車A型> 全長: 4.56m 全幅: 1.95m 全高: 1.66m 全備重量: 5.35t 乗員: 4名 エンジン: マイバッハHL42TRKM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 60km/h 航続距離: 320km 武装: 7.92mm機関銃MG34×1 (1,100発) 装甲厚: 6〜14.5mm |
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<Sd.Kfz.250/3装甲無線車B型> 全長: 4.61m 全幅: 1.95m 全高: 1.66m 全備重量: 5.35t 乗員: 4名 エンジン: マイバッハHL42TUKRM 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 100hp/2,800rpm 最大速度: 60km/h 航続距離: 300km 武装: 7.92mm機関銃MG34またはMG42×1 (1,100発) 装甲厚: 6〜14.5mm |
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<参考文献> ・「パンツァー2007年11月号 ドイツ陸軍のワークホース Sdkfz.250シリーズ」 久米幸雄 著 アルゴノート社 ・「ピクトリアル ドイツ軍ハーフトラック」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2012年6月号 ドイツ装甲兵員輸送車写真集(1)」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「世界の軍用車輌(3) 装軌/半装軌式戦闘車輌:1918〜2000」 デルタ出版 ・「SdKfz250」 山本敬一 著 デルタ出版 ・「ジャーマン・タンクス」 ピーター・チェンバレン/ヒラリー・ドイル 共著 大日本絵画 |
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